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私の仕事はフルートの家庭教師だ。芦屋のコマダムや大学生にレッスンして、月の収入が約20万円。生活は決して緩くはない。そんな私が、「P」というデークラに登録したのが28才のとき。高収入のバイトを探して、風俗専門の求人雑誌をみたのがきっかけだった。
客の大半は大企業の幹部や中小企業の社長などで、1回のお手当は5万ほど。フルート奏者という肩書きがソソるのだろうか、相手に不自由することはなかった。
生徒の1人で京都の旧家のお嬢様のR子(26才)に漏らしてしまったのは、彼女がよほど私になつき、お互いにプライべートなことまで話す間柄だったからだろう。このコなら大丈夫。驚かれるのは覚悟で、私は秘密を打ち明けた。すると、
「先生、私にもぜひそのオシゴト、紹介していただけませんか」「えー」
R子が好奇心旺盛なコであるとは十分わかっていたが、まさか援交にまでしめすとは。
「気まぐれでそんなこと言っちゃダメ」
「やーだ、ハハハ。冗談と思ってるでしょ先生。マジですよ」
どこまで本気で言ってるのかわからなかったが、結局、私はR子を「P」に紹介する。実は「P」には紹介制度があり、入店後、1カ月間の働きに応じて最高3万円(客1人につき1万円)の紹介料が入る仕組みになっていたのだ。彼女ならルックスも問題ないし、親バレするようなヘマもやらかさないだろう。登録後はプロフィール写真の撮り方や、客への応対などを丁寧にアドバイス。やるからにはきっちり稼いでもらわなきゃ。
そのかいがあったのかどうかはわからない。ただ、R子はその後まもなく店のナンバーワンになった。教え子が店一番のデークラ嬢。紹介料の3万円が振り込まれても私は複雑な心境だった。
あくまで「遊び」の感覚を強調する
1カ月後Pのオーナーに相談を持ちかけられた。
「R子ちゃんみたいなコもっと知らへん。ああいうお嬢様っぽいコは人気があるねやんか。もし紹介してくれるんやったら、10万(客1人につき1万円の条件は同じ)まで出すよ」
オーナーの申し出は魅力的だった。フルートの生徒はR子のような世間知らずばかり「先生」という立場を利用すれば、うまくいくかもしれない。彼女を紹介したときの複雑な気持ちなど、どこかに吹き飛んでいた。
生徒には、ズバリと話を切り出した方がいいだろう。もともと金に困ってない女の子たちだ。あくまで「遊び」感覚を強調するのが大事だ。登録後はアリバイ作りにも協力してやる。家族にバレる心配がなければ彼女たちも安心だろう。絵が整ったところで、さる社長の愛娘、大学2年で菊川怜似の涼子に声をかけた。
「…というわけなのよ。べつに相手が気に入らなかったら、お食事だけで帰ってきてもいいし。面白そうでしょ」「…そうですねえ」
「あ、ムリにってわけじゃないからね。ちょっと考えておいて」「……はい」
その日はひとまずリリース。次のレッスンで、改めて話を持ちかけてみた。
「どう決めた?」「やっぱムリかなあ」「どうして?」
「興味はあるんですけど…、夜の9時までに帰らないと怒られちゃうんですよ」
「あ、じゃ私と一緒にカラオケ行ってることにしたらいいんじゃない。ご両親から電話があったらちゃんと言ってあげるわよ」「うーん」「大丈夫だって。私のことを信用して」「…そうですか」
果たして、淳子は。遊びにハマった。毎週のように客に会っては、その様子を喜々として私に報告してくる。免疫がなかったのが、かえってよかったのか。ワルかったのか。
その後も、私はせっせとスカウト活動降脳む。100発100中とはいかないが、半分以上が話にノッてきただろうか。
それでも登録していけば、さすがにめぼしい女性はいなくなる。で、考えたのが今、私が中心に活動している美容エステだ。ここなら、ヒマを持て余したコマダムがわんさかいるだろう。