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境内でひとたび写真を撮れば、必ず心霊が写り込むと言われる寺がある。千二百年の歴史を持つその寺の界隈は、昔から死体を野ざらしにして土に返す風葬地で、野山に点在していたそれら8千もの墓石が1ヶ所に集められた。8千人分の怨念が渦まくとの噂が絶えないお寺、それが化野の念仏寺だ。
心霊写真、撮ってやろうじゃないか。境内へ続く階段を登る。受付のお姉さんに質問してみよう。
「こちらのお寺さんってよく幽霊が出るって聞いたんですけど、何かご存じですか?」
「あ〜、お話はよう聞きますね。古いお寺なので。私は見たことないですけど」
「心霊写真が撮れるって話もありますよね」
「ああ、そんなような噂もあるみたいですねえ……。あの、禁止エリアでの撮影はしないようにお願いしますね」
意味深な間があったように思えたが、気のせいだろうか。お姉さん、何か隠してない?標識にそって小道を歩くと、境内の中央に「これより中、撮影は禁止」と書かれた看板が。どうやらこの先が、心霊写り込みエリアらしい。「これより中」には、石垣で囲まれたスペースに、古い石仏がビッシリと並んでいた。8千の石仏とはこのことか。では撮影会へと参ろう。寺の関係者や参拝客に見つからないよう、こっちをパシャパシャ。あっちをパシャパシャ。なんでこんなこと禁止するかねぇ。神秘性を増すために、あえて禁じてるってことかな。クルマに戻り、撮ったばかりの写真を一枚ずつ確認する。やっぱ、オカシなものはなーんも写ってないし。深夜に踏切を渡る途中、後ろを振り返ると、女の霊が恨めしそうに立ってるんだそうな。現場は竹林の小道の奥にあった。竹林と神社が有名な観光スポットだけに、周囲は人力車のお兄さんたちや観光客でごった返している。まだ深夜には早いので、聞き込みでもしておこう。ちょっと人力車のお兄さん、すみません。
「ああ、そこの踏切ですか。しょっちゅう飛び込んでますよ。最近も女の人が亡くなったみたいだし。幽霊は見たことないですけどね」
 お次は土産物屋のおばさん。
「女の人の霊が出るって聞いたんで、夜に歩いてみようかと思ってるんですけど」
「あーそうですか。最近もね、女の人が飛び込んで自殺したみたいですよ。そういえばその女の人ね…」
え、なに、どうしたの?おばさんは小声になった。
「首が消えた言うてましたわ」
「え?」
「飛び込んだときに首がなくならはって! みつからんかったって!」
さすが観光地のおばちゃん、わざとビビらせようとしているようだ。そんな話、信じないし。いったん宿に戻り、深夜0時、現場に戻ってきた。街灯に照らされて浮かび上がって見える踏切は、なるほど自殺志願者にとっては、味なロケーションかもしれない。では渡ります。横切って、後ろをチラリ。誰もいない。もう一度。横切って、後ろをパッ! 無人。もういっちょ。ほい、もういっちょ。ほれ、もっかい。こりゃ不審者だな。あくる夜、女性の霊が絡むスポット、「幽霊街道」とよばれる峠道へ向かうことにした。深夜に車で走ると、30代の女が車めがけて突進してくる。しかし轢いたはずなのに、死体はおろか血痕すら残されていない。地元警察にそんな相談が、古くは1940年代から何度も届けられたことで、そいつは霊なのではとの噂が広がったらしい。深夜、幽霊街道の起点となる京都市の市原駅の交差点から、40号と示された道へ車を進める。街灯がまばらに設置された田舎道を、北東の方角へ。すぐに民家の数はまばらになり、街灯の数も減ってきた。人影もなければ対向車もまったく通らない。ぐねぐねした峠道を抜け、見晴らしのいい直線に出た。スピードを上げる。
と、そのときだった。右手の路肩に人影らしき姿が! 誰かいる! しかも1人じゃないし!やべっ、怖っ!あわててブレーキを踏んで、ようやくその正体がわかった。案山子だ。いや、でもこの案山子の並べ方はおかしいでしょ。怖いよこれ。運転再開。再び曲がりくねった山道を走り、幽霊街道の終点となる大原に到着した。街道で出会ったのは、対向車数台と案山子だけ。ネコ一匹いませんでした。最後は、夜中に使用すると自分の首つり死体が上から落ちてくる個室トイレだ。もう一回読んでください。落ちてくるのは、自分の首つり死体です。ワケわかりません。自分、クソしてる状況なのに、なんで勝手に首つり死体にされてんの? それ何て落語?(答・粗忽長屋)ともかく過去に、そのトイレで起きた首つり自殺が噂の原因らしい。自殺者についての詳細はわからないが、公園内の一番奥のトイレが現場だったのは間違いないようだ。トイレのある円山公園に到着したのは深夜2時すぎ。図らずも丑三つ時になってしまった。公園一番奥のトイレを探してみたが、敷地が複雑で2ヶ所が候補に上がったため、両方で用を足すことに。まずは東側の山を登った先にあるトイレから。アーチ状に石が組まれた洒落たデザインで、大便用の個室が1つある。掃除も行き届いてる。和式便所にまたがってパンツを下げ、上から落ちてくる自分の死体を待つ。……うむ、今日は便秘かな。出そうにないぞ。そういえば朝にデカイのをひねりだしたんだっけ。それはどうでもいい。問題は自分の首つり死体だ。落ちてこいよ早く。てか、天井を突き破ってくるってことかね。クソも出ないし帰ろっと。お次は北側にあるトイレだ。こちらは周囲を工事用のシートに覆われた状態で、トイレの看板も出ていない。個室は一つだ。再びパンツをずり下げ、上を注視しながら便器をまたぐ。…虚しい。尻を蚊に刺された以外、変わったことは何ひとつ起こらない。帰り際に公園のベンチにジプシー風のおじさんが座っていたので話を聞いてみた。
「すみません、この公園の奥のトイレで用を足すと、死ぬって噂があるのご存じですか?」
「…そんなわけないやろー。毎日つこうてるもん」
 はあ、さいでしたか。