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タグ:刑務官

  • 2019/04/29人生ドキュメント

         日本は、罪刑法定主義に基づく極刑として死刑制度を採用、第二次世界大戦以降、600人あまりが自らの命で罪を償ってきた。死刑廃止論が持ち上がり、賛否について問い質す声もあるが、その実態は個人情報保護法や関係公務員の守秘義務をタテに、明らかにされていない。死刑囚の最後を看取るのはいったい誰か?執行の手をくだすのは?最後の晩餐は?今回、自らの手で死刑執行を担当した現役刑務官に...

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  • 2018/11/01人生ドキュメント

           この雑誌を読み始めて約半年、考えてみれば、私の仕事場もある種の裏モノなのかもしれない。高い塀で囲われたその職場では、頭を丸坊主に刈り上げた何百何千もの男たちが昼間は製品加工やら自動車整備などの作業に労を費やし、夜は鉄格子で仕切られた各々の部屋へ帰る…。私は、そんな彼らを毎日監視し、日々保全に務めている。刑務官。これが私の仕事だ。念のために説明しておくと、刑...

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刑務官の語る死刑執行の苦悩

0228_2019042919495343c.jpg 0229_20190429194955ad3.jpg 0230_20190429194956159.jpg 0231_20190429194958ee5.jpg 0232_20190429194959a6b.jpg 0233_20190429195000730.jpg日本は、罪刑法定主義に基づく極刑として死刑制度を採用、第二次世界大戦以降、600人あまりが自らの命で罪を償ってきた。
死刑廃止論が持ち上がり、賛否について問い質す声もあるが、その実態は個人情報保護法や関係公務員の守秘義務をタテに、明らかにされていない。死刑囚の最後を看取るのはいったい誰か?執行の手をくだすのは?最後の晩餐は?
今回、自らの手で死刑執行を担当した現役刑務官に、話を聞くことができた。刑務官になるには、教養試験と、垂直跳びや上体起こしなどの体力検査に合格しなきゃなりません。
その後、8ヵ月の初等科研修を受けるんですが、ここでは行刑法、刑法、刑事訴訟法、憲法、法学概論やらの法令と、護身術や集団行動訓練、戒具(手錠、補細)、けん銃の取り扱いなどを学びます。
試験なんかもあって土日も外出しないで勉強しましたね。大変だったけど、同期の結束が固まりました。刑務官を続けていく上では、なくてはならない支えですね。
この研修で死刑執行のことも教わったはずなのに、記憶がないんです。恐らく、まさか自分がやるなんて思ってもなかったんでしょうね。刑務官の服務規程にも「死刑の執行を行う」なんて書かれてませんし。研修が終わった後は少年院に配属されて、矯正教育の方法とか収監者の扱いを覚えました。刑務官は転勤が多くて、原則的に2年ごとに日本全国を転々と移動するのが普通なんですよ。まあ、中には拘置所や刑務所所長に気に入られて、何十年も同じところで勤める方もいますけどね。
刑務官になって10年目、真面目な勤務態度が認められ、看守長の推薦で昇進試験を受験。看守部長に昇級した。その翌年、初めて刑場付設の施設に転勤となった。
ちなみに、現在、死刑場があるのは、札幌刑務所、仙台刑務所、東京拘置所、名古屋拘置所、大阪拘置所、広島拘置所、福岡拘置所の7つだ。転勤していきなり、死刑囚舎房の担当になりました。大きなところじゃなかったので少人数でしたが、とにかく気が重くて。死刑囚は、未決拘禁者待遇なので刑務作業をしたり工場に出る必要もありません。なので、起きたら(起床時間は6時訓分ごろ)夜9時の消灯まで、運動(応分)や入浴、宗教教海の他、独房で本を読んだり手紙を書いて過ごすしかない。よく言われるように、事前に執行日を告知すると自殺してしまうケースが多いので、いまは当日の朝、独房に呼びに行ってそのまま刑場へ、っていう段取りです。ですんで、朝の10時頃、刑務官の靴音が舎房に響くと、それだけで漏らしちゃう収容者もいるそうです。
ちなみに、刑事訴訟法には「死刑執行命令は判決確定の日から6カ月以内にしなければならない」と規定がありますが、執行された人について調べたら、平均期間は約7年5カ月にもなります。
日本は、絞首刑が用いられ、高いヤグラから吊す方式ではなく地階に死刑囚を落とす地下絞架式だ。
独房に《お迎え》に行き、刑場へ連行するのは担当看守ですが、それを引き継ぎ刑場で死刑囚を踏み板の上に導き、目隠しをしたりクビにロープをかける係の他、踏み板を開けるスイッチボタンを押す執行人も要る。そのため所長や管理部長、看守長らは、すぐさま6名ほどの執行刑務官を選び出す。基準は、それなりにキャリアを持つ、精神的に安定してそうな者だ。
かつて、新人を指名したら、重責に堪えられず自殺してしまった刑務官がいたためだという。命令書が届いたことは、すぐ看守仲間に広まりました。みんなは騒いでましたが、自分がかかわるとは考えてませんでしたから気楽なもんでした。
だから翌朝、所長室に呼ばれて《バタンコ(踏み板)》の操作ボタンを押す役を命じられたときは、本当にビックリしました。誰が押したボタンで踏み板が落ちたかわからないよう、3人が一斉に押すんですが、それでも確率は3分の1。まして、相手はあの強盗殺人犯だっていうじゃありませんか。完全に更生した人を殺すなんて、殺人と同じでしょ・心の中ではそう思いましたが、出せない。刑務官の世界って、タテ社会ですから命令は絶対。断れば、辞めるしかないんです。

刑務官、看守と言う犯罪者を見守る難儀なお仕事

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この雑誌を読み始めて約半年、考えてみれば、私の仕事場もある種の裏モノなのかもしれない。高い塀で囲われたその職場では、頭を丸坊主に刈り上げた何百何千もの男たちが昼間は製品加工やら自動車整備などの作業に労を費やし、夜は鉄格子で仕切られた各々の部屋へ帰る…。私は、そんな彼らを毎日監視し、日々保全に務めている。刑務官。これが私の仕事だ。念のために説明しておくと、刑務所とは、すでに裁判で懲役が確定している者が入るところである。そこで働いているのは、公務員の試験を受けたわれわれ職員のみとなる。対して、警察が一時的に容疑者を保護しておくところが留置場であり、一定の留置期間を過ぎた未決囚や死刑囚が入るのが拘置所だ(当然、無罪になったり、執行猶予で出ていく者もいる)。これまで、受刑者側による話は数え切れないほど世に出回っているが、彼らを監視する側の話はほとんど出ていないはずだ。私がこの「裏モノ」に投稿しようと思ったのも、その辺の事情からに他ならない。
話は、今から4年前の夏休みに遡る。進学だろうが就職だろうが誰もがムリヤリにでも将来を考え始めるこの時期、毎日ダラダラと遊びほうけていた私は、ハッキリ言って何も考えていなかった。が、さすがに2学期が始まると、周囲の連中は進路の話ばかり。学校側の「早く決めろ」攻撃も日増しに強まり、私もなんらかの決断を迫られていた。そこで親との相談の結果、進路先は公務員に決定。心底嫌いな勉強を大学に入ってまでやる気はなかったといって仕事を生きがいにするような人間じゃいことは百も承知していた。ま、公務員と一口に言ってもいろいろあるわけで、まず頭に思い浮かぶのは役所や警察、消防など。が、私が選んだのは国家3級公務員である刑務所職員だった。なぜかと聞かれても、正直言ってわからない。なにしろ行われた筆記試験の内容も、その後の面接で答えた志望動機も、なにひとつ覚えていないのだ。そして翌年の3月、高校を卒挙した私は、刑務官デビューを果たす。と同時に、独身寮へ入ることになった。寮は木造3階建ての古い造りで、プロ、トイレ、げた箱が共同のいかにもな建て物。刑務官の寮などと聞くと、なにかとんでもない上下関係や規律がありそうだが、先輩たちによるシゴキやイジメはほとんどないし、特別な規則もないから、何時に帰って来ようが、女を連れ込もうがまったく問題ない。では話を仕事の方へと移そう。刑務所の職員は、実際の仕事に入る前に、まず研修を受けることになっている。最初の座学でたたき込まれるのは、刑法や監獄法など。要するに刑の種類や受刑者の義務、権利などといったことだ。受刑者の権利っていったい何の権利なんだと思うかもしれないが、これは後々述べていくとしよう。そして、研修の後はいよいよ先輩に付きながら、受刑者とのご対面。初めて懲役(受刑者)の姿を見たのは、朝の恒例、カンカン踊りというやつだった。カンカン踊りとはなんぞや。まさか受刑者がダンスするわけじゃない。よくテレビなどでも紹介されるとおり、懲役は昼間、刑務所内の工場で労働させられるのだが、
舎房(監獄)から工場へ移動する際に、必ず服を脱ぎ、刑務官から検身、つまりボディチェックを受
ける決まりになっている。このとき手を伸ばしたり、足を開いたりしている様をカンカン踊りと呼ん
でいるのだ。初めてこの踊りを見た感想は、まさに入れ墨の踊り・腕や背中、尻にかけて、これでもかというくらい彫り物を入れた連中がウョウョいるのだ。指が1本ないヤシも結構いるし、やけにリッパなモノをと思ったら真珠まで入れていたり…。要するに、ヤクザの占める割合がやたら多いのである。ま、あらかじめ予想はしていたが、間近で見ると、まともに目は合わせられない。そりゃそうだ。当時、一応、ラグビー部でバックスを務めていたものの、やせた体付きが災いしてか、3年間ずっと補欠だった。そんなやせっぽっちの少年の前に、ゴッイおっちゃんがゾロゾロと列を作ってニラミを利かせてくるんだから、ビビらないわけがない。刑務官になりたてのころは、ゴッイ懲役たちにビビリながらも、ある意味では彼ら以上に時間に厳しい環境に辞易していた私だった。が、月日が経ち、夜勤を任されるようになってからは、体が慣れたのか、前の晩に彼女の家でヤリ過ぎても、キャバクラで飲み過ぎても時間どおりに出勤できるようになっていた。それどころか、こうして生活に余裕ができ、大人の遊びってヤツを覚えてくると、遊びに遊びまくっていた(であろう)懲役のオッサンたちの悲哀が理解できたりするから、まったくもって皮肉なもんだ。確かに、先に挙げた1日のスケジュールをざっと見ても、受刑者に楽しみなんてほとんどないと思うかもしれない。ところが、やはり人間ってもんはどんな状況下におかれてもそれなりの楽しみを探し出す生き物なのである。刑務所の中でのいちばんの楽しみ、それは何といってもメシだ。こればっかりは老若を問わずほぼ全員に共通して言えよう。皆、かきこむように食べているが、その表情は実に生き生きしている。よく世間では「クサいメシ」などと言われるように、刑務所の食事はマズイと思っている人がほとんどだろうが、そんなことはない。特に、私が担当している箇所はオカズの種類も豊富で、懲役が食うメシの方が職員専用の食堂よりずっとウマそうだったりする。また、祝日には祝日菜といって、ジュースやお菓子なども配られる。コワモテのニイちゃんがおいしそうにポッキーなどを頬張っている図もまたどこかほほえましいものである。また、身寄りのある者だけに許された楽しみが面会である。このときばかりは皆、人が変わったようにうれしそうな顔を見せる。さすがに食べモノの差し入れは禁止だが、本や雑誌(一応、検閲をかける)、また石鹸や歯ブラシなどの日用品はOK。何より近しい人間と言葉を交わせるのがたまらないようだ。面会室では、アクリル版を挟んで相手と話ができることになっており、面会できるのはあくまで親族限定。話の内容も、われわれが監視しているので、決してへタなことは話せないようになっている。…ハズなのだが、どうもそうじゃないらしい。あれは、確か職に就いて2カ月ほど経ったころだったと思う。面会の監視もいくつかこなしていた私は、ある日、一目見てヤクザとわかる右の薬指のない中年男を面会室へと連行した。面会相手は、奥さんの弟だという。普通、面会の話の内容といえば、ほとんどは子供が何才になったとか、どこどこの誰々が結婚しただの亡くなっただの、たわいもない話ばかりだ。そのオヤジと義弟の会話は確かこんな感じだったと記憶している。「そういえば、オメエんとこのタコ焼き屋、儲かってんの?」
「まあね、ボチポチ」「最近はあれか、やっぱりタコが高いだろう?」
「まあグラム350ってとこかな。でも、先月は客が来なくて、赤字だったよ。たまんねえなあ」
もちろん、私は生涯無縁である。…と言いたいところだが、ここだけの話、正直に告白しよう。実は、自分も懲役と取り引きをしたことが一度だけあった。ただ、ヤツらの見返り欲しさにタバコをあげたりするような幼稚なマネじゃない。さきほど「今はボコボコにできなくなった」と書いたが、実は2年前、あるイヤミな上司が部下に声をかけ、一人の懲役をボコボコにした挙げ句、保護房に3日間放り込んだことがあった。保護房は、懲役にとってはもっとも避けたい場所である。もともと暴れて手に追えないようなヤツを入れておくところだけあって、扱いは独居房に輪をかけてヒドイくなる。皮手錠をかけられわ、ちょうど尻の穴の位置に穴が開いたパンツをはかされるわ、メシは犬のようにして食わなければならないわで、もう完全に動物以下。なるほど、まだ懲役の方に非があれば、納得できたのかもしれない。しかし、この一件は誰が見ても不当だった。懲役はバカ上司の単なる気まぐれで、犠牲になってしまったのだ。もちろん、これには懲役本人もガマンならなかったようで、彼は「刑務官の暴行を訴えたい。協力してくれないか」と私に嘆願してきた。正直、迷った。バレれぱ一大事である。やはりクビにはなりたくない。がしかし、男の無念をこのまま見過ごしておいていいのか…。結局、私は彼の奥さんに、本人の安否を知らせてあげることくらいしかできなかった。それが自分にできる精いっぱいの施し、言い替えるなら上司への裏切りだった。ただ、盗聴でもされていたらシャレにならないので、奥さんとの電話での会話もすべて暗号だ。
「スカイライン、エンジンの調子どう?」
「まあまあですね」
「ちゃんと走ってるのかしら」
「大丈夫ですよ、毎日ガソリン入れてるし」
そう、スカイラインとは懲役本人のことで、ガソリンとはメシのことである。このときばかりは、暗号を使って相手と会話するヤクザたちの痛快さと緊張感がなんとなくわかったような気がした。しかし、いくら感謝されても、お礼だけは絶対に受け取らなかった。もし受け取ればぱ、あのイヤミな上司と同じになってしまうではないか。「刑務所の職員をやっている」と人に堂々と言えるようになったのは、ごく最近のことだ。なぜだろう。わからない。普段は懲役たちをぞんざいに扱いつつも、ときにはヘンな正義感に燃えてしまう目分にずっと矛盾を感じていたのかもしれない。しかし、最近はそんな迷いも不思議となくなった。まだ就職したてのころ、出所してはスグに戻ってくるリピーターの懲役が子分に向かって「刑務所なんてスグに慣れる」と励ましていたのを耳にしたことがあるが、それはむしろ僕ら刑務官に言えることである。すべてに慣れあらゆる私的な感情を抑えながら日々、励むこと。ただ、それだけだ。冗談やヨタ話はキャバクラのネーチャン用に取っておけばいいのだから。
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