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旅行代理店や駅に置かれたチラシを見るたび、不思議に思っていた。なぜ2、3万円台で海外に行けるのか?ハワイやグアムなどのリゾートを筆頭に、北京や台湾、韓国あたりなら2万円を切るツアーも少なくない。常識では考えられない激安価格だ。何かしらのカラクリがあるに違いない。いざ現地に着いたはいいが、ホテルはボロボロ、事あるごとに追加料金とか。海外激安旅行の正体、この目と足で確かめてやる!
【人気の午前便で行く、ソウル3日間 2万4800円〜】
大阪市内の旅行代理店でチラシを見つけた。もちろんホテル付き。なんで、こんなに安いの?
窓口で尋ねたところ、海外旅行の代金は、基本的に客の需要によって上下するため、夏休みや連休以外の日曜から水曜までの出発日なら、かなり安くなるのだという。
9月21日出発は、3連休の前日だから需要も最大。9月の下旬は中間決算の前なので、年間で最も安い時期なんだとか。故に9月30日が最も安いわけだ。よし、決まり。
「こちらのツアーですと、オプショナルツアーが無料でお付けできますよ。タダですので、お付けした方が絶対にお得だと思いますよ!」
やけにしつこく勧めるあたり怪しいが、そこまで言うなら申し込もう。と、納得したところで思わぬ問題が。
「ご旅行は、何人様で?」
「ん? 俺1人だけど」
「申し訳ないんですが、この金額は、お2人様からの料金になっておりまして。お1人ですと、単純に2倍かかってしまうんですよ」
って、1人でも2人でも、総費用は同じってこと? いきなりダマされたような気分だが、仕方ない。ヒマな友人でも誘うか。まずは、出発前に日程表を確認しておきたい。
《1日目》9月30 日
●関西国際空港発 9時40分
☆現地係員がご案内します。
《2日目》
10月1日
●ソウル滞在
☆3大人気免税店巡り後、自由行動。夜プランへ。
《3日目》10月2日●ソウル発 14時15分 
☆朝、係員が参ります。途中、お土産屋に案内いたします。 ほとんど買い物で終わるんじゃないかと思わせるスケジュールだ。しかも、朝6時には家を出ないと出発に間に合わない。不安…。
 行きの飛行機は、予想以上に快適だった。およそ1時間40 分のフライト中は、映画を楽しみながら機内食のちらし寿司に舌鼓。韓国人スッチーも、全員が美人で気分がいい。ところが、仁川国際空港に着くと、すぐにソウル市内の東和免税店に送り込まれた。5万円のブランドもののバッグや1本7千円のアイスワインなど何の興味もない。ていうか、朝9時半の出発は、ここに寄らせるためか?
 ムリヤリ買わされる気配もないので、10分もたたない内に外をぶらつく。ちなみに、免税店では60分の時間が取られていた。午後3時、宿泊先のホテルへ。外観も室内も立派な4ツ星クラスだが、天井がやけに低く、窓の外には温泉マークの建物(連れ込み宿)がズラリ。歌舞伎町のラブホ街のようなロケーションだ。翌日の朝までは自由時間。ホテルから歩いて行ける南大門市場と明洞市場で買い物を楽しみ、サムギョプサルを食す。実に幸福な気分だ。
問題は2日目である。朝9時の集合にガイドの女が遅刻。しかも、旅行会社のワゴン車で最初に向かった先が、なんと昨日行ったばかりの東和免税店。なんで同じ店に!?
 例によって外で時間をつぶした後は、小汚いビルの地下にある怪しい水晶屋へ。なんで韓国くんだりまで来て、水晶を買わにゃならんのだ。
「次は新羅免税店へ行きます」
ガイドの号令で、都合3度目の免税店へ。このあたりからガイドの機嫌がどんどん悪くなっていく。俺たちが何か聞いても、まともな答が何一つ返ってこないのだ。
「あの建物はなんですか?」
「わかりません!」
「あの駅名は?」
「知りません!」
終始この調子。最終的には、韓国語で何かを叫んだ後は、次の目的地まで携帯電話を耳から離さなくなった。何をそんなにイラついてんだ?疑問は、新羅免税店に到着する直前に判明する。
「買い物しないなら、30分後にここに来てください!」
我々が何も買わないのが気にくわないようだ。そんなの知るか!
「あと一軒、民芸品を見に行きます。それから解散!」
ガイド、完全に切れちゃってます。
 午前
11時30分。裕昌民芸品に到着。キムチや韓国海苔など、ありがちな土産物屋だ。
「買わないなら、早く出てきてください!」
もはや、集合時間も指定しないガイド。イラつきが頂点に達しているらしい。後で知ったことだが、どうやら我々が店で金を使うと、彼女にリベートが入るそうだ。予定を30分繰り上げ、バスは南海炭焼なる焼肉屋へ。ここで、オプショナルツアーを選んだ客だけに権利がある人気ランチを食べられるらしい。メニュー表の写真を見て納得いった。美味そうなカルビやロースが並んでいる。こんなほうびがあるなら、ガイドの態度もガマンしよう。
 
10分後、運ばれてきた料理を見て目を疑った。ナムルが乱雑に乗ったヌルめの石焼ピビンバのみ。これを食うために、4時間近くも店を回させられたのか?
この後、3時間の自由時間を経て旅は後半戦の「ウォーカーヒルカジノ」へ。午後4時半、集合場所のカジノは、ルーレットやポーカーなどがズラリと並ぶ本格的な店だった。特に縛りはなく、無料でビールを飲み、適当にゲームをするだけ。ギャンブル好きにはたまらないだろう。
10時半。バスが南大門屋台に到着。ツアーの中身は、屋台めぐりとは名ばかりの、ガイドが各グループごとにお勧めの店を紹介してくれるというものだった。が、出てきた料理は、想像を超える辛さだった。砂肝だけは何とか口にできたが、他はとても食えない。結局、ほぼ手付かずで店を出るしかな
かった。最終日。あとは14時15分の飛行機で日本へ戻るだけ。と思いきや、空港へ向かう途中でガイドが叫んだ。
「キムチのお店に行きます!」
最後の最後まで、土産物屋へ強制連行させる気らしい。マジで勘弁してくれ。いやいや中に入ると、女性店員が近づいてきた。
「こんにちは、わたしはキムです。今から美味しいキムチを紹介します」
流暢な日本語で数種類のキムチを取り出し、「コレ食べてください。コレも食べてください」と勧めてくる。
「おいしいでしょ?保存料入ってませんよ。国内産です」
まんまテレビショッピングだが、俺たちが買う気無しとわかるや、彼女は笑顔を鬼のような形相に変え、その場を去っていった。これだけタイトなプログラムでは、旅行というより、修行に近い。 
だが、俺は帰国後、ようやく気づく。オプションを断っておけば、普通に旅を楽しめたのではないか。無料と言われ、思わず申し込んだ俺が世間知らずなだけだったのではないか。 
よーく、勉強になりました。