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秋も深まり、競馬の方もGI真っただ中の今日このごろ、皆様の戦績はいかがなものだろう。あまり儲かっていないなぁ、という人が大半ではないだろうか。まあ馬券のプロだって、ほとんどが収支は
赤字だというから、それも仕方のないところ。私も以前はしょせん競馬なんてそんなものだと思っていた。が、今は違う。競馬は金になる。これほど儲かるものはないと断言してもいいだろう。といっても、勝つか負けるかの馬券の話じゃない。競馬を媒介としたビジネスが信じられないほどの利益を生み出すのだ。実は私、以前、業界内でも有数の競馬予想会社で数年間にわたり要職に就き、その経験により世の中に対する考え方をしっかり覆されてしまった。今回はその体験を基に競馬という特殊社会を利用したヤラセ商売の実態をお話しよう。
裏モノ読者の皆様ならご存じだとは思うが、競馬予想会社とは、独自のレース予想を会員に提供する会社のことである。私がいた会社の例でいうと、社内は営業部と広告部に分かれており、広告部が新聞や雑誌に掲載する広告と会員に向ける会報誌を製作、営業部はそれに興味を示し問い合わせしてた人たちを入会させ、その後様々な形でのフォローを行っていた。収入源である会費は、1開催
(8回分)10万弱くらいが相場で、入会時には入会金がプラスされるので、トータルで15万円ほど。これを払った人に、土曜日の東西特別レースから一鞍(レース)と、日曜日と他一鞍の計4レース分の買い目を提供しましょうというわけだ。ただ、いきなり実態をバラしてしまえば、提供する買い目は社長の頭脳コンピュータから出たものだ。時々、別の幹部が出すこともあるが、どちらにしろ、普通の馬券好きの予想となんら変わりない。よって、勝率はいいときで1開催3割くらい。GIは春、秋の各シーズンで2つ当たればいいところで、それもなるべく的中しそうな固めの買い目を出すものだから、配当も3ケタ台がほとんど。会員がモトを取るのは至難の技、といってよかった。
では、そんなものになぜ会員たちが金を払うのか。ここに彼らが競馬に絶対を求める下心が登場してくる。キムタクをCMに起用するなどJRAがいかに爽やかな広告戦略を打ったところで、しょせん競馬は不確定要素の多いギャンブルに過ぎず、競馬サークル自体も閉鎖的で黒い匂いのする世界。ましてや、このビジネスは金の動き方もハンパじゃないわけだし、どうしても勘繰りをしたくなるのが人情というものだろう。こうした競馬ファンの心理に付け込む形で、「生産界と深い繋がりを持っている」「馬主情報が入手できる」「騎手に非常に近い大物関係者とパイプがある」など、客を引っ張るための様々なブランドを提示し、いかに自分たちが核心に迫れる存在であるかをアピールするのだ。私のいた会社も、「競走馬の種付け、育成などフリーダーとの繋がりの深さから、マスコミなどには漏れない真の情報が手に入る」とうたっていたが、私の知る限り、社長が一口馬主である以外に競馬界と特別な繋がりがあったとは思えない。しかし、こんなウソはまだ序の口。さらに信ぴょう性を増し他社を蹴落とすためには、もっと会社の骨組みをしっかり作らなければならない。そこで、でき上がったのが次のようなシステムだ。
会社は情報部と解析部という2つのセクションが馬券決定に至る徹底した調査を行う。
「情報収集部」にはGI特捜班3才馬の特捜班など様々なプロジェクトが組まれている。
両セクションとも相当数のスタッフを抱え、極秘ルートを駆使し、様々な情報網を張り巡らせている。彼らが挙げたデータに基づき、解析班が最新のコンピューターを駆使した様々なシミュレーションを行い、勝ち馬を導き出す。
全部、ウソである。これが本当なら秘密結社だ。が、ウソはさらに続く。通常の会員が入るスタンダードコースの上に、超A級の情報を提供するコースを設定するのだ。料金は、入会金そのほか合わせ
て1開催20万円。その口上は次のようなものだ。
競馬に絶対はないと言われるが、実はある。このコースに入ってもらえば、その超シークレット情報を提供しよう。もちろん、そうした情報は毎週入るわけではなく、いつ出るかもはっきりとは言えな
い(実際はGIとか、その開催とかに、それが設定されたよう匂わせる)が、もうこれはGIだろうが、万馬券だろうが、ズバズバ当てる。なんせ絶対なんだから外れようがないのだ。こうした文句をエサに雑誌広告やDMを通して一般の方々の前に釣り糸をたらす。結果、食いついてきたら、マニュアルに沿って勧誘を進めればいい。
「ハイクラスのコースは、現在会員がいっぱいで、空き待ちの状態です。また、逆に情報の漏洩も心
配なため、いきなりそのコースへの入会もできないことになっています。つまり、そのコースに入る
ためには、スタンダードコースに入りながら機会を待っていただくしかないんですよ」
こんな台詞を決めた後は、指定口座に金が振り込まれるのを待つだけだ。
あの手この手でカモを入会させたからといって、それで終わりじゃない。というか、本当一の勝負はこれからで、会員をいか続させられるかだ。会報誌では、こうして体裁を整えた上で、目玉として先々のレースにおいてのでっちあげスクープや、レース結果欄に架空のコースのレース結果を載せ、継続したいという気持ちを煽っていくのだが、それだけで彼らをつなぎ止めておけるほど甘くはない。会員が求めているのは、あくまで利益。そこで、また登場してくるのが、切り札だ。会期が切れそうになったある日、1通の手紙が会員の元に届く。内容は「ハイクラスに空きができたため、入会できます!」というもので、さらに絶対情報がその会期中に訪れるというオマケつきだ。当然、会員は喜び勇んで電話をかけてくる。と、そこでこう切り出す。「確かにハイクラスの会員になれるんですが、そのためにはとりあえず継続の手続きを済ましてからじゃないと入れないんですよ」相手が納得して継続すれば、後は諸々の理由で絶対情報が出せなくなったなどと告げてしまえばいい。経験からいえば、これで3回は引っ張れるはずだ。そんなバカなと思うかもしれないが、実際、私がいたころ、税金逃れが目的で「他の会員と区別するために現金書留で会費を送ってください」と言ったところ、現金書留が送られて来たこともあったぐらいだ。こうした継続させるための煽りは、何もハイクラス向けだけではなく、一般会員にも実施される。独自情報による高額投資レースを数多く用意し、会報誌上で煽りまくるのだ。が、これまた決して実現されることはなく、延期して延期して、情報レベルを落として提供するのが常だ。例えば秋華賞が始まる2週前に、なにか含みのある情報による高額投資レースが予定される。そして、それは当日になって延期され、次は天皇賞・秋に持ち越される。そして、これまた直前に延期になり、菊花賞に持ち越され、最終的に適当なレースを選んで、普通のレースより情報ランクの高いレースとして提供されるやり方である。会員は当然のごとく怒り苦情が殺到、信用をなくすんじゃないかと思うかもしれないが、早い時期に勝負に行って「絶対はない」ということを露呈するよりはマシ。なぜなら、彼らはそれでもまだ、あるはずもない情報を信じつづけているからだ。その証拠にこのパターンは毎年行われており、菊花賞でコケると、会員は一時的に減少するものの、GIが近づくとまた戻ってくる者も多くいた。よほど、編されるのがお好きなようだ。ちなみに、私がいたころ、その会社が抱えている会員は常に5百人以上、多いときで1千人を超えていた。