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つき合って2年になる私の彼氏にはちょっと変わった性癖がある。いわゆる露出プレイってやつ。公園や駐車場で裸のまま私を歩かせ、他人の目にさらすのが大好きなのだ。もちろん私自身もそういうシチュエーションに興奮しちゃうんだけど、あまり調子に乗りすぎると、やっぱり、考えもしないハプニングも起きるわけで…。学生にはちょっと刺激が強すぎたかな?
 昨年の夏、彼氏がいきなり言いだした。
「裏モノでさ、宅配ピザを呼んで、女の子が裸で受け取るって企画やってたじゃん。俺たちもやろうよ」そう、元奴隷のももちゃんのマネごとをしようというのだ。本当、裏モノが好きなのね。私もだけど。
「やってもいいけど、私のマンションじゃやだよ。近所に変な噂たつと嫌だもん」
当然のことを言う私に、彼氏が猛然と反論する。
「ダメダメ。俺の汚いアパートじゃ、いかにも男にやらされてるなってのがモロわかりじゃん。オマエの家じゃないと面白くないって」
「え〜、やだよ〜」
「いいじゃん、な? やろうよ、お願い!」
結局、彼氏の説得をしぶしぶ受け入れることに。もう、何か変なことになったら引っ越し代出してよ!数日後、ピザの宅配を注文し、バスタオル一枚で到着を待っていると、玄関のチャイムが鳴った。「ね、来たよ来たよ」
「おし、じゃ頑張って。俺、ここで隠れて見てるから」
彼氏の声に背中を押され、玄関へ。いざドアを開ける。
「はーい」
「お待たせいたしましたー」
外で待っていたのは大学生風のイケメンだ。私の姿を見た途端、気まずそうに視線をそらしうつむいている。恥ずかし〜。と言いつつ、これで終わるつもりはない。お釣りを受け取る際、はらりとバスタオルを落として全裸になると、チラ見した彼の動揺が手に取るようにわかった。両目、シバシバさせてるし。
「あ、やだ〜。ゴメンね〜」
「あ、いえ…」
そのタイミングでもう一度私の裸を盗み見て、慌てたように立ち去る彼。学生にはちょっと刺激が強すぎたかな?それから数日後のことだ。夜、自宅でひとり夕飯を食べていたら、突然、ピンポーンとチャイムが。てっきり彼氏が遊びに来たのかと無警戒にドアを開けた私は絶句した。
「あ、あの、こんばんは」
先日のピザ屋の男の子が立っていたのだ。それがわかるのに数秒時間がかかったのは、彼がピザ屋の制服ではなく、私服姿だったからだ。え、なになに?彼はおずおずと1枚の紙切れを差し出した。
「勝手にお邪魔してゴメンなさい。これ…」
それだけ言って彼はすぐに帰っていった。受け取った紙切れにはメアドとケータイ番号が書いてある。どうも私に気があるっぽい。何となく彼にメールしてみることにした。勇気を振り絞ってわざわざ自宅まで押しかけてきた彼の行動が妙にかわいく思えたのだ。それにちょっとイケメンだし。
︿こんばんは。今日はちょっとビックリしたけど、私でよければ仲良くしてくださいね﹀
 すぐに返信が届いた。
︿メールありがとうございます! 期待してなかったのでめちゃ嬉しいです!﹀
 こうしてその日以降、メールのやり取りが始まったのだが、やっぱり彼の関心はあの裸事件にあるようで、そのうちこんな文面をたびたび送ってくるようになった。
︿あの時はホント驚きました。また今度ピザ届けるときも、セクシーな格好だったら嬉しいなぁ﹀
 もちろんそんな時は、
︿だからあれはたまたまお風呂に入ってたからって言ってるじゃ〜ん。もう私、あんなはしたないことしませんよーだ﹀
といなした。彼は、あの日の出来事が私たちカップルのイタズラだとは知らないのだ。これ以上、刺激して変な期待を持たせるのはよくない。ピザ屋の子はイケてるけど、だからといって彼氏を裏切って浮気するつもりはさらさらないのだ。ピザ屋くんとメールをはじめて2週間が過ぎたころだろうか。彼氏がまたゲンナリすることを言いだした。
「またピザ屋を呼んで裸ドッキリをやろうぜ」
「えー、やだよ」
「だってチョー面白いんだもん」 
 結局、嫌々ながらもリクエストに応じることにしたのだけれど、ただ胸をかすめる不安がひとつ。神様、お願い。配達人をあのイケメン君とは別の人にして!しかし願いも虚しく、我が家にピザを運んできたのは他の誰でもない彼だった。バスタオル姿の私を、彼が何とも言えない表情で見つめてくる。そして無言のままヨタヨタと歩み寄り、いきなり私を抱きしめた。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って! やめて、お願い」
イケメン君の唇がゆっくりと私の顔に迫ってくる。奥の部屋から怒号が響き渡ったのは、まさにその時だった。
「てめー! 人の女に何やってんだコラ!」
怒り狂った彼氏にボコボコにされたイケメン君は、夢でも見たように呆然としながら、その場から去っていった。まぶたを赤く腫らしながら。以来、彼からのメールはぱたりと途絶え、ピザの注文も控えることにしたのだが、あのときのことを思い出すといまだに胸が痛くなる。彼氏と一緒に謝ります。本当に悪いことしちゃったね、ゴメンなさい。