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翌日、目が醒めると、ケータイのデジタルは夜9時を表示していた。なんせ、今朝の8時過ぎまで飲んでいたのだからムリもない。頭はガンガンし、吐きそうだ。
「おっ虫象!昨日つらそうだったからてっきり辞めちゃったかと思ったよお-」
アルコール漬けの体を引きずり出勤した私に、クルクルと志狼がまとわりつく。
「やだな、辞めるワケないじゃないつすか」
「よしエライエライ、んじゃ今日はキャッチをがんばってみつか」
都の条例によりキャッチ行為は禁止。なんてことは単なる建前で、現実はコマ劇周辺からセントラルロード、靖国通りにかけては、依然、ウヨウヨいるらしい。
「だってさ、キャッチしないことには新規客の獲得なんてあり得ないっしょ」
ノーテンキな志狼から、キャッチ禁止エリア(カラオケ店、風俗店前など)を教えられ、コマ劇方面に足を運ぶ。キャッチは、以前『お見合いパブ従業員」でコツを取得済み。しかも今日は金曜日でどこもかしこも女だらけだ。ま、楽勝でしょう。
「ど-も、おばんで-す・さわやかホストクラブなんだけど-」
「・・・・。。」「3千円で朝まで飲み放題だよ」「ホストうざいんだけど!」
1時間必死に声をかけまくったものの、ちっとも引っかからない。妄想を昨裂させつつ店に戻って、2人をボックス席へ案内。仲良くソファに腰かけ、乾杯のコールを上げた。ヘルプ席には先輩ホストがスタンバイし、ドリンクを作っている。う-ん、主役ってのは気分がええのう。女の子はいずれも田舎のスナックにいそうな、バタ臭いルックス。しかし、私にとっては初めて売り上げにつながる大事な客だ。ここは気に入られるよう、上手く会話を運ばなければ。
「2人ともイケてるよねえ・クラブとか好きなんじゃね-の?」
「えわかる?いつも渋谷か六本木に行ってんだよねえ・あっ、この曲チョー好き!なんて曲だつけ?」「え、ええっと…」
「それねえ、『恋のマイアヒ』だよ。名曲だよねえ」
言い淀む私の脇から、ヘルプの真紘が口を挟んできた。ヘルプは担当のアシスタントであると同時に、新規客へ自分を売り込むチャンスの場でもある。当然、気に入られれば次回から指名をもらえる可能性も高いワケで、みな必死なのだ。しても真紘のガキめ、オレの初客を狙いやがるとは…。させるか!が、勝負は始まる前からすでに決まっていたらしい。BGMに合わせ、真紘がパラパラを踊りだすや、女どもは大喜び。私も一負けじとへコヘコー腰をくねらせ、アーピールしてみたが、見事すぎる放置プレイに耐えきれず、早々にあきらめざるをえなかった。真紘が別の先輩とヘルプを交代しても、場を盛り上げることができない。
(なにも難しいこと-をする必要はない。世間話でいい、他愛もない話でいいから、客とキャッチボールするんだ)