SnapCrab_NoName_2018-8-9_8-39-11_No-00.png
1年ほど前、付き合ってる彼女から「一人じゃ不安だから一緒に集会行ってくれない?」と誘われた。彼女は重いぜんそくの持病を抱えている。それで通院を重ねていたのだが、あるとき病院内で患者らしきババアからこんな声をかけられたというのだ。
「同じように苦しんでて困ってる人たちが集まる場所があるのよ。見るだけ来てごらんなさい」
いかにも怪しい集会だけど、ワラにすがるつもりで顔を出してみようってことだろう。同行してやることにした。
日曜日。ババアから教えられた豊島区の雑居ビル内一室に入ってみれば、ずらっと並んだパイプ椅子に年寄りから子供まで30人ほどが腰かけている。奥にはステージらしきものがあるみたいだ。しばらくして壇上に白髪のジイさんがあがった。
「お集まりいただきありがとう。私どもの考えや教えを説明させてもらいたいと思います」
その後に続いた言葉はなんというか、呆れるほどに典型的な宗教トークだった。自分たちの教えを体現すれば病気もよくなるし、毎朝祈りを続けることで人生が良い方向に向かうだのなんだの。それでも他のジジババなんかはうんうん言いながら聞いてるわけで、なんとも不気味な集会だ。そんなろくでもない話に続いてステージにおばちゃんが上がった。腰を90度に曲げ、杖を手にしてたどたどしく歩く。まだ40代ぐらいだろうにずいぶんカラダにガタが来てるなぁ。
「この方は腰の不調に長年悩まされています。我々は『手かざし』をすることでその不調を取り払うコトもやっています」
おっちゃんがそのまま右手をおばちゃんの腰に当てる。なにかブツブツ言ってるようだが聞き取れない。おばちゃんのほうもなんらリアクションすることなく手かざしとやらを受けている。それが20分も続き、ようやく動きが。「だいぶ良くなったでしょ」 
おっちゃんの声に合わせてその腰曲がりおばちゃんがスッと上体を起こす。うわー、インチキくせー。「今は一時的に回復してるだけなんだけども、日々続けることで具合が良くなりますよ」
会場には拍手が起こり、おばちゃんは手を振ってステージを降りていった。もう見てらんないので帰ります。それから2カ月ほど経ったころだろうか。会社近くの鶯谷で一杯やった帰りにフラフラして
いたところ、ラブホ街の入口付近で声をかけられた。「お兄さん遊んでってぇ」視界に入ってきたのは40代らしきおばちゃんだ。ん?なんか見たことある顔だぞ。誰だっけ?え!あのとき壇上で手をかざされてたオバハンじゃねーか!
間違いない。あのとき腰がピンと治った女が立ちんぼをしているのだ。今は腰ぜんぜん曲がってないけど。
「7千円でいいから、ね?」
「おばちゃんとヤルんだよね?」
「若い子には負けないよぉ」 
そう言ってなぜか二の腕を曲げて力こぶを出す。よくわからんけど元気そうじゃねーか。
好奇心というか面白そうなので一緒にラブホへ向かう。このオバハン、歩くスピードが尋常じゃなく速い。手かざしのおかげか。入室してすぐお風呂へ。
「お兄さんこういう遊びは良くするの?」
「いやしないですよ。お姉さんはよく立ってるの?」
「もう5年ぐらいね。若い子には負けないよ。エッチって経験がものを言う世界だから」
そう言ってチンコをスリスリしてくる。風呂を終えてベッドに戻ったところでおばちゃんが乗っかってきて、あれよあれよと射精に至った。最後に聞きたいことをぶつけてみよう。
「おばちゃんさ、豊島区の宗教の会にいたよね?」
「…え?」
「オレもその場にいたんだよ。腰が悪くて、手かざししてもらって治ってたじゃない」
おばちゃんは目を閉じている。奇妙な光景だ。
「でも5年この仕事してるんだよね?腰が曲がってたのに。やっぱアレってインチキなんだね」
そのときだった。
「違う!手かざしにはお金がかかるでしょ!だからこんなコトしてるの!」
半狂乱とはこのことだ。目を閉じたままベッドを叩きまわっている。
「手かざしは素晴らしいの!」 
そう言い残しておばちゃんは服を着て部屋から出ていった。おそらく、あの宗教を信じるおばちゃんは、腰痛が治る役を受け持つ一方で、本気で自ら進んで手かざし料も払っているのだろう。お気の毒に。
※この記事は読者様の投稿です。