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私は現役の街金社員です。漫画ナニワ金融道を地で行くような生活を送ってきましたが、4月に転職することになり、今までの罪滅ぽしのために私が行ってきたアコギな仕事の中身を告白しようと思います。
うちの会社は、信用がないばかりに銀行から相手にされない零細企業を得意客として、大手サラ金の倍以上の年利80%前後で貸し付ける業者でした。当然、どの得意先も息耐えだえで今にも倒産しそうなところばかり。不動産や大企業の手形、保証人などの担保を用意する力すらありません。それを知った上で、うちの会社はほとんどが無担保融資という危ない橋を渡ってきました。結果、多額の利益を上げてきたのです。しかし、貸し倒れだけは未然に防がないと自分の経営の方が危なくなってきます。そこで、社員の私たちが一番徹底していたのは、顧客の信用調査です。その会社が現在、どのくらい危険なのか、いま貸し付けていつまでに返済させればコゲ付かないのか。この点を調べるべく、興信所まがいのことも数々やってきました。中でも、もっとも手っ取り早いのは銀調と呼ばれる、メインの取り引き銀行かりその会社の情報を聞き出す方法です。銀行同士には、サラ金業界と同じように手形の信用照会という名目で顧客企業の情報交換を行う暗黙の了解があります。もちろん、銀行間の利益を守るためのものですが、これは部外者でも聞き出すことができるのです。仮に、A社が融資を申し込んできたとしましょう。A社の取り引き銀行がB行だとわかると、我々社員は適当な別の銀行を名乗ってこんな電話をかけるのです。
「C行の△△と申しますが、A社のお手形の信用照会をお願いしたいのですが」
B行の担当は必ずこのとき「どういうことでしょうか」と聞いてきます。勝負はここから。私どもの取引先であるX物産が御行のお得意先であるA社様と手形取り引きをする予定でして、業況をお伺いしたいのですが・・」
すると不思議なことに、ほとんどの銀行が自分の取り引き先である会社の経営状態などをベラベラと話してくれるのです。もちろん、あからさまに「倒産しそう」などという言葉は使いませんが、遠回しなニュアンスでだいたいわかるものです。初めに言い切る場合は、とりあえず近日中にツブれる心配はナシ。しかし「懸念はございませんが・・」とくれば、末期症状に近いとみて間違いありません。
もっとも、こんなお役所的な受け答えは、銀行や担当者がお役所的なわけではなく、あくまで業界内の暗黙の了解で決められた言い方だからからこそただ、中には雷話では決して答えてくれない銀行もありました。それにしても、なぜ実際に出向くだけで、ホイホイ正直に話してくれるのでしょうか。実は、昔から帝国データバンクなどの大手興信所が会社の信用調査に来た際に面接を断わると、調査業界内で評価が低くなるといわれているからとのこと。そんなわけで、この銀調で判明したデータをもとに、売り掛け先などにどれくらいの未収額が残ってるかなどを調査し、その会社の危険度を把握してきたのです。まあ実際には、取り引き先の銀行にそんな信用照会が入れば、その会社にとってみれば銀行かりの信用度がガタ落ち。私たちの銀調が会社の寿命を縮めたことも度々あったようです。でも、私たち街金もアコギですが、協定組んで貸し渋りだなんだと弱い企業をシメ出している銀行だって負けないくらい冷たいと思いませんか。