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オレがドラッグにハマリ出したのは今から3年前。当時毎週のように通っていた六本木のクラブで、ニックと名乗るアメリカ人から「エクスタシー」を買ったのがきっかけだった。ドラッグに対する好奇心だけで、その小さな錠剤を空っぽの胃に流し込んでみると、何だろうこの震えるような快感。
体中からあふれ、ハッピー気分が止まらない。世の中にこんな楽しいモノがあるなんて、と一発で虜になってしまった。それからというもの、毎週のようにニックとコンタクトを取ってはエクスタシーを買い求めるオレ。マリファナやマジックマッシュルーム、LSDなどを覚えたのもそれから間もなくのことだ。むろん違法だってことはわかってた。クスリの使用や所持がバレたらパクられるのも十分承知だ。
が、それでもヤメられない。初体験から1年足らずで、オレの体はジャンキーー歩手前まで進んでいたのだ。
「ヒロト、一度フルムーンパーティーに行ってみないか」
2年来の付き合いで、すでにマブダチ状態になっていたニックがその話を持ってきたのは昨年10月のこと。なんでも、タイ南東にパンガンという小島があり、欧米人などがドラッグやり放題、乱交し放題の巨大なダンスパーティを開いているという。それが毎月1回、満月の夜に行われるからフルムーンパーテイ。何ともソソられる。
「連れてってくれ」
オレは迷うことなく答えた。
11月下旬。熱帯の島パンガンは、雨季に入っていた。パーティの会場となるハードリンは、半島の東側に位置する白いロングビーチ。
オレとニックは今日から2週間、ここに滞在する予定だ。1泊60バーツの安バンガローに何物を下ろして、まずはビーチ付近の繁華街へ。実は、船で知り合った南アフリカの白人から「スぺースカフェ」というレストランで何かが手に入る、と聞き出していたのだ。「おっ、いい匂いだねー」カフェの店内は、新鮮なバッズ(マリファナの花穂部分)の香りが充満していた。なるほど、ざっと周りを見わたしても、ぶっといマリファナのジョイント吸ってる男どもが3-4人はいるようだ。テーブルに座りメニューを開くと、最後に『スペシャルメニュー」の文字が。何やらアヤシげだぞ。
「オニーサン、このスペシャルメニューってナーー?」
人の良さそうなロン毛の店員に尋ねると、
「マジックマッシュルームオムレツです」
聞けば、店の裏山に生えている野生のキノコを使った料理だと言う。ロン毛は「絶対効きますよ」と自信満々の表情だ。
「これ、結構イケルね」
乾燥したものなら日本でも目にすることができるが、フレッシュキノコを食べるのは初体験。空腹も手伝ってか、オレたちはものの5分でたいらげてしまった。
「はー、いいねー南の島は」
すかさず極太ジョイントも購入し、すっかりヒッピー気分でダレまくる。と、隣でこれまたリラックスモードの白人カップルが話しかけてきた。
「キミたち、日本人なのっ」「ああ、そうだけど」
「北のほうにハードヤオつてビーチがあるんだけど、そこでバングラッシーが飲めるらしいよ」
ん?バングラッシーといえば、インドで売られているマリファナドリンクのことじゃなかったっけ。確かに効きは長いって話だが。
「とにかくそのバングラツシーは特別らしいんだよ」
何がどう特別なのかはわからない。が、そこまで薦められてジッとしてられる
オレじゃない
地面から草がニョキニョキ生えてきたー
別のレストランでレンタルバイクを借り、ガタガタのコンクリート道を北に向かって走りだす。1時間ほどで、ぽつりぽつりとバンガローが見えてきた。このあたりか。
「スミマセーン。この辺でバングラッシー飲めるところ知ってます?」
「ああ、ここで飲めますよ」
従業員らしき若いニーチヤンが全開の笑顔で答える。1杯300バーツ。日本円にして900円程度だ。他のジュースが20バーッ前後だから、かなり高価な商品と言える。
テーブルに黄色の液体が入った2つのグラスが出できた。ラッシーといえば、シナモン味だと思っていたが、飲んでみると意外にもパイン味喉の乾きも手伝い黄色いバングラッシーは一瞬にして無くなった。
「ちょっとキタかも・・」
ニックが微妙な表情してる。なんだ、効きは早いのか。あれ?オレも足元がふらついてきたぞ。ゆらゆらと浜辺まで歩き、しばらく横になってみる。ヤバイ、視界がゆがんできた。水平線の向こうを見ると、海に反射するタ日がとてつもなくキレイだ。
「コレ、マッシュルームに似てるね」「・・」「ん…そうだな・-」
すでにニックの方は完全にイッてしまったご様壬どうやらこのバングラッシー、強烈な幻覚作用があるらしい。おそらく中身はマリファナだけではないはずだ。そのまま横になったが、落ちつく気配は皆無。あまりの効きの強さに不安になってくる。そろそろ帰るか。強引にバイクに跨りエンジンをかけた。ちくしよう、来た道を戻ればいいハズなのにまクたく道順思い出せねーよ。
あれ、目をつぶっても景色が見える。自分が目を開けてんのかつぶってんのかわかんねーやっホントにヤバイぞこれは…このままじゃ絶対事故る。バックミラーを見ると、すぐ後ろにニック
ウインカーで合図を出し、途中の草むらにパィクを止めた。
「これ・・スゴいよ」ニックが道路の脇にべったりと座りこみ放送コードギリギリの表情でしゃべる。お前の顔も十分すごいぞ。「こおれえ、多分メスカリンよ。スゴいよお」メスカリンなんて言われてもオレにはわからないが、バングラッシーじゃないことぐらい理解できる。いずれにしろ、こんな場所でダべっていても仕方ないだろ。
うおー、スゲーー
再びバイクに乗って走りはじめると、今度は地面から草がニョキニョキ生えてきた。ここまでクリアな幻覚体験は初めてだ。対向車のライトがいくつも目の中に残り、道路からはジヤックと豆の木ばりに植物が生えまくる。強烈ー。「あれっー」気がつけ博後ろを走っていたはずのニックがいない。事故ったのか?まさかね。とにかく俺にとって重要なのは宿に戻ることだ。
でも、このニョキニョキ植物のなか、どうやつて・目が覚めると、バンガローのベッドの上にいた。「そのとき腕に包帯を巻いたニックが帰ってきた。お前、どこ行ってたんだ」「いや」病院のベッドに寝てたから、抜け出してきたんだ古何でもヤッは、バイクに乗ったまま途中の林に突っ込んで気を失っていたところを、通りかかった地元の人に病院まで運んでもらつたらしい。まったくよく生きて帰れたもんだ。なんて言ってるオレも、どうやつてここに着いたのかまったく覚えてないんだけどね。
数日前から観光客が増え始め、今日の夜にはハードリンビーチは5千人もの人間で埋め尽くされるハズだ?
果たして乱交は行われるのか。くそー、ヤリてーな一金髪と。それよりほら、エクスタシー手に入ったさ。どこで手に入れたんだ?イスラエル人が売ってくれたんだよ。これでヒッピースリップができんだ。
「マッシュルームとエクスタシーを一緒に食べる。それがヒッピースリップ」
そんなウンチクはどうでもいい。俺は乱交モードなんだょ、このジャンキーが。
日が暮肌たのを見計らいビーチへと繰り出すと、約1キロにもわたる白い砂浜に2カ所入り口を開放、海を向いて建っていた
いい気分。エクスタシーも効き始めて、ハッピー全開だ?ふと、周りを見わたせば、火を振り回しながらジヤグリングしてる連中、海で泳ぐスキンヘツドのイギリス人などなど、すでに収集つかなくなったジヤンキー達で浜辺は飽和状態になっている。乱交はどうなったんだっけ?ま、いっな今が最高に気持ちいいっスーどれくらい時間が経ったたのか、気がつけば海の向こうから朝日が昇りはじめていた。他の客たちも踊りを止め、朝日を眺めだした。
「いやー、美しいー」
朝8時。太陽は昇りきっているがパーティが終わる気配はまったくない。10時間も踊りつづけて、体はもう限界だ。オレたちはガタガタの体を引きずるようにして、フルムーンパーティを後にした
★あれだけのネタを同時に楽しめ、南国のビーチで踊るなんて費沢はできるもんじゃない。また行こうっと。
※この記事はフィクションです。防犯、防衛のための知識として読み物としてお読みください。実行されると罰せられるものもあります。