0020_2019031300390567d.jpg 0021_20190313003906e40.jpg 0022_20190313003908b67.jpg 0023_20190313003909f3d.jpg 0024_201903130039117ee.jpg 0025_201903130039123e9.jpg 0026_20190313003914146.jpg 0027_20190313003915efc.jpg今年の初め大きく報道された「伝言ダイヤル殺人事件」にはずいぶん興味をそそられた。別に容疑者の犯行に驚かされたわけじゃない。携帯、ドラッグ、伝言ダイヤルといった現代的なアイテムが揃っていたことが大騒ぎの原因となったようだが、それ自体は別段どうってことはない。では、いったい何に興味を覚えたのか。それは容疑者がゲットした女の子の人数の多さに他ならない。どう口説いたのかは知らないが、2カ月たらずで数名の女性と会っていたというのだから恐れいる。過去、車が1台買えるほどの大金を伝言ダイヤルにつぎ込んでおきながら、2人しか会えたことのない俺とはえらい違いじゃないか。
まあ、容疑者は被害者から奪った携帯を使っていたので通話料を気にする必要もなかったわけだし、ホストをやっていた過去もあるというから、それなりにナンパトークもサエていたのだろうと想像はできる。しかし俺には、そんな理由だけであそこまで簡単に大勢の女とアポれるとは到底思えないのだ。そんなことをツラッラと考えながら事件の記事に目を通していたところ、ある新聞に、被害者の女性も携帯電話を利用していたというくだりを発見。ん、どういうことだ。普通、女性側の回線はフリーダイヤルだから携帯では利用できないはずだが。
ここでようやく俺はコトの真相を認識した。何のことはない、あの男が使っていたのは、伝言ダイ
ヤルではなく、伝言サービスだったのである。
伝言サービスとは、携帯電話会社が利用者へのサービスの一環として行っている伝言ダイヤルのこ
とだ。通話明細と一緒に送られてくるパンフレットぐらいにしか官辰されていないため、ツーショット業者のソレと比べて、さも健全であるかのような匂いを醸し出してはいるが、内容はほぼ同じ。むしろ通話料が高額になる。言えば、社会問題に発展してもおかしくない。そうか。これだったのか。もしかすると一般的な伝言ダイヤルに比べ、携帯電話会社の伝言サービスは相当オイシイのかもしれない。実際それを証明するかのように、被害者の女性のほとんどが、オープンメッセージに自分の携帯番号を入れていたという。普通のナンパ目的Q2ダイヤルには、そんな無防備な女はまずいないのが常識なのにだ。そうとわかれば、グズグズしている暇はない。仮にまたあのような事件が起これば、伝言サービスそのものが規制されてしまう可能性だってある。そんな事態におちいる前に、俺も目一杯女の子と楽しい思いをしておくのだ。さっそく携帯電話の代理店を回って伝言サービスについて調べてみたところ、似たようなサービスを行っている会社が複数あることが判明。あいにく、容疑者が犯行に用いた携帯会社を特定する報道はないので、俺は元々使っているIDOの伝言サービスを使うことにした。一口にIDOの伝言サービスと言っても、色々な種類の番組が設けられている(上参照)。「サークルランド」(複数の人間が同時に会話できるいわゆるパーティライン)、「ミュージックコミュニティ」(バンドメンバー募集の伝言)など、ナンパには使いにくそうな番組が多い中、出会いに直結した伝言サービスは以下の3番組。
・友達広場
・テレフォンじゃマール
・ケータイdeフレンドクラブ!
いずれも、オープンでメッセージを聞いた後、個人ボックスでそれぞれに伝言のやりとりをするという形がキチンと確立されており、唯一、オープンが男女混合になっている点を除けば、一般的な伝言
ダイヤルとほとんど変わらない。さて何はともあれまずは実際に利用してみよう。やはりあの容疑者と同じく、狙いはオープンに直電を入れている女だろう。伝言のやりとりという面倒臭い手間が省けるのもさることながら、不特定多数の人間に平気で携帯番号を教えてしまうほど警戒心の薄い女ならオトしやすいはずだ。男だらけのメッセージにウンザリしながらも根気よくオープンをチェックしていくと、ようやく友達広場でこんな伝言を見つけた。盛り上がりとは無縁の空々しい会話を交わしているうちに、色気もへったくれもない黒ずくめの格好でやってきた理由が判明した。シンナー中毒の元彼氏にこんな場面が見つかるとボコボコにされるので、地味な格好にしているの
だという。この女に入れあげる男がいるとはにわかには信じ難いが、左手には、折慌の証だという根性焼きの跡がいくつも残っていたから満更ウソでもないようだ。できればドライブだけでやりすごしたいと考えていた俺だったが、車がガラガラでアッという間に目的地に着いてしまったため、仕方なく近くのカラオケボックスへ入ること。歌も歌わずに自らの生い立ちを語るアヤコに、伝言サービスを利用した理由についてたずねてみた。
「理由?特にないよ」
「そうかもしれないけどさ、でも何かキッカケくらいあるだる」
「うん、携帯のパンフレット見てて、面白そうだなって」
「殺人事件があったことは知ってるよね」
「だから普通の伝言はヤバイかなって思ったんじゃん」
なるほど、やはり一般的にはあの事件に用いられたのは伝言ダイヤルだと思われているらしい。実
際、報道でも「伝言ダイヤル」の文字が踊っていたし、イメージカットにその手の広告が使われもしていたから、無理もないだろう。その後、色々と話していてわかったところによると、アヤコはテレクラも伝言ダイヤルも経験済み。その2つは今ヤバそうなのでこの伝言サービス1本に絞っているそ
うだ。午後1時、名古屋駅に到着。コーヒーを飲んでいると、ほどなくして現れたのは、元ヤン丸だしのややポッチャリ目の女。6時間後には静岡が控えているだけに、あまり気ノリのする相手ではないものの、ここまできてやらずに帰るのも我が身が悲しすぎる。カラオケボックスを発見。アケミが好きだというチェッカーズの曲をおどけた調子で歌いながら、徐々に体の距離を狭めていく。
「私ね、本当は他にも遊び友達がいるんだ」
「へえ、どんなヤツ」
「テレクラで知りあったんだけど」
またしてもテレクラ女。どうして同じようなヤツばかりなのか。俺はもっとスしてない.と遊びたいのに。形ばかりのカラオケを終え、さびれたラブホテルで慌ただしい情交を済ませた俺は次なる目的地、静岡へと向かった。
午後7時、新幹線が静岡駅に到着。駅前の古びたビジネスホテルにチェックインし、ソファで寝転がりながら今か今かとミキの連絡を待ちかまえていると、ようやく携帯の呼び出し音が鳴った。
「いま駅前にいるの」
ところが、駅前のロータリーをいくら探しても、それらしき女が見当たらない。1人だけ若い女がベンチに座ってはいるが、どう見てもプリクラとは似ても似つかぬ容貌だ。まさかアレ?イヤイヤ、そんなことはないだろう。第一あのドラえもんのような体ではブギーボードが沈んでしまうではないか。絶対どこかにほかの女が……いないな。逃げようかどうしようかとさんざん迷った揚げ句、ようやく意を決して声をかけると、彼女はムスッとした表情で立ちあがった。
「遅かったじゃない」
どうやらひどくご立腹のようである。腹を立てるべきなのは俺の方なんだがな。