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タグ:現場

  • 2018/09/15出会い・モテ攻略

     店員の監視ユルユルだからエンコー可能な家出娘がわんさか私のオススメは新宿、区役所通りにあるこの喫茶店です。家出娘やホスト狂いのキャバ&風俗嬢がわんさかタマっているので、エンコー相手を探すにはうってつけなんですよ。店は24時間営業でセルフサービスとなってます。店員の監視がユルユルだから、寝ていても怒られない。彼女たちにとっては、半ば自分の家みたいなもんなんですね。しかも、ロクに金を持ってないので...

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  • 2018/08/21突撃リポート

             11年前、35才の夏、運送会社を辞めたばかりのオレは、地元からほど近い冷凍倉庫でバイトすることにした。この冷凍倉庫は物流会社が持っているもので、アイスや冷凍食品、加工食品などを一挙に集めてそこから各店舗に配送するためのいわば中継地点のような場所だ。面接後すぐに採用になった。仕事内容は、冷凍倉庫のなかでの商品仕分けだ。初日朝、現場に到着したら社員さん...

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  • 2018/08/04突撃リポート

         6月初旬、裏モノ編集部から電話があった。「景気悪いよね」「ですね」「高木君だっていつまでライターで食っていけるかわからないよね。もし失業したら何するつもり?」「考えたこともないですけど…」失礼な問いかけに口ごもっていると、電話口の声はやけに断定的に言う。「肉体労働しかないって! しかも正社員なんてムリだから、手配師に頼るしかないって!」「はぁ…」「でもいきなりだと戸惑う...

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  • 2018/07/22突撃リポート

             スーパーに並ぶ鶏のもも肉や胸肉のパック詰めを見て、それらがもともとは生きたニワトリだったと実感する人はどれくらいいるのだろう。おそらく大半の人は、鶏肉ははじめから鶏肉としてそこにあるかのような錯覚を抱いているのではなかろうか。その理由のひとつは、ニワトリを殺し、食肉に加工する食鳥処理という仕事が、あまりにも認知されていないことにあると俺は思って...

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  • 2018/05/22その他

    23の歳にマグロ漁船に乗ることになった。きっかけは借金だ。当時のオレはパチスロにハマっており、親や友人から60万、サラ金から120万円ほどの借金があった。そんな折、高校時代の同級生との飲みの席で、ある先輩がマグロ漁船で借金を返済したと耳にし、さっそくその翌週、地元の漁業組合を訪ねたのだった。組合のオッサンによれば、マグロ漁船には2種類があるという。日本近海で漁をする「近海延縄漁」と、インド洋や大西洋ま...

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高頻度で露出AVの撮影現場に遭遇する新宿中央公園

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店員の監視ユルユルだからエンコー可能な家出娘がわんさか
私のオススメは新宿、区役所通りにあるこの喫茶店です。家出娘やホスト狂いのキャバ&風俗嬢がわんさかタマっているので、エンコー相手を探すにはうってつけなんですよ。店は24時間営業でセルフサービスとなってます。店員の監視がユルユルだから、寝ていても怒られない。彼女たちにとっては、半ば自分の家みたいなもんなんですね。しかも、ロクに金を持ってないので、腹を空かせてるケースが少なくありません。なもんで、1人っ切りのコに「奢るよ。メシでもどう?」と誘えばホイホイ着いて来るのです。あとは居酒屋で呑ませつつ、エンコーを持ちかければオーケーです。私の場合はホ別イチゴーを上限とし、それ以上になった場合はリリースすることにしています。
最新版!! 歌舞伎町のエンコー女はココで見張れば一発です
歌舞伎町のシロート立ちんぼエリアといえばハイジア周りが有名ですが、ここ最近は警察の見回りから逃れるため、ミラノ座前に場所を移す女が増えています。 所在なさげに壁にもたれていたり、股を広げてヒマそうにケータイをいじっている女は間違いなくそうなのですが、中には2人組なんかでダベっていて、声をかけてみるとエンコー待ちだったりするのだからビックリです。残念ながらカワイイ子を見たことは一度もありませんが。
シューカツに疲れきった 場所女子大生がわんさか
毎年、夏になると、内定がもらえず疲れ切った表情のリクルートスーツを着た女子大生をよく見かけるわけですが、特にこのビルは頻繁に会社説明会が行われているため、毎日女子大生がわんさか溢れかえっています。透けブラを眺めるだけでも楽しめますが、どうせなら声をかけちゃいましょう。ワラにもすがりたい状況の彼女ら、お茶くらいなら楽勝です。
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ブラック企業の現場ルポ・冷凍倉庫での商品仕分けと言う仕事

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初日朝、現場に到着したら社員さんから大げさな服を渡された。
「じゃあこれ作業着ね」
 雪山で使えそうなフードつきのコートとモコモコのズボン、そしてスキー仕様の手袋だ。まあ冷凍倉庫って言うぐらいだしこれぐらい厚着したほうがいいんだろう。Tシャツ短パンの上からそれらを着込み、倉庫に入る。衝撃はいきなりやってきた。鼻先に激痛が走り、少し遅れて全身に寒気が襲ってくる。思わず「うわっ!」と声をあげてしまった。マジかよ、こんなに寒いの?社員さんについていく形で歩き出すも、前方から寒気がぶつかってくるせいで、一気に下っ腹が痛くなってきた。
「じゃあまずは仕分けね。ここの段ボールの中身を出してチェックしてくれる?」
指示に従って段ボールに手を伸ばし、箱一杯に詰められたアイスクリームをいくつかのカゴに入れていく。単純作業のせいか、それともやっぱり異常な寒さのせいなのかわからないが、だんだんと目が開かなくなってくる。1時間もしないうちに休憩時間がやってきた。倉庫を出た瞬間に今度は異常な暑さを感じる。社員さんに尋ねてみた。
「あの部屋って何度ぐらいなんですか?」「マイナス25度」
と聞いてもピンとこなかった。後で調べれば、自宅の冷凍庫がだいたいマイナス15度〜20度ぐらい。日本国内の自然界でその気温を体感することはまずなく、冬の札幌の夜の気温でだいたいマイナス10度前後らしい。
「だから45分やったら15分休憩入れる決まりなんだよ。そうしないと凍えちゃうでしょ?アハハ」
…たしかに。よくわかんないけど顔の筋肉が動かしづらくて口を開けるのもぎこちないし、指もカチコチのままで感覚がない。この作業を8回繰り返し、日当9千円。割がいいのか悪いのか…。
倉庫は24時間稼働してるが我々の仕事は、日勤・夕勤・夜勤の三交代制だ。それぞれ7、8名ずつで対応し、オレは朝9時から夕方6時までの日勤に入ることになった。数日間働き、おおよその流れがわかってきた。この会社にある倉庫は2つ。〝チルド〞と呼ばれるマイナス5℃程度のものと、オレが働く〝フローズン〞だ。フローズンの中にもランクがあり、この会社にはマイナス25度のF1級しかないが、よそにはさらに低温のF2F3などもあるらしい。
出勤すればタイムカードを押し、着替えて入室。するとすぐに顔に痛みが訪れる。防寒服を着てフードを被ってるが顔はモロ出しだからだ。遅れること数十秒で全身に寒気がやってくる。ちょっと手を動かすだけで冷たい針が刺さるような感覚がずっと続く。仕事内容は、かいつまんで言えば、手作
業による段ボール箱の荷下ろしにすぎないのだが、入室まもなくで、物を持つことが困難になってくる。5キロほどの段ボール箱が何倍もの重さに感じられるのだ。寒さで筋肉がヘンになってるんだろう。
20分ほど経つとどういうわけか異常な眠気が襲ってくる。そして作業中に一応は汗をかいてるらしく、それが冷えてさらに寒気が止まらなくなる悪循環。本当に気を失いそうになる。吐き気がやってくるのもこのころだ。理屈はわからないけど腹の底から上ってきてゲーっと吐いてしまう。そのため現場にはそれ用のゴミ箱が用意されている。入室して30分で、まぶたの動きが鈍くなる。目から涙が止まらず、それが凍って氷柱状になったりもする。
 カラダが硬直してきたところで例の15分休憩がやってくる。休憩室ではすぐにカラダに熱を帯びてきて、汗をかくほどだ。こんなことを1日8回(昼休憩を抜いて)やって終了。たまたま夏に仕事を開始したこともあり、外気は夜でも30℃近く。倉庫との差は60℃になる。おかげで体調はむちゃくちゃになった。すぐに風邪をひき、鼻水が倉庫内でカチコチになって息苦しくなる。それをはがそうとすると皮が剥けて血が出てくるし、唇もカサカサして少し触るだけで血が流れてくる。オレだけの話じゃなく、一緒に働く作業員みんながそうだ。誰もが唇カサカサ、鼻の穴は切り傷だらけの痛々しい顔になっている。こんな現場なのに作業員には女子も数人いるのだからタフというかなんというか。春になり正社員採用されることになった。なぜか。理由は単純に「続いてる」からだろう。
 この仕事を始めてから、逃げ出した人間を何人見てきたことか。バイト初日のヤツが冷凍倉庫に入って10分後に消えているなんてことはザラだ。バックレるのはなにもバイトだけではない。その春、新卒入社組の5人が研修にやってきた。最初は現場(冷凍倉庫)で仕事を覚え、後に管理業務にまわるらしい。彼らにとっての初日。いきなり冷凍倉庫に投入され、全員が大きな声をあげた。
「サムっ!!」
「正気かよ!」
「キャー!!」
初日の午後、昼飯中に現場リーダーが声をあげた。
「あれ、○○と××は?」
新卒2名の姿が見えない。慌てて電話したようだが結局連絡はつかなかった。なんと、研修初日の午前で逃げ出したのだ。残った3人のうち、さらに2人が1週間以内に退職希望の旨を伝えて去っていき、最後の1人も1カ月続かずにやめていった。最後の彼は休憩中にこんなことを言っていた。
「人間の働くとこじゃないっすよね。病気とか大丈夫っすか? マジで検査してもらったほうがいいですよ。池田さん、なんか顔コケてません?」
…たしかに、頬に黒ずんでる部分がある。安田大サーカスのヒロみたいな感じだ。入社前はなかったものだけど…。こんな調子だからウチの会社は年中、求人募集をかけている。入ってくる人間で半年続くのは1人、2人ぐらいの世界だ。冷凍作業員になって1年ほどが経ったころ、久々に高校時代の友人と飲みにいくことになった。待ち合わせの駅前で友人が口を大きく開けて固まっている。
「……池田?大丈夫かよ」
「は?なにが?」
「オマエ痩せすぎじゃね?」
たしかに体重はガッツリ落ちていた。入社当時は75キロでぽっちゃりしていたのに、そのころは60キロを切っていた。はたして冷凍倉庫のせいなのか。寒い中で動くためにカラダがカロリーを消費してるってことなのかもしれない。ちなみに現在のオレの体重は42キロしかない。身長は175。やっぱり寒さのせいかも。ツレ全員が揃って居酒屋に入ってからも、話題の中心はオレの容姿についてだ。
「顔の色ヤバくない?」
「なにが?」
「なんか紫色じゃん。その仕事ってなんかマズイんじゃないの?」
「んなことねーだろ。普通にメシとか食ってるし」
強がってみたものの、「顔色が紫」と聞いて内心ドキドキしていた。自分では気づかなかったけどそうなのか?翌日、仕事場で他の作業員の顔を確認してみる。たしかに赤黒いというか紫に近い色だ。
「あの、オレらって顔が紫色になってるんすかね?」
「あ? あー、良く言われるしそうかもな。でもさ、スキー場とか行っても赤くなったりするじゃん。それと一緒なんじゃねーの?」
いや、それは雪ヤケだから違うと思うけど…。オレなりに調べてみたが、紫になるのはおそらく凍傷の症状のひとつと思われる。現場ではマスクなどしていないため、それが顔にあらわれるのだろう。
入社して5年ぐらい経ったある日、大事件が起こった。お盆のある日。この時期ウチの会社では物量がガクンと減り、深夜勤務がなくなる。この日は夜8時ぐらいになってオレを含めた全員が倉庫から出て退勤していった。しかし、誰もいないと思われた倉庫に残っていた人間がいたのだ。閉じ込められることがないよう細心の注意が払われているというのに。
「5人入って、5人出てきた」みたいなチェックこそしていないが、入退出はタイムカードで把握できるようになっている。万が一閉じ込められたとしてもドアは内外どちらからでも開けられるし、壁に設置された自動ロック制御のシステムも双方向から動かせる。さらに警備員が1時間に1回の見回りをする徹底ぶりだ。この日も作業員や事務の人間は帰宅していたが、警備員だけは通常どおり業務を行っていた。でも閉じ込められたのだ。入社したての20代後半の兄ちゃんが。これは非常に偶発的な事故だった。
まず、彼はオレたち作業員が撤収するずいぶん前から倉庫奥の資材置き場で動けなくなっていた。腹痛と手足のしびれにより倒れこんでいたわけだ。場所柄そこに人が来ることは少ないために誰も気づかなかった。だんだん意識が朦朧とする中でいちおう大声を出したらしい。だけどそんなのは聞こえるはずもない。全員フードを被って仕事しているから倉庫内ではなかなか声が届かないのだ。
午後10時ごろ、つまり倉庫内に一人きりで残されて2時間後、彼は見回りの警備員によって発見された。すぐに救急車が呼ばれ、全身が硬直して冷凍マグロのようになった彼は搬送された。こういった事故は5年に1回ぐらいは起こってしまうものらしい。幸い彼は死に至らなかったものの、呼吸器系に障害が残ってしまったそうだ。カラダの変化はみるみる加速していった。その最たるものが指だ。
きっと凍傷なのだろう。毎日指の感覚はなく、仕事が終わって帰りの電車に乗り、40分ほどで地元駅に到着するころ、ようやく治るほどだ。それにくわえて慢性的に動きが鈍くなったように思う。文字を書こうとペンを動かすとき、思ったような運びかたが出来なくなった。字がヘタになったなぁと実感したのはケータイの機種変手続きのときだ。受付のお姉ちゃんが言うのだ。
「すいません、審査が通らない可能性があるので、もう少しキレイに書いてもらえますか?」
自分の名前ですらこうなので他の文字なんてもっとヒドイ。ケータイと言えばメールを打つのもひと
苦労だ。「あ」を押すつもりが「ま」になってしまったり、フリック入力(指をなめらかに動かす文字入力方式)なんてとてもじゃないが出来っこない。だけど自分はまだいいほうだ。凍傷になって指を切る人もときどきいるし、バイト初日で手の指すべてが青紫になって凍傷と診断されたヤツだっていた。年を取ったせいもあるだろうが、作業中に膝とヒジが割れるように痛いのもしょっちゅうだ。こんな状況でもときには笑えるようなコトもある。3年ぐらい前、大学生カップル同士で来たバイトがいた。二人はいつも仲良さそうにしていた。休憩中は手を繋いでるし、ときどきチュっとやってるのも見たことがある。「こんなとこでヤルなよ」と呆れていたものだ。そんなある日、倉庫内がいきなりバタバタしはじめた。作業員たちが走って出て行き、しばらくして救急隊員が入ってきたのだ。なんだなんだ?隊員によって担架に乗せられていたのは例のカップルだった。唇がくっついたまま泣きじゃくっている。どうやら冷凍倉庫内でキスしていたところ、瞬間的に凍ってはなれなくなってしまったらしい。この一件をきっかけに『倉庫内キス禁止令』が出されたときは笑ってしまった。それにしても、こんな過酷な現場に女性がいることは、オレにとっては驚きでしかない。
ある女性作業員に相談されたことがある。
「あの、すごく言いづらいんだけど聞いてもらえませんか?」
「どうしたの?」
「この会社に入ってからね、生理がオカシクなったの。今じゃ3カ月も来てなくて…どうしよう」
彼女は24才で結婚している。半年前からウチで働きはじめたのだが、生理不順にはじまり、ついにそれ自体が来なくなったそうだ。「ワタシは絶対ここのせいだと思ってます。だって他に原因は思い当たらないし…」
「病院に行ってみたほうがいいんじゃない?」
「行きました。でもわからないって。ストレスとかそんな可能性もあるとか言われて。でも絶対この仕事のせいです」
そんなのオレに言われてもわからない。だけどきっとそうなのだろうなぁとは思う。あの寒さが女性の体に悪影響を与えないとは思えないのだ。
ウチの倉庫で働く社員は自分を含めて10人程度。それとパートや派遣バイトを合わせて25人ほどが現場作業だ。さらに、事務方も6人働いている。オレが言うのもなんだけど、冷凍作業員は皆、うつろな眼をしている。頭がボーっとするせいか、休憩や昼食時も会話をほとんどしない。食堂なんて静かなもんだ。まあそこが気楽と言えば気楽なのだが、それを事務方が小馬鹿にしてくるのが耐えられない。ある日、伝票通りの仕分けが出来ておらず、当事者のオレは事務のおばちゃんに呼び出された。
「なんで間違えるの。アナタここ長いんでしょ?」
「すいません」
「今まであまり言ってこなかったけど、ちょこちょこあるわよ。どういうつもり?」
ただただ平身低頭謝るオレに、この婆は言った。
「寒いとこにいるから頭ヘンになっちゃったんじゃないの?」
「え?」
「とにかく気をつけてよね。アナタたちの尻拭いをするのはこっちなんだから」
同じ会社に勤める人間なのに……。冷凍作業員は頭がオカシイってか?さすがにこうもはっきり言われることは少ないが、奴らがオレたちを見下してることは明らかだ。たとえば伝票の修正をお願いしに行くと、
「うわ、現場の人はこっち(事務スペース)来ないでよぉ。うちらまで寒くなっちゃうから」
社内ですれ違うときには、
「大丈夫か?生きてるか?凍っちまってないか?」
帰宅時に出口で会ったときなんかも、
「ああ寒いなぁ。あ、キミは暑いか。あんなところにいたらどこ行っても暑くて大変だよな。サウナ要らずってか。ギャハハ」自分らは特権階級とでも思っているのだろうか。オレらが極限状態で働いてるからメシを食えてるんだぞと言ってやりたいところだけど、そんなムダなことをやって何かが変わることもないだろう。なんとか11年続けてきたオレだが、なにか妙な診断をされるのが怖くて病院に行ったことはない。
最近では簡単な計算が出来なくなった気がするし、物覚えも悪くなった。職質されたときに自分の名前が思い出せなくて悩んだこともある。冷凍倉庫のせいだという確証はないけれど、もちろん、そうじゃないとも言い切れない。

手配師に斡旋される労働者の現場ってどんなとこ?

0098_20180804115329dc8.jpg 0099_20180804115330d2f.jpg 0100_2018080411533287a.jpg 0101_20180804115333498.jpg 0102_20180804115335e7e.jpg 0103_20180804115336039.jpg
6月初旬、裏モノ編集部から電話があった。
「景気悪いよね」
「ですね」
「高木君だっていつまでライターで食っていけるかわからないよね。もし失業したら何するつもり?」
「考えたこともないですけど…」
失礼な問いかけに口ごもっていると、電話口の声はやけに断定的に言う。
「肉体労働しかないって! しかも正社員なんてムリだから、手配師に頼るしかないって!」
「はぁ…」
「でもいきなりだと戸惑うだろうから、将来に備えて今から仕事の中身を知っておいたほうがいいよ」無茶クチャな話だ。手配師とは、手数料を取って現場に労働者を斡旋する連中のこと。許可のない人材派遣活動は非合法であり、ヤクザのシノギだとも言われている。そんなのに関わりたくないって。「じゃあ頑張って。どんな仕事だったか報告してね」
電話は一方的に切れた。こんな命令、あっていいものか。〝契約〞だったら金も残るぞ
平日の早朝5時。高田馬場駅へと向かった。手配師は早稲田口、戸山口、そして戸山公園入り口あたりにたむろしているらしい。にしても36才の今日まで肉体労働の経験など一度もないオレに、仕事が務まるのだろうか。案じながら歩いていると、コンビニ前で競馬新聞とワンカップが似合いそうな初老の男に声をかけられた。
「兄ちゃん仕事あるんか?」
手配師だ。
「いえ。ちょうど探してるところなんですよ」
「10日契約で1日7500円の仕事あるけど、どや?」
10日間も拘束されるのはさすがにキツイ。できれば1日で帰りたいんだけど。
「現金の方がいいんか。だったら向かいの薬屋の前で待ってな」〝現金〞というのは日雇い仕事のことで、契約満期に全額支払われるのは〝契約〞と呼ぶのだそうだ。契約はまだしも現金とはゲンキンなネーミングだ。薬屋の前では、作業着を着た労働者風が10人ほどたむろしていた。旨そうにエコーを吸うオヤジ、競馬新聞と睨めっこする40男。みんな現金目当てなんだな。
しばらくして、さきほどの手配師のオッサンがやってきた。横付けしたバンにオヤジ連中をつぎつぎと乗せていく。1人、2人、3人…8人が乗り込んだところで、オッサンが残る2人(オレともう1人のオッサン)の行く手を遮った。
「2人は仕事ないよ、悪いね」
なんだよ、そんなの最初から言ってくれよ。
「契約だったらまだあるよ。飯場だから3食メシが出るし、金も残るぞ」
飯場は、建築現場で働く作業員が共同生活をするところ。早い話がタコ部屋だ。そんなとこで長期滞在して大丈夫なのか。帰ってこれんのか?
「まったくの初めてですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫。とにかく言うこと聞いてりゃいいから」
交通費と雇い主の連絡先が書かれた紙を渡され、オレは電車に乗った。逃げた子のベッドが空いててよかった神奈川県のJR某駅からほど近い場所に、雇用主の工務店があった。事務所の中にはオッサンが1人。手配師の紹介だと伝えたとたん、奥のソファに座らされた。
「コレに記入してくれるかな」
差し出された書類に住所や緊急連絡先を記入した後、血圧計で血圧を計る。
「上が126で、下が90。問題ないね」
「はい」
「じゃあ、今日から入社ってことで。よろしくね」
入社試験は血圧だけか。どんだけカンタンなのよ。
「そしたら、飯場へ連れてくから。ちょっと待ってな」
ほどなくして寮長を名乗る初老の男が現れ、彼の案内で敷地内のプレハブ小屋(飯場)へ。中は小汚い8畳ほどの部屋で、二段ベットが4つにテレビが1台。現場に出払ってるのか、住人たちの姿はない。オレにあてがわれたのは二段ベットの上だった。布団はポテトチップスの食べカスとシミまみれだ。寮長が言う。
「昨日逃げた子のベッドが空いててちょうどよかったよ」
「逃げた?」
「たった10日我慢するだけなのになぁ。まあ、ちょっと汚いかもしれないけど、新しいシーツと布団が来るまで我慢してな。じゃあ今日は早く寝て、明日から仕事ね」早く寝てって、まだ昼の2時な
んですけど。先輩の言うことは絶対なの
「ふぁ〜、うめぇ〜」
ヒマすぎてウトウトしてしまったらしく、誰かの声で目が覚めた。時間は夜6時。下を見ると、頭ボ
サボサの大男が一升瓶を片手にテレビを見ていた。相部屋の労働者だろう。なんか怖そうだし、とりあえず挨拶しておくか。オレはするすると二段ベッドから降りた。
「今日からお世話になる高木です。よろしくお願いします!」
「おう、若い割にはちゃんと挨拶できるんだな。俺は部屋長の山口ってモンだ。ヨロシク」
山口さん、46才。部屋一番の古株で、7年も前から住み込みで働いているらしい。
「メシ食ったか?」
「いや、まだです」
「じゃあ一緒に行くか? ここのルールを教えてやっからよ」
あまり関わりたくなかったが、赤ら顔でにらまれればイヤとも言えない。身をまかせるか。2人してプレハブ内の殺風景な食堂へ。ガタイの良い労働者風が3人、みな一心不乱にご飯をかきこんでいる。
「あのカウンターで飯もらえばいいから。飯のお代わりは自由な。お茶はあそこね」
今日の夕食はトンカツ定食だ。うん、なかなかうまい! この味噌汁もそこそこ…ん? 山口さん、なんでそんなに怖い顔でにらんでんの?
「メシは一気に食うのがここのルールだ。早く食え」
あんたが早メシなだけじゃないのか。付き合わせるなって。しかし、山口さんの横暴はそんなもんじゃなかった。部屋に戻った途端、掃除、洗濯と次々に雑用を命じてくるのだ。ちょっと〜、カンベンしてくださいよ。
「ここじゃあ、入寮した順に序列があるんだよ。先輩の言うことは絶対なの」
「…でも」
「あ、何ブーたれてんだ」
「……」
「さっさと終わらせろよ。終わったら酒オゴってやっからよ」
たぶん昨日逃げたとかいう男も、これが原因だな。雑用をこなしていると、同部屋の労働者2人が仕事から戻ってきた。皆さん、そろって筋肉もりもりのプロレスラー体型だ。えっと、当然この人たちの序列もオレより上なんだよな…。
「新入り? 洗濯やっといて」
「あ、俺のも頼む」
刑務所かよ、ここは!待てよ。もしやこの人たちとは明日の現場でも一緒だったりして。嗚呼、マジで憂鬱になってきた…………。単純だけど手元がいちばんキツイ
翌朝5時30分に起床して朝食を済ませ、会社から支給された作業着に着替えた。小雨の降る中、指定のワンボックスに乗車する。「じゃあ、行きますか」
車が動き出したが、同部屋のオッサンたちは乗ってない。きっと別の現場なのだ。あ〜助かった!車内の作業員は全部で5人。親方が1人、鳶が2人、土工2人(オレもこの1人)というメンツだ。みながじっと黙り込む中、親方がオレに囁いた。
「高木君だっけ? 今日が初めてだったよね。現場に着く前に軽く仕事の説明しとこうか」
今日の現場は建築途中の高層マンションらしい。鳶が足場を組んでいくのだがその手伝いがオレたち土工の仕事だ。足場を作る際に必要な鉄板や補強材を、鳶の手元に運ぶ〝手元〞と呼ばれる作業だ。
「単純作業だけど、手元が建設現場で一番キツい仕事なんだよ」
「マジっすか?」
「この前も資材を足に落として骨折した人間がいたからな。頭をぶつけて、脳が麻痺したヤツだっているし、転落して死んだヤツもいるしよ。オマエもそうならないよう気をつけろよ」
そうこうするうち、車は現場に到着した。地上4階、高さ20メートル。恐らくや何千世帯も入るかという大きなマンションだ。現場内のプレハブ小屋に入り、書類の記入や血圧の検査をした後、土工歴7年という会田さんを紹介された。
「今日はオレが手取り足取り教えるから、よろしくな」モタモタすんな!会田さんに連れられ、まずは資材置き場に到着。巨大な鉄板や鉄の棒のがうず高くつみあげられている。アンチ(鉄板)やブレス(鉄の棒)といって、足場を作る際に必要な建築資材で、これらを地上4階いる鳶の元に運ぶのがオレたちの仕事だ。
「おい、高木、バンセン持ってこい」
「バンセン?」
「しゃーねーな、素人は。それだよそれ」
なんだよ、針金のことか。はいどうぞ。アンチは大きな鉄板で、1枚の重さは20キロを超える。こいつを針金で10枚単位で束にしてから、まとめてクレーンで持ち上げるらしい。会田さんがバンセンで要領よくアンチを結んでいく。オレはただ見てるだけだ。続いてブレスも同じように、会田さんが縛り上げ、オレは横でバンセンを手渡すだけという楽勝展開だ。クレーンによってすべての資材が4階に運ばれ、オレたちも上へ移動した。大きなビルの屋上のような場で、地面のあちこちから鉄骨が突きだしている。
 職人は全部で10 名ほどいた。各自があちこちに散って、それぞれ作業をしている。彼らに、さっきのアンチとブレスを届けるのがここからの作業だ。「おーい、アンチ2枚!」了解、アンチ2枚…って、めっちゃ重いじゃん!足下の建築資材に注意しながら、1往復するだけで、もうヘトヘトになってしまった。アンチもブレスもまだアホみたいに残ってるんですけど。
「ブレス、持ってこい!」
「わ、わかりました!」
「なにもたもたしてんだテメー。殺すぞ、コラ!」
「すいません!」
鉄の板&棒をかついで、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。かなりの重労働だ。しかも足下にはところどころ2メートル四方ほどの穴があり、20メートル下の地面まで続いている。小雨でツルツルすべるし、うっかり足を滑らせたら真っ逆さまだ。
「上だ、上! 死にてえのか、テメー!」
慌てて上を見れば、頭上にクレーンで吊られたアンチの固まりがあった。ヘルメットをかぶっているとはいえ、あんなのがアタマに直撃でもしたら…。ヒエぇぇぇ〜!
「おいこら! 何びびってんだ。アンチ持ってこい、バカ!」
はい、ただいま。痛っ、足挟んだ!
「いちいち止まんな! 殺すぞ、テメー!」
もう駄目。死ぬかも。
作業は夕方5時に終了した。飯場に戻ると、すでに山口さんは部屋で酒をあおっていた。
「おう、続けられそうか?」
「ええ、まあ…」
「慣れれば10日なんてあっという間さ。おい、どこ行くんだ?」
素早く荷物をまとめたオレは、山口さんの声を背中に聞きながら、駅へと走った。ライター稼業ができなくなっても、もうここには戻ってこない。絶対に。

社会ルポ・食肉処理場で働く現場の仕事内容

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スーパーに並ぶ鶏のもも肉や胸肉のパック詰めを見て、それらがもともとは生きたニワトリだったと実感する人はどれくらいいるのだろう。おそらく大半の人は、鶏肉ははじめから鶏肉としてそこにあるかのような錯覚を抱いているのではなかろうか。その理由のひとつは、ニワトリを殺し、食肉に加工する食鳥処理という仕事が、あまりにも認知されていないことにあると俺は思っている。焼き鳥や照り焼きチキンを例に出すまでもなく、日本人は鶏料理が大好きだ。だったらこの際、その材料となる鶏肉がいかにして作られるのか知っておくのも悪くないはずだ。食鳥処理場の作業員である俺が、案内役を務めよう。
4年前、34才の春。それまで勤めてきた町工場が倒産し、ハローワーク通いを余儀なくされた。しかし過疎化が進む片田舎のこと、もともと働き口が少ないうえに、中卒でロクな資格もない30半ばの男に、まともな転職先などあるはずもない。ハローワークで提示された案件は、し尿処理施設と食鳥処理場の作業員、その2つだけだ。なんてこった、クソ取りと鶏を殺す仕事しか選べないなんて。覚悟はしていたものの、やはり現実は厳しいものらしい。さんざん迷った挙げ句、食鳥処理場の面接を受けることにした。人間の汚物にまみれる業務より、殺生が絡むとはいえ人間の食い物を生産する仕事の方がまだマシと考えたからだ。面接当日。はじめて訪れた処理場は、トタン張りされた平屋の大きな施設で敷地に踏み入れる前から独特の異臭をほんのりと漂わせていた。どう表現すればいいのか、とにかく何かが腐ったような不快なニオイだ。処理場の隅にちょこんと併設された小さな事務室に入ると、人のよさそうな50 がらみの男が迎え入れてくれた。社長の息子で、専務を務めている人物らしい。簡単なあいさつの後、仕事のあらましについて説明を受けた。就業時間は午前5時から午後2時まで。ただし実際は毎日残業が2、3時間あるため、帰宅は午後5時ごろになるそうだ。しかし午前5時出勤とはやけに早いな。ちゃんと起きれるかな。そんな不安がつい表情に出てしまったのか、専務が付け加える。
「鶏肉っつーのは殺してから10時間後くらいが一番おいしくなるんよ。だから夕飯の買い物どきに合わせて出荷するとなると、どうしてもその時間帯になるわけ」
肝心の月給は16万、ボーナス(給料2カ月分)が年に1回。年収にして200万ちょいという計算だが、これに関しては前職の待遇とほぼ同水準なのでさして不満はない。それよりも気がかりなのは、実際の作業内容だ。ニワトリを殺すって言うけど、いったいどうやるんだ? あまりにグロい方法なら考え直す余地アリだぞ。
「あー、それは心配しなくていいよ。昔は直接人間の手でツブしてた(殺してた)んだけど、今日日は全部機械がやってくれっから。吉田くんはラインの側についてるだけでいいよ」
 ほっ、よかった。
「ただし、死んだ後の解体は手作業だからそのつもりでな」
「あ、はい」
自宅に帰ってまもなく、面接合格の電話が入り、めでたく2日後に出勤することになった。だが、その結果を同居の両親に伝えたところ、思わぬ反応が。
「おめえ、何でまたよりにもよってそんなとこに転職したんだ。俺にひとこと相談してくれてもよかったろ」
父の言いぐさにカチンときた。この就職難のさなか、せっかく仕事が見つかったってのにそれはないだろ。
「しょうがねえじゃん。他にいい仕事もなかったんだしよ」
「…まあたしかに、今さら言っても始まらねーやな。でもあとから後悔しても知らねーぞ」
どうも食鳥処理という仕事に偏見を持っているようなフシがある。まったく、古い人間ってのはこれだから困っちゃうよ。迎えた初出勤日。睡魔を押し殺して事務室に顔を出すと、新人担当の初老スタッフがみんなに俺を紹介してくれた。
「今日からウチで働くことになった吉田クンです。わからないことだらけだろうから、彼にいろいろと教えてやってちょうだい」
けだるそうに「はい」と答える十数人の顔ぶれのほとんどは中年の男女で、中には南米出身っぽい外国人もちらちら混じっているが、20代の作業員は1人もいない。よっぽど若者に不人気な職場なのかも。担当さんに案内され、工場内へ。途端にぷーんと悪臭が鼻をつく。アンモニアと腐った卵のニオイが混じったような強烈なヤツで、工場の外で嗅いだときよりも、ゆうに3倍はキツい。おえっ。涙目になる俺に、担当さんがさもおかしそうに話しかける。
「クサイか? 処理場は廃棄物が大量に出るから、こればっかりはしょうがないな。でも3日もすりゃ慣れるさ」
廃棄物とは鶏の頭やモミジ(足)、血液、骨、その他売り物にならない内臓の一部を指すらしい。これでも一応、脱臭機は設置しているとのことなので、実際の臭気はさらにえげつないのだろう。夏場を想像するとゲンナリだ。処理場の入口付近には、積み上げられたプラスチック製の大きなカゴの山がいくつも置かれてあり、そこからコココ、クワクワと鳴き声が聞こえる。生きたニワトリが入っているのだ。
「あれがブロイラー(食用の若鶏)ね。ついさっき養鶏場から届いたんだ。じゃ、ぼちぼち仕事の説明に入るよ」
担当さんいわく、大まかな作業の流れは以下のようになるらしい。
① 掛鳥と電気ショック
ブロイラーの足をシャックルと呼ばれるフックに掛け、機械で電気ショックを与え失神させる
② 放血
別ラインのフックにブロイラーを取りつけ直し、自動カッターで頸動脈をカット。放血用トンネルをくぐらせて失血死させる
③ 湯漬け
羽根を抜きやすくするための準備工程。64度のお湯に1分弱つける
④ 脱羽と毛焼き
ローラーで脱羽(羽根を抜く)した後、残った細かい毛をバーナーで焼く
⑤ ネックとモミジのカット
専用の自動カッターで頭部と足をそれぞれちょん切る
⑥ 加工場で解体
処理場内に併設された加工場で鶏体を部位ごとに切り分ける全行程のうち作業員が鶏に直接触れるの
は①、②、⑥だけで、③〜⑤は同じライン上で機械が自動で行う仕組みだ。ちなみに、食鳥処理場はその処理能力によって大きく2種類に分類され、ブロイラーの年間処理数が30万羽を超えるものは大
規模処理場、30万以下を小規模処理場と呼び、この処理場は後者にあたる。1日あたりの処理数が1000羽だからだ(工場の年間稼働日数=約260日)。その後の約2時間はヒマとの格闘だった。なんせ与えられた仕事というのがラインの監視で、シャックルから鶏が落ちていないかだとか、機械に不具合がないかだとか、そんなことに目を光らせるだけなのだ。しかも、そんなアクシデントなどまるで起きないので、手持ちぶさた感がハンパない。ただ、ラインを端から端へ行き来していると、ゾッとする光景が何度も目に飛び込んできた。ひとつは鶏が自動カッター内部を通過する際だ。首切りの瞬間こそ目視できないが、鮮血が機械の外に飛び散り、そばにいる作業員にプシュ、プシュと降りかかるのだ。返り血対策に着用している彼らのレインコートやマスクが徐々に赤く染まっていく様はちょっとしたスプラッターである。ネックカットの工程も負けず劣らずグロい。すでに死んでいる鶏とはいえ、次から次へと頭が切り落とされ、廃棄用の穴にコロコロと転げ落ちていくのだ。その光景の
インパクトもさることながら、鶏の首を機械的にちょんぎっていくこの無機質な工程そのものに言いしれぬ不気味さを覚えた。
午前7時過ぎ。1000羽の処理が終わると、解体作業がはじまった。もっとも、肉の切り分けにはそれなりの技術と知識が不可欠なため、新人の俺は見学するだけだ。鶏の解体に関して、この工場では外剥ぎという方法を採用している。鶏の体を外側、つまり皮から順にもも、胸、ささみ、手羽を切り取っていき、最後に肛門から内臓を引っ張り出すわけだ。文字で読むと生々しい印象を持たれるかも知れないが、実際のところ、この段階にきた鶏はすでに調理前の北京ダックのようなただの肉塊となっている。心理的な圧迫はほとんどなく、むしろ、先輩作業員たちの鮮やかなナイフさばきに俺は感心しっぱなしだった。切り分けた肉を卸業者に出荷し、機械の点検や油差しなども終えた午後4時半、ようやく帰宅となった。顔をタオルで拭い、さっぱりした様子の担当さんが口を開く。
「吉田クンどうだった? 意外と簡単な仕事だろ?」
「解体作業の方は慣れるまで少しかかりそうですけど、他はまあ、なんとかやっていけそうです」
初日は単純な流れ作業に思えた鶏の処理工程(前述の①〜⑤参照)も、2日目以降、本格的に業務に取りかかるようになると、想像以上に大変なことがわかった。処理工程は、作業員が数日おきに各工程を交代で受け持つルールになっているのだが、たとえば工程①では鶏がバタバタと激しく動くため、足をフックに掛けるのが非常に難しい。その点は工程②も同様だ。電気ショックで失神させているとはいえ、時々、いきなり羽根をバタつかせる鶏が少なからずいるのだ。フックに足を掛ける際、予期せぬ動きにビックリした挙げ句、鶏を床に放り投げるなんて失態を何度繰りかえしたことか。
しかしそれ以上に俺がこたえたのは、就業開始直後に必ず起こる、ある現象だ。電気ショックをかけるべく、最初の鶏をカゴから取り出した途端、他の鶏たちが一斉に騒ぎはじめるのだ。鶏の知能程度では、いまから我が身に何が起きるかわかるはずもないのに、なぜかまるで「助けてくれ」と言わんばかりに鳴き出す。中には興奮のあまり卵を産むめん鳥もいて、とにかくそうした有様を目の当たりにすると、殺生の二文字を意識してしまう自分がいるのだ。決して鶏に同情するわけではないが、胸に暗いモヤのようなものがかかるというか。入社から10日ほど経ったその日、いつものようにライン上で作業をしていたところ、1人の先輩に声をかけられた。「吉田、ちょっと来て」
先輩に連れてこられたのは処理場の奥にある小さな部屋で、そこに足を踏みいれたのははじめてのことだった。
「鶏を電気にかけるとき、でかすぎる鶏と小さい鶏はラインに乗せないでよけてるじゃん? あれってその後どうしてるかわかる?」
この処理場のラインは体重約3キロの鶏を想定して設計されており、その都合上、それ以外のサイズのものはフックにかけない決まりになっている。規格外の鶏は数で言えばおよそ全体の1〜2%(10羽〜20羽)に過ぎないが、はて、確かにどうしてんだろ。まさか廃棄するはずないし……え、まさか。
「そう。直接、俺たちで処理するのよ。近ごろ仕事にも慣れてきたようだし、そろそろおまえもやんなきゃな。やり方教えてやるよ」
あとで知ったことだが、新人にいきなり直潰し(人間の手で鶏を殺すこと)をさせると、辞める恐れがあるため、会社側はあえてこの作業のことを伏せていたらしい。
…うわ、マジかよ。先輩の指示に従い、カゴに入った10数羽の鶏を、室内に張られた洗濯ひもに吊し、次々と羽交い締めにした。羽根を背中でクロスさせた鶏は身動きが取れず、おとなしくなるのだが、ほどなく準備が終わると、先輩がとんでもないことを言い出す。
「いきなりネック(首)切り落としちゃっていいから」
「え、この段階でですか?」
食用の鶏は本来、失血死でゆるやかに殺し、そののち首を切り落とすのが普通だ。いきなり首を切断して絶命させると、鶏にストレスがかかり、肉質が落ちてしまうからだ。が、先輩は、ラインからあぶれた鶏に関してはそれでいいと言う。肉質より作業の効率を優先させるためだ。
「手作業でいちいち気絶させて、失血死させて、なんてやってると時間がかかっちゃうだろ。それにたったの10数羽だしな。はやくパパッとちょん切っちゃいな」
ゴクリをツバを飲み込み、頸動脈に当てたナイフを思いっきり手前に引く。
サク。ナマの大根を切ったような、しかし何かとてつもなく不快な感触が包丁を持つ右手に伝わり、鶏の首がころりと床に落ちた。同時に、着込んでいたレインコートにはピピッと返り血が。うう…。
「よし、オッケー。初めてにしてはウマイじゃん。はい次、次!」先輩がやけに大きな声で急かす。まるで余計なことを考えさせまいとワザとけしかけているかのようだ。ふうっと息を吐きながら2羽目の首を持ってサク。3羽目もサク。さらにサク、サク、サク。
 すべての首を切り終えた後は、これまた手作業で血抜き、脱羽、もみじカットを行い、1時間ほどで処理は完了した。たちまち押しよせる疲労の波。はあ、何だか体が重い…。その晩、自宅の食卓にたまたまチキン南蛮が出たのだが、それを見た瞬間、腹ぺこで帰宅したにもかかわらず、一気に食欲がなくなったのには我ながら驚いた。こんなこと、この仕事に就いてから一度もなかったのに。意外と俺も繊細なんだな。やがて1年、2年と時は過ぎ、いつのまにか俺も一人前の食鳥処理作業員に成長していた。通常の処理作業はもちろん、苦手意識のあった手作業でのツブしもラクラクこなせるように。さらに解体作業にいたっては新人(といっても年上だが)に手ほどきするまでに上達した。慣れてしまえば、これほどラクチンで安全な仕事は他にないかもしれない。一方でその頃はプライベートも絶好調だった。入社から3年、37才のとき、以前から交際していた女性との間でにわかに結婚話が持ち上がったのだ。彼女は8つ下の29才。できれば三十路になる前に籍を入れようかと、どちらからともなくそんな雰囲気になったわけだ。しかし、スーツ姿で彼女の両親に結婚を申し込みにいったところ、まったく予想もしない展開が。彼女のオヤジが目をパチクリとさせて言うのだ。
「申し訳ないけど、娘をヨメにやることはできないな」
「どうしてでしょうか?」
ふう〜と、鼻から長い息を吐いてオヤジが答える。
「キミの仕事ってたしか、とさつ関係だよね」
「はい、正確には〝と鳥〞と言うんですが…」「ああ、そうか。とにかくああいう仕事してるとさ、奇形児が産まれるって昔から言うじゃない。もちろん僕は迷信だと思うよ。思うけども、万が一ってこともあるからね」
 開いた口がふさがらなかったが、結局、この一件で結婚の話は白紙になった。いくら仕事について理解を求めても、彼女の両親の誤解はとけなかったのだ。東京のような都会ではちょっとあり得ないことかもしれない。しかし、田舎には、特にそこに住む年配連中には、まだまだこういった職業差別が深く根づいているのだ。食鳥処理場に転職を決めた際、俺のオヤジが嫌味たらしく忠告したのも、つまりはそういうことなのである。また差別意識とは別の観点で、この仕事に嫌悪感を示す人たちにも俺は会ったことがある。かつて地元の農業高校で、と鳥実習の講師として招かれたことがあるのだが、その際、何人かの女子生徒に涙ながらにこんな
ことを言われたのだ(と鳥した鶏は生徒たちがヒナから成鳥に育てた)。
「将来、どんな職業に就くかわからないけど、こんな残酷な仕事だけは絶対したくありません」
結婚を反対した彼女の両親にしろ、自分のオヤジにしろ、農業高校の生徒たちにしろ、俺にはまったく理解できない。食鳥処理を否定するその口で、あんたらは日々、焼き鳥やカラアゲを美味い美味いと食べているんじゃないのか?いつだったか、世界中を旅する日本の冒険家がテレビでこんなことを言っていた。
「旅先で現地の料理を食べると、口に合わないものはたくさんある。でもどんな国でも鶏肉の料理だけは絶対に美味いんだよ。例外は一切ないの」
それほど鶏肉は食材として優秀だと彼は言っているのだ。だからというワケではないが、いま俺は食鳥処理という仕事に誇りすら感じている。今後、スーパーで皆さんが鶏肉パックを手に取る際、ちらっとでもこの記事のことを思い出してくれれば、これほどうれしいことはない。 

求人誌・バイト紹介で「みんな仲良し」をアピールしてる現場の実態

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本当にあったマグロ漁船の現場の実態

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23の歳にマグロ漁船に乗ることになった。きっかけは借金だ。当時のオレはパチスロにハマっており、親や友人から60万、サラ金から120万円ほどの借金があった。そんな折、高校時代の同級生との飲みの席で、ある先輩がマグロ漁船で借金を返済したと耳にし、さっそくその翌週、地元の漁業組合を訪ねたのだった。組合のオッサンによれば、マグロ漁船には2種類があるという。日本近海で漁をする「近海延縄漁」と、インド洋や大西洋まで行く「遠洋延縄漁」の2つだ。
近海漁は約1カ月で終わるのに対し、遠洋は船によって差はあれど10カ月から1年は海の上にいるらしい。給料も段違いで、近海漁は1回の航海で手取り20万円。遠洋マグロ漁は一回の航海で400万円程度だから、月にすればおよそ40 万。共に給料の受け渡しは陸に戻ってきて2週間後、口座に一括で振り込まれるそうだ。船の上では現金が必要ないため、まるまる手に入ることになる。最近では若いマグロ漁船乗組員が少ないらしく、どちらも乗ろうと思えば簡単にいけるらしい。オレは遠洋漁船を選んだ。色々と不安なところはあるけれど、嫁や彼女のいない今しか乗れないだろうし、まとめて稼ぐことで借金返済どころかたっぷり貯金までできてしまうのだから。マグロ漁船に乗りこむべく、K港にやってきた。特に持ち物はいらないと聞いていたが、大きいリュックに漫画本20冊ほどと、ゲーム用にスマホやPSP、充電器などを詰め込んである。港で組合長と待ち合わせ、すぐに一人のオジサンを紹介された。
「船頭の岩城さんだ。これから世話してもらうんだからちゃんと挨拶しろよ」浅黒い肌に深いシワがこれでもかと入っ
た、50才過ぎのいかにも漁師ってな風貌の人だ。彼に続いて船へ。全長50メートル、幅10メートル。と聞いてもすぐにイメージできないだろうが、テニスコートを縦に2面並べたような大きさと思ってもらえばいい。そこに一般(オレと同じ立場)の乗組員(16人)以外に、一等航海士や地上と通信する担当などの「幹部」と呼ばれる人間が乗り込む。
 船内の大まかな作りはこうだ。
・甲板デッキ マグロ漁の主現場
・食堂 船員はここに集まって食事をする。大きなテレビもあり
・調理室 コック長が一人で食事を用意する
・居室 寝る部屋。幹部以外は4人部屋
・トイレ、シャワー室、風呂
・魚艙 獲れたマグロを冷凍保存しておく部屋。マイナス60℃に保たれている。日本に戻ってきたときにここからまとめて水揚げする
居室に荷物をおろしたところで、カッパ作業着上下と軍手、無地の白Tシャツ30枚が手渡された。仕事中はこれを着るようだ。これから出航ということで食堂に集合がかかった。集まった顔ぶれは、日本人乗組員より外国人のほうが格段に多い。全23人のうち、日本人はオレと船頭、幹部を含めて9人のみ。他はすべてインドネシアから来た男たちだ。隣に座るインドネシア人がオレの肩を叩く。
「ハジメテ? よろしくね」
「あ、よろしくお願いします」
けっこうちゃんとした日本語だ。彼は30才で、漁に出るのは3回目だという。船はこれから二週間ほどかけて漁場であるインド洋の赤道付近へ向かう。それまで実作業はないようだ。まったくやることがなく、寝ても覚めても同じ景色の二週間が過ぎ、ようやく船頭から声がかかった。
「明日の朝から仕事だ。今夜は夜更かししないでちゃんと寝ろよ。朝4時に上(デッキ)に来い」
いつしか船は赤道付近にまで到着していたらしい。どうりで暑いはずだ。翌早朝。船内に「ブー」仕事の時間を告げるブザー音が鳴った。他の乗組員にならい、リーダーの指示に従ってデッキに一列に並ぶ。目の前にはリールに巻かれた「幹縄」と呼ばれる太い縄があり、その幹縄に等間隔で少し細い縄が何本もくくりつけられている。これは枝縄と呼ばれており、その先端の釣り針に小魚をつけて海に投げる『投縄』が朝の仕事だ。「作業開始!」リールから幹縄が吐き出されていく。その脇に並び、見よう見まねで「し」の字形の釣り針にエサをつけていく。リーダーは先頭で、一定の間隔でブイをつけているようだ。左手で手のひら大の釣り針を掴んで、右手でイワシやアジ、サバを刺す。これの繰り返しなのだが、かなりのスピードが要求される。目の前にやってきた釣り針が手から離れるまで10秒かからないぐらいだ。もうちょっとゆっくりやってくれよ。どうにか遅れないように仕事を続けるが、いっこうに終わる気配はない。いったいいつまで…。急に船酔いが襲ってきた。もうノドのところまでゲロがあがってきている。うえ、ヤバイ…。ゲロの波をおさえることができずにその場で吐いてしまった。
「こらオマエ、吐くのはいいけど手を止めるな!」
 マジで?他の船員もオレを案じる様子もなく、淡淡と仕事を続けている。
それにしてもこの作業はいつまで続くのか。吐き気をおさえながら隣の日本人に聞いてみた。
「あれ、聞いてない? 幹縄って150kmもあるんだよ。東京静岡間とほとんど同じ距離」
 150キロ! そしてその150キロの間に2200本もの釣り針がついているらしい。途方もない数字を聞いてよりいっそうやる気が失せた。吐き気もとまらないし、実際何度も吐いてるし。ところで先ほどから、途中で一人が持ち場を抜け、数分で戻ってきたかと思えば、また別の一人が場を離れていくという繰り返しが行われているのだが、あれはなんだ?謎はオレにも声がかかったことでようやく解けた。
「朝飯食ってこい。5分な」
たった5分でメシってか!食堂にはお茶漬けが用意されていた。が、ひと口だけで吐きそうになったので、イスに座ってつかの間の休憩をしてからデッキに戻る。まるでロボットのように同じ動きを続けてどれくらい経っただろうか。リーダーから「終了」の声が飛んだ。ふらふらしながらベッドに倒れこむ。時刻は午前8時過ぎ。4時間もあんな単調な作業をしてたんだ…。船はこれから正午までの3、4時間ここにとどまり、針にマグロがかかるのを待つ。その間は寝てようが何をしてようが構わないとのことだ。いつのまにか正午になっていたみたいで、同部屋の人間に叩き起こされた。チカラが入らないカラダを無理やり動かしてデッキへ。
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午後の仕事は『揚縄』朝投げた幹縄を引く作業だ。電動リールが動き出し、その勢いにあわせてオレたちもゆっくりと縄を引き揚げる。…ぐぅ、水の中の縄を引くのってこんなにキツイのか。これに比べたら投縄はまだマシかもしれない。エサがついたままの針や、エサだけ食われた針が船に戻ってくる。肝心のマグロの姿はこれっぽっちもない。4時間ほど続いたところで、また例の食事タイムだ。船員が1人ずつ交代でデッキを離れ、5分で夕食をとる。オレはなんとかレトルトカレー(こういうお手軽な食い物が多い)を胃袋に流し込んだ。縄を引っ張ること5時間。先頭のリーダーが大きな声をあげた。「かかってる!」きた! リーダーが一気に縄を引き、そのペースを乱さないよう、後ろのオレたちも縄を引く。リーダーのそばにいる船員がカギと呼ばれる鉄の棒を手にした。水面から見えたマグロの口にひっかけ、弦門(マグロを引き上げるドアみたいな箇所)からいっきに引き揚げる。すげー。これって超デカイんじゃないの?その場でサイズが計測された。
「体長200センチ・160キロ!」続けざまに一人がいそいそとマグロの処理をはじめた。大きな包丁で尾をちょん切って、エラを外して手を突っ込み、中から血まみれのはらわたを取り出す。その後は二人がかりで魚艙に収納だ。さっきまでの静寂はなんだったと思うぐらいに、このあとマグロの引き揚げが続いた。深夜0時まで揚縄を行い、かかったマグロは25本。2200本の針でこの数字はごく普通らしい。ようやく1日の作業が終了かと思えばそうではなかった。オレみたいな初心者は、デッキの掃除や道具の整理整頓などの雑務をしなければならない。中でも大変なのは揚縄の途中で絡まった縄をほどく作業だ。わけのわからない様子でこんがらがっていて、イヤホンが絡まるぐらいの可愛いレベルではない。結局ベッドに入ったのは深夜2時だった。朝から働きっぱなしで腕にチカラが入らない。投縄は8人ずつで1日置きに行うため、翌朝はオレの組は休み。ブザーが鳴ってからも二度寝し、ゆっくりシャワーや朝飯で時間を費やした。が、午後の揚縄は全員参加だ。昨日と打って代わって15分に1本マグロがあがるハイペースが続く。壮絶に疲れながらもたくさんマグロが獲れることは素直に嬉しい。リーダーが妙な声をあげた。「お年玉だ!」作業員の手が止まり、全員が弦門に集まった。リーダーが何かを引き揚げた。うわデカっ! 2メートルはあるんじゃねーの?のたうちまわってる生物の正体はサメだった。リーダーが背中に包丁を入れ、三箇所ほど刺したら動きが鈍くなった。隣のインドネシア人が声をかけてくる。
「アレが売れるんダヨ」
「どういうことですか?」
「見てればわかるよ、ホラ」
リーダーは弱っているサメを踏みつけ、ヒレを一気に切り落とし、胴体部分をそのまま海に投げ入れてしまった。なんで尾っぽを残すんだ?
「フカヒレだよー。知ってるでしょ? あれ高いからイイお金で売れるんだよネ。だからお年玉」
このフカヒレは日本に持ち帰るのではなく(国際法で禁じられているため)、寄港地のモグリの買い取り業者に現金で売りつけるらしい。そして金額に応じて乗組員にボーナスが分配されるそうだ。
 お年玉は1日3回訪れることもあれば、数日まったく引っかからないこともあるようで、オレが次にサメを見たのはその2日後のことだった。しかしそのとき悲劇が。作業を中断し、弦門付近に集まった瞬間、「うわああああ!!」「バカ野郎、前に立つんじゃねーよ!!」
サメが、ある作業員の太股に噛みつき、ズボンが引きちぎられ、中から肉のはがれた太股が見えている。船内には医者などいない。どうするのかと冷や冷やしていたら、船頭が常備薬ボックスを抱えて走ってきた。消毒薬を思いっきり振りかけて何枚もの絆創膏を重ねて貼る。そのうえから包帯でぐるぐる巻きに…そんなんでいいのか?
「ったくふざけんじゃねーぞ!」
幸いそれほど大きな怪我じゃなかったようで、彼は1週間ほどで漁に復帰した。遠洋漁業ではおよそ3カ月に1回、外国の港に3泊ほど寄港する。燃料や漁のエサ、船員の食料や物資の補給が目的だ。
ようやく寄港地のシンガポールにやってきた。食堂に集まるオレたちに船頭が封筒を手渡す。
「宿泊金と船員手帳が入ってる。ここで寝てもいいしどこか宿をとっても構わないから、ゆっくり休め。解散!」 宿泊金は日本円で10万円。どう使おうがオレたちの勝手だが、最後にもらう給料から前借りしてるだけなので使わないにこしたことはない。余ったカネは船が出るときに船頭に渡して保管してもらうシステムだ。船員手帳はパスポートと同等の効力を持った書類だ(実際オレたちはパスポートを持ってきてない)。これさえあれば海外どこでも入国できてしまう便利なものだ。陸ではもちろん女を買った。船の中での性処理は妄想オナニーで、しかもシャワー室で立ったままシコるのみ。そんな生活を3カ月も続けて、生の女の魅力に抗えるはずがない。ありがたかったのは、この街で「お年玉」がさばけたため、臨時ボーナスとして1人5万円が支給されたことだ。持ち帰りOKのポールダンサーを4人買ってもお釣りが出るし!つかの間の極楽を経て、再び船は出航した。仕事の流れはカラダに叩き込まれたが、体力的にツライのは改善されない。揚縄が終わって後片付けをしていたらまもなく投縄なんてこともあり、睡眠時間が極端に少ないのが一番のストレスだ。
数週間後、事件は起きた。
その日は大時化の中で揚縄を行っていた。雨で視界は悪いし、船がグラングラン揺れているが、マグロ漁は天候によって漁を中断することはない。マグロがかかっておらず、全員で淡々と縄を引いていたとき、一人のインドネシア人が絶叫をあげた。手を激しく振る彼。その手のひらに釣り針が刺さって貫通している。嘘だろ…。揚縄のときは針のある箇所ではことさら注意して縄を引くのだが、彼はあろうことかおもいっきり針ごと縄を握ってしまい、手のひらを貫通させてしまったのだ。おそらく時化で視界が悪かったのだろう。全員どうしていいかわからずうろたえるなか、さすがに船内での治療はムリだと判断した船頭が、無線で近くの船を呼び、病院に運ばせた。このインドネシア人は二度
と戻ってこなかった。朝の投縄でも信じられない事件が起きたことがある。リーダーが船の先頭でブイやエサ、浮きをつけているときだ。
「ううあ〜! 助けてぇ!」
そんな声を残してリーダーの姿が見えなくなった。走って近寄ってみれば、なんと海に投げ出されている。
「ひっかかったー! たすけてくれー!!」
針が作業着にひっかかってそのまま海に投げ出されたようだ。助けると言ってもこの荒れた海に飛び込むわけにはいかない。全員で縄を引き、波のチカラで流されるリーダーを引き揚げるまでに30分を要した。なんとか生還したリーダーは息も絶え絶えに何かをつぶやいている。
「死ぬ、死ぬ。もうムリだ。オレはもう乗りたくない。死ぬ。死ぬ」
 幸い生死に関わりはなかったものの、この事件がトラウマになってしまったリーダーは次の寄港先で船を降り、飛行機で日本に帰った。残されたオレはあらためて死と隣り合わせであることを痛感した。なんでも同じような事故で海に投げ出されるマグロ漁船員はけっこういるらしい。危機はデッキのみにあるわけじゃない。航海が残り1カ月を切ったころ、揚縄が終わりクタクタになってシャワーを浴びていたら、先輩(日本人)がいきなりカーテンを開けてきた。
「ちょっと、やめてくださいよー」
「おう、いい尻じゃねーか」
すっぽんぽんの先輩はオレの尻をひと撫でして去っていった。船の中では仕事中以外、裸同然で過ごす人もいる。暑いからと、裸で廊下を歩いてる光景もよく見る。男だけの世界なので誰も気にしないのだ。その先輩もそうだった。ときどきからかうようにチンコを触り合うみたいな流れにもなったことがある。だから今回のこともまったく気にしていなかったのだが…。翌日、再びシャワー室。カーテンを開けてきたのは同じ先輩だ。
「おう、悪いんだけどちょっとだけしゃぶってくんない?」
何言ってるんですかと口に出そうと思ったが、目に入ったチンコを見て息が止まった。ギンギンに勃起してるのだ。え、もしかしてそっち系?
「いやそれはちょっと…」「ちょっとだけでいいからさぁ」
「すいませんムリです」
「(深呼吸して)ナメんなよ!!」怒鳴り散らした先輩は、その翌朝、恥ずかしそうな顔をして近づいてきた。「昨日、オレなんかした?」「…ええ、まあ」
「ごめん。酒飲むとたまにヘンになっちゃうんだよ。アハハ。ま、気が向いたらしゃぶってくれればいいから。アハハ」女がいない特殊な環境だけに、ない話ではないと思ってたけど、まさかオレに降りかかってくるなんて…。
初マグロ漁を終えて懐かしのK港に戻ってきたのは、2010年の正月のことだ。2週間後に振り込まれた金額は384万円。すぐに各所からの借金を返済し、オレは晴れてキレイなカラダに生まれ変わった。めでたしめでたしだ。マグロ漁船は未経験者であっても30代前半までは募集が出ている。興味のある人はどうぞ。
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