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社会人を対象に、カラオケやギター、ボウリングなどの趣味を教える家庭教師があることをご存知でしょうか。先生はプロ級の方から、その道では食べていないアマチュアまでさまざま。指導を受ける際には、生徒と先生2人だけです。初回授業は無料で、もし気に入った場合は以降、継続して授業を受ける仕組みになっています。つまり、先生たちにとっては初回授業で生徒をいかに契約させるかが重要になってくるわけです。迷わず僕が選んだのはカラオケでした。指名したのは一番ランクの低い素人クラスの先生です。最初の受講日時は金曜日22時にしました。すでに決めていたある作戦を実行するためです。約束の時間。待ち合わせ場所の歌舞伎町のカラオケボックス前に私服姿の先生がやって来ました。松たか子似の黒髪女性で、年齢を聞けば31才。歌手を目指すフリーターだそうです。
「今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくね。私も日が浅いから何でも言ってください」
ところが、ここでトラブルが発生。部屋が満室だというのです。周辺のカラオケボックスを見て回りますが、どこも満室。狙い通りの事態が起きました。受講をこの日時にしたのは、カラオケが満室になることを見越してのこと。歌舞伎町をウロウロ歩きながら、途方に暮れた先生に提案をします。
「カラオケだったら…この先の同じ系列の施設にあると思いますよ。個室だし、そこにしましょうか」カラオケ店と同じ系列にあるラブホテルのことですが、もちろん「ラブホ」とは口にしません。
無事、自然な流れでホテルの受け付けを済ませました。「なぜこんなにすんなりと?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、あちらにすれば「どうせ1時間ほどの授業だし、まいっか」という気持ちなのでしょう。部屋に入り、さっそくカラオケの授業を…とここでまたトラブル発生! ホテルにカラオケ設備がなかったのです。まあ、知ってましたけど。
「先生、ちょっと喉がかわいたので軽くドリンク頼んでいいですか? あとごはんも」
すんなりと2人でビールで乾杯。簡単な自己紹介が始まると、もはやカラオケの話はどうでもよくなってきました。さあ、ここからが腕の見せどころです。
「先生はなんでこの仕事したんですか?」
「私ね、音大出ててずっと歌手目指してたんだけどなかなかデビューできなくて。いまのバイトだけじゃお金足りないから最近これもはじめたの」
そもそも、素人でこんなサービスに登録してる人なんて、お金に困っているのは目に見えてます。
「もう一杯飲みましょうか」
さらに酒を注文すると、自分語りをしながらどんどん酔っ払っていく先生。ついにベッドにゴロンと横になってしまいました。
「もう私どうしたらいいんだろ?」
こちらも先生に合わせて添い寝します。そのままゆっくりと頭をなでなでしてあげるうちに、言葉が途切れておとなしくなりました。はい、ゴールイン!