0228_2018120122030565d.jpg 0229_201812012203069c0.jpg 0230_20181201220308208.jpg 0231_20181201220309e9b.jpg 0232_20181201220311eb7.jpg 0233_201812012203128a8.jpg
結局、自分には信念がなかったんですよ。世のため人のために尽くす正義感も、金のためと割り切る潔さもない。だから中途半端なことをしてつまずいた。いまさらカッコ付ける気もないけど、挫折知らずで弁護士になっちゃったのが、第一の要因でしょうね。2カ月後、内山は、前川から2人の依頼人を紹介される。1人は日本国籍の日米ハーフで、アメリカ国籍の弟が大麻取締違反の罪で逮捕されたので保釈で身柄を解放してほしいと頭を下げた。もう1人は、額面4千万円の手形の支払いを1千万以内でストップしてほしいとの依頼だ。いずれも難題だが抜け道はある。前者は被告人が海外逃亡しないよう裁判所に「パスポートは責任もって保管します」と弁護士が誓約書を提出すればいい。後者は「手形の取り立ておよび支払い禁止の仮処分」を得る手があった。三つ当な弁護士なら、絶対
にやらない裏技なんですよ。特に手形の件は、「編し取られた」って裁判所にウソをついて不渡りを逃れる手口ですからレッキとした詐欺です。実際、後になってこの方法を繰り返した連中が逮捕され、荷担した弁護士も捕まってますから。断った方がいいのはわかってました。でも、マツちゃんに「2人を助けてやってくれ」と頼まれれば引き受けざるをえない。いや、自分の手腕に自信はあるし、どこかで金の期待もあったんですよ。案の定、さっさと事件を片づけると成功報酬として400万が転がり込んできました。で、気をよくしたマツちゃんは「紹介したい店がある」って銀座の「ピロポ」に連れてってくれた。『ピロポ』といえば当時の銀座でも1,2を争う高級クラブで、ホステスも八千草薫や梶芽衣子ばりの美女ばかりですよ。弁護士会の先輩と繰り出す店とは格が1つも2つも違う。