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昨日、依頼をかけてきたのは産婦人科の医者をなんとかしたいって主婦だった。
患者として病院に通ううちなんとなく関係しちゃったんだけど、旦那にバラされたくなかったら言うこと間けって口ープやムチを出してきて縛ったり叩いたりしたらしい。で、「あんなヤツとは知らなかった。あいつの化けの皮を剥がしてやりたい」ってわけ。けど、相手の医者ってのが地元じゃ誰でも知ってる有名人なんだよ。ま、そういう人間の信用を傷つけるにはスキャンダルがいちばんだからさ、サクラの女の子を近づけてSMプレイ中の写真をバラ撒こうかと思って。
CCDカメラをブランドもんのスカーフに包んでソファの上とかに転がしておけば、盗し撮りなんか簡単にできるからさ。依頼人もおもしろそうだって喜んでるよ。
料金?30万。こんなの領収書切るわけじゃなし、相手の懐具合を見ての言い値だよ。ま、普通の主婦が出せる金額ってのはそんなもんでしよ。
さっそく明日、協力してくれる女の子を病院に送り込むよ。手が早いヤツらしいから、ちょっと色目使わせれば一発じゃないの。
金になることを確信した都並氏。といっても「嫌がらせ引き受けます」なんて宣伝文句じゃ客が敬遠する。考えた挙げ句氏はエリア限定のミニコミ誌に冠のもやもや晴らしますと意味深なキャッチフレーズで広告を出す。
すると驚いたことに、恨みを晴らしたいという依頼が堰と切ったように舞い込んでくるようになったという。彼は考えた。ビラを貼るにしてもへタをすれば不法侵入に問われかねない危ない仕事。それをホイホイ引き受けていてはァっという間に評判になり、警察沙汰になるのは目にみえている。
そこで氏は自分の身元を隠すために一芝居つつことにした。問い合わせの段階で事情を聞き、嫌がらせの場合は「うちでは受けられないが引き受けてくれそうな業者をご紹介しましょうか」と、相手の電話番号を聞く。そして少し時間をおいた後、
「紹介を受けました便利屋ですが」
と、別業者を装い連絡を入れるのである。連絡するときはトバシの番号を、ワザと表示させてかけんの。向こうもほとんど携帯だから、番号が出ればなんとなく安心するでしよ。
で、最初に必ず本人と会って面識を取っておく。だって、法に触れるようなことして最終的に依頼人に寝返られたらシャレになんないだろ。だから信頼できそうなやつか見極めなくちゃ。
中には電話で話す分にはわからなくても、明らかに常軌を逸脱したストーカータイプや精神分裂気味の人、あとは相手と刺し違えてもいいなんて言う捨て鉢なヤシもいるからね。そんなのに関わり合ってこっちの身が危険にさらされるようなことしたくないもの。
本当は証拠になるようなものは残さない方がいいんだけど、自衛策として依頼の内容をカセットテープに録音しておく。「申し訳ありませんが今の内容はこちらで録音させてもらいましたので今後はいっさいオフレコでお願いします」って断り入れてさ。裏切るつもりはなくても、ウッカリ洩らしたことばが命取りになりかねないから、依頼人にも共犯であるということをキッチリ肝に命じさせなくちゃ。あと、最大のコツは依頼人にオレを信頼させること。そのためにもへタに罪悪感を持たせない方がウマクいく。だからオレ、絶対「復讐」なんて強いことばは使わない。
「あなたのお悩みはもっともです。けど、その心の痛みは人に言ったところで晴れるもんじゃありません。私が相手の方にお灸をすえましょうか」って、正当化してやるんだよ。
後は予算を聞いて、じゃこういうことができますよってシナリオを提示する。これが大事。ターゲ
ットの動きを読まなくちゃならないし、しかも客の話を聞いてすぐに、これだけの方法がありますよ
って、いくつかの選択肢を挙げられないと。
最初は「復讐の手引き」とか本を買って勉強したんだけど、実戦には役立たない。やっぱり自分の経験から考えだすのがいちばん。ま、オレって人はいいんだけど悪知恵が働くからさ、次から次へとアイデアが出ちゃうんだ。