0238_201811231206207bb.jpg 0239_201811231206224fe.jpg 0240_201811231206239fc.jpg 0241_20181123120624f34.jpg 0242_201811231206265f6.jpg 0243_2018112312062739f.jpg 0244_20181123120629a13.jpg 0245_20181123120630652.jpg「久しぶりじゃのう。ラクで稼げるバイトがあるんやけど、やってみんか?」
声の主は、中学の同級生タカシだった。かつて同じ族に所属し、一緒にヤンチャをして回った仲だが、ヤブから棒になんじやい、バイトって。
「カジノやカジノ」「はあ?カジノ?」
唐突な誘いに驚くオレに、タカシは言った。実はいま、自分の働いているカジノが人手不足で困っている。オマエさえよければすぐ社長に紹介したいんだけど、どうだ?最低月30万は稼げるぞ。
にわかに心が動いた。当時、勤めていた地元の清掃会社の給料は、手取りでたったの14万。仕事は退屈極まりなく、しがみつく理由は一つもない。
「やってもええよ。けど、カジノで働いたら罪に問われるんやろ?それにルールもさっぱり知らんしなぁ」三沢の店は、典型的なポンコツハウスだった。ポンコッとは、店ぐるみで客を殺しまくり、稼
ぐだけ稼いでバックれる、いわば短期決戦型のカジノのことだ。違法カジノで行われている多くのイカサマは、特に難しいテクニックが必要なわけではない。詳細は省くが、要は、カードの裏面から表の数字がわかるよう予め細工を仕掛けておいたり、ターゲットの客をハメるのにサクラを使ったり、あるいは目の錯覚を用いてカードの並びをゴマカしたりと、理屈さえわかれば、誰でもできるものばかりだ。三沢から軽くイカサマの手ほどきを受けたオレたちは、期待通り、売上げを伸ばした。日に
500万、多いときで1千万。客からムシリ取る金額に比例して、給料も2カ月目で80万を突破。もう笑うしかない。身も凍るような事件が起きたのは、大阪にやってきて3カ月後のある日のことだ。
タヵシと寮から店へ向かう途中、自販機でジュースを買っていると、背後から肩を叩かれた。
「松尾さんですか?」振り向いたオレの目に、2人の見るかにャバそうな中年男の姿が飛び込んできた。「は、はあ、そうですけど」「ああ、よかった」次の瞬間、タカシとともに車の後部座席に押し込まれた。ナニ?何なの?
「あの、すいません。僕らどこに連れて行かれるんですか」尋ねるオレに、助手席の男は笑って言った。「名古屋だ」