0174_20190513123705ffd.jpg0175_20190513123707a9f.jpgかなり多種かつとんでもないメニューを取り揃えているラーメン屋が足立区某所にあるらしいとの未確認情報を受け、早速馳せ参じてまいりました。 
いつもは一人で店を訪れているのですが、それだけ種類豊富であるなら複数のラーメンを注文した
いと考え、店の前で知人のK氏と待ち合わせしてからの潜入と相成りました。
該当の店はJR某駅から15分ほど歩いた閑静な住宅街の真ん中にあり、さらに店舗面積自体かなり小さかったこともあり発見するのに少々苦労しました。一方K氏もなかなか店を見つけられなかったようでお互いに待ち合わせ時間を20分ほど遅れてようやく店の前で合流できた時は思わずがっちり手を取り合ってしまいました。 
ラーメン屋らしく店名が筆文字で記された暖簾がかかっていますが、その横には「青汁拉麺」
「納豆拉麺」「牛乳拉麺」さらには「未知味の拉麺」という奇妙な品目が並んでおり、既に暗雲が立ち込めております。
外からでも丸見えの店内はカウンターのみで若干7席、客はゼロでしたが奥では店主らしきオヤジさんが何やら慌ただしくテキパキと動いておりました。 入店すると店主は愛想よく「らっしゃい」と出迎えてくれ、手早くお冷を2つ出してくれます。店内には先ほどのメニューに加え、さらに多くのメニューの札が貼られており、「ココアラーメン」「豆乳ラーメン」「健茶ラーメン」など、一蘭や一風堂にはない品揃えに圧倒されてしまいました。 
そんな中で気になったのは「青色ラーメン」「黄色ラーメン」「赤色ラーメン」「水色ラーメン」
「紫ラーメン」などの色シリーズです。ラーメンを色だけで5種類にも分類し、そのどれもが字面からして美味そうじゃない、というところに店主のただならぬこだわりを感じました。押さえておきたい一品です。 
さらにそれらのメニューとはちょっと離れた場所に一種類だけまるで特別扱いをされているように札が貼ってあり「アイスクリームラーメン」と記されていることに気づきました。ラーメンとアイスクリーム、これまで決して交わることのなかった2つの食材がこの東京の片隅でついにあいまみえることになったのであります。 なのでその「アイスクリームラーメン」と、色シリーズからは最も食べ物とかけ離れた色と考え「紫色ラーメン」を注文しました。 
待っている間に店内の様子を撮影していると店主が「これを撮ってくれ」と自ら丼を差し出してきたので丼の中を恐る恐る覗くとなんと紫色の液体がたっぷりと注がれています。震える声で「この色はどうやって…」と尋ねると店主は「野菜から取った」とざっくりとした説明をしてくれました。
「さらにここに毒を入れると水色に変化する」とわけのわからないことを言い、スプーンで謎の液体
を注ぐと丼の中の液体がうっすら水色に変化しました。まるで科学の実験の様相を呈していましたが、そこに麺を投入しあっという間に「紫色ラーメン」が完成したようです。
本ページでは分かりづらいかもしれませんが、麺も野菜も見事に紫色に染まっています。目の前に出されたK氏は肩を小刻みに震わせながら紫色に染まった麺を箸で掴み、ズルズルと食べ始めました。横から感想を訊くもK君はただただ無言だったのでそれ以上はかける言葉が見つかりませんでした。
一方カウンターの奥では麺の入ったラーメンが既に置かれており、店主が奥の冷凍庫から「モナ王」を取り出しているところでした。「モナ王」は市販されているモナカアイスですが、店主は素早くそ
の封を開けるとモナ王を包丁で慎重に切り始めました。それを一つずつ丁寧にラーメンの入った丼に
入れ、さらにゆで卵をそのアイスの上に乗せ、海苔を振り、店主は大きく一つ息をはき、達成感に満
ちた顔で丼を目の前に運んでくれました。 
改めてその丼を覗き込むとラーメンの上に浮いたモナ王は想像以上に壮絶で、食指が動かないこと山の如しでした。よく風俗嬢やAV女優が周囲から「そんな仕事して、親に説明できるのか」などと謂れのない職業差別を受けることがありますが、自分も今から仕事でアイスクリームラーメンを食べることについて田舎の親に何と説明していいのか分かりませんでした。
そして早速麺を一口食べてみて衝撃だったのはなんと冷やし麺だったのです。麺がアイスクリームの味なのは想像つきましたが、アツアツだと思って口に入れたラーメンが冷やし麺だったことにはさすがに驚いてしまい店主を見上げると、サッカー日本代表川島がPKを止めた時と同じ顔でこちらを見つめていました。 
さらに気になったのは海苔でした。モナ王と海苔が決定的に合わないというか、喧嘩していました。
ゆで卵もモナ王の味しかせず、スープも当然モナ王。時間をかけて頑張って完食しようとしましが、
半分手前の段階で金縛りにでもあったかのように箸が1ミリも動かなくなり、店主に「スイマセン」と謝ると「帰り道、腹壊すなよ」と笑って許してくれました。その寛容さに感動しつつ、紫色ラーメンをほぼ完食して心持ち顔色が紫色になっているK氏と共に店をあとにしました。