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勝ち組ホームレスの生み出した裏ビジネス地域通貨
東京某区の公園内。青いビニールで覆われた段ボールハウスが立ち並ぶ一角から少し離れた更地に、風変わりな人物が住んでいる。
苅谷シンジ(仮名)
5年前に長らく勤めたコンサルティング会社が倒産、再就職先を探すうち貯金を使い果たし、路上へと流れ着いた。パッと見はすり切れたスラックスにチェックシャツを着込んだ典型的な路上生活者。しかしその実、苅谷は、ここ3年ほど、ある裏ビジネスによって月に15万もの収入を得る、超勝ち組ホームレスだ。
「仲間たちに騒がれるとマズいんで、あまりおおっびらには言えないんですけどね。でも、いい稼ぎを見つけたのは本当ですよ。これ、見てください」
慎重に彼が取り出したサイフに、数十万以上の札束がギッシリと詰まっていた。
「話は、02年の春にさかのぼる。当時、空き缶の収集で生計を立てていた苅谷は、巡回先のゴミ集積所でー冊の小説を拾った。石田衣良の短編集『骨音』。そのうちの1編「キミドリの神様」を読み終えた瞬間、彼の頭に天啓が下りた。「その小説で、初めて地域通貨ってものを知りましてね。こいつを応用すれば、面白いことができるんじゃないかって」地域通貨とは、あるコミュニティの内部だけで通用する独自のお金のことだ。現在の刑法では、「円」さえ偽造しない限りは、いくら独自の貨幣を作っても罪には当たらない。例えば、雑誌の読者だけで利用可能な「ウラモノ」なるオリジナルの通貨を勝手に流通させても構わない。有名なところでは、博多区だけで通用する「よかよか」や、苫小牧市の「ガル」などがある。「それなら、私も参加者を募って、地域通貨を発行してみたらどうかって。といっても、単に新しいお金を作りまくろうって話じゃないですよ」
当然だ。貨幣の価値は商品との相対的な量で決まる。勝手に大量の紙幣を作ったところで、激しいインフレが起きるのがオチだ。そこで彼は、地域通貨にひねりを加えた。
「参加者からいくらかの入会金を受け取るんです。で、そのうち7割を地域通貨としてバックする」
例えば、入会金が5干円の場合、参加者には4千円分の通貨を支払う。ポイントは、管理者の手元に残った千円の使い道である。
「それから、メンバーにはさらに参加者を集めてもらいましてね。ー人加わることに、勧誘者には入会金から何割かを払う、と。後はそれを繰り返すんです」
おわかりだろう。苅谷が思いついたシステムとは、地域通貨をクッションに挟んだ、ネズミ講の変種に他ならない。
「その辺も調べました。正直、かなりスレスレですけど、メンバーを辞めるときはちゃんと円に戻して返しますし、内部じゃ通貨として利用できるわけですから。間違いなく合法ですよ」
貯めた金は支援団体の口座に初期のメンバー集めには半年かかった。思いの外システムの説明に手間取ったのだ。「そうりゃそうですよね。最初からマルチまがいだなんて言えませんし、入会金を支払う点もネックになりました。それでも、何人かは意図をくみ取ってくれましてね。5人からスタートしたんです」参加者が集まったところで、通貨の発行に移る。空き缶集めで貯めたー万円をはたき、ワク線の中に通貨名を記しただけの簡単な『専用通帳』をキンコーズで作成。初期メンバーに手渡した。「要はポイントカードみたいなもので、何かを買うたびに残額を書き足していくわけです。最初は紙券を作ろうと思ってたんですが、その方が法律に触れにくいと思ったもので。この後は割とスムーズに進みましたね」メンバーは着実に増え続けた。
「へタに金が貯まったもんで、怖くなっちゃいまして。いまは、小分けにして、支援団体の口座に預けてるような状況です。アパートを借りられるだけの金ができたら、また再就職先を探すつもりですよ」