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雪の降り積もる2月中旬、出会い系サイト。自宅に男を連れ込み、ナマでセックスさせるポチャ系
27才だ。こなれた文面だけに、いかにも地雷女が出てきそうな危険な匂いがする。条件イチゴーで打診したところ、すぐにアポが取れた。
 メールで板橋区の官公庁の建屋に誘導され、さらにそこから歩いて2分のマンションへの道順が届く。
『そこから見える○○ってマンションだよ〜』
 ようやく目的地に到着した。思ったよりも立派な造りのマンションで、とてもエンコー女が住んでるようには見えない。インターホンから「どうぞー」と落ち着いた女の声がして自動ドアが開く。目的の部屋へ向かうと、玄関からパジャマ姿の茶髪のデブが顔を出した。
「わ〜、すごい雪降ってるね〜」
 玄関の奥に見える女の部屋はまっ暗だ。昼を過ぎてるのに窓のカーテンを閉め、電気もつけず、テレビの明かりだけが点いている。部屋の中へ足を踏み入れると、独特の酸味がかった臭いが鼻をついた。彼女の体臭だろうか。
「部屋暗いね」
「エッチするならこれぐらいの方がいいでしょ? 朝までオリンピック観ちゃってさ、さっきまで寝てたんだー」
「そうなんだ」
「冬のオリンピック好きなんだよね」
「スキーとかやるの?」
「自分ではやらないよー」
不毛な世間話をかわしつつ玄関脇のキッチンをチェック。調味料や洗剤が乱雑に置かれ、パンパンのゴミ袋が転がっている。ずいぶんズボラな日常を送ってるようだ。恐る恐る暗い部屋に移動した。床に敷かれた大きな毛布の上に女が腰を降ろす。
「いつもソコで寝てるの?」
「ううん、ベッド使ってるよ」
寝るときばベッドで、援交は床に敷いた毛布でする決まりらしい。目が慣れてくると、ようやく部屋
の様子がわかってきた。棚やタンスには大量の荷物が積まれ、彼女がここに長く住んでることがわかる。それにしてもこの匂いは何だ。
「なんか酸っぱい匂いするね」
「そう? なんだろ。ぜんぜんわかんない」
「普段は何してるの?」
「仕事? フリーターだよ」
「たまにこうやって男と会うんだ」
「そうだねー。たまにね。今日ホントはネイル行って美容院行ってご飯行こうって思ってたんだけど、寒いからやめちゃった。ほら、カップラーメンいっぱい買ってきちゃった」
 女が指差した方向に、スーパーの袋に入った大量のカップ麺が見えた。そんなもんばかり食ってるからデブるんだな。
「それにしてもいいマンションだね。駅からも近いし。家賃いくら?」
「9万ぐらい。でも場所と広さ考えたら安いほうだと思うよ」
 このマンションに住み始めて4年になるそうで、隣りの部屋にはなぜか女友達が住んでるとのことだ。まさか風俗店の寮じゃないよな?
「結構広いね。どれぐらいあるの?」
「7畳ちょっと。パズルを作り終えればもう少し広くなるかな」
「パズル?」
「うん、ジグソーパズル。ほら」
 壁には何枚ものパズルが飾られていた。ディズニーやジャンプなどアニメの絵柄ばかりだ。
「すごいね。全部1人で作ったの?」
「うん。今はこれ作ってるんだけどね。友達に頼まれて作ってあげたりもしてるよ」
「へー、タダでやってあげるの?」
「ううん、お金もらってる。これは2千円でいいよって言ったら5千円くれたんだ」
 ジグソーパズルの代理作成バイトか。よほどヒマじゃないとできない仕事だな。ふと気になったのがリビングの棚に置かれた炊飯器だ。隣りにはちゃんと広めのキッチンがあるのに。
「何でここに炊飯器置いてるの?」
「え、すぐ食べれるじゃん。取りに行かなくても。カカクコム見て買ったんだけど、美味しく炊けるよ」
キッチンにゴハンをよそいに行くことすら面倒なのか。
「なんで自分の部屋でこういうことしてんの?」
「待ち合わせとか大変だし、こっちの方がホテル代かからないから男の人もいいでしょ?」
「危ない目に遭ったことないの?」
「うーん、たまに変なのいるけど、特に危ないってことはないかなー。じゃ、忘れないうちにお金ちょうだい」
「あー、はいはい。そう言えばいつもナマでセックスしてるの?」
「うん」
 やっぱり病気が恐いのでやめとこう。逃げるようにその場を後にした。