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秋晴れというにはやや蒸し暑い天気のなか、都内屈指の高級商業地・銀座にやってきた。
この時期はちょうど国慶節(中国の建国を祝う大型連休)ということもあって、ショップが建ち並ぶ大通りには、無数の中国人が溢れかえっている。大げさでも何でもなく、道行く人の7割がそうなのではと思えるレベルだ。原色のド派手な服を着込む人たちに占拠されて、気品漂う銀座のイメージは見る影もない。呆気にとられつつパトロールを開始した矢先、さっそく見過ごせない光景が飛び込んできた。たまたま目の前を歩いていた中国人ニーチャンが、いきなりタバコに火をつけ、近くの鉄柵に腰を下ろしたのだ。言うまでもなく、銀座は路上喫煙禁止エリアである。注意せねば。
「ちょっとオニーサン、ここは喫煙禁止だよ。知らないの?」
仁王立ちするおれの横で、すかさず通訳クンが中国語で話し始める(以後、通訳の台詞は「通」、中国人は「中」で表記)。
通「□♂▲Ω×○★※?」
中「×○★※★●#ζ」
通訳クンが振り向く。
「ガイドから喫煙禁止だと聞いてるけど、我慢ができなかったそうです」
ほう、喫煙NGと知っててわざとプカプカやってんのか。完全にアウトだ。
「ちゃんとルール守れよ。みんなに迷惑だろ。東京は未開な中国とは違うんだよ!」
通「×○★※♂▲Ω×○!」
中「○★※★×○α!」
はじめは少し焦ってるように見えた中国人ニーチャンだったが、途中から表情を一変させ、猛然と通訳クンに食ってかかりだした。中「×○★※★●#ζ!」
通「未開とはどういうことだ、中国人を侮辱しているのかって言ってますけど」
やはりそこにカチンときたのか。ならばもっとヘコましてやる。
「平気でルールを破るから未開だって言ってるの。日本人に迷惑かけるなら帰ってくれ」
通「★●#ζ×○★※!」
中「×○★※●Ω×■!」
中国人ニーチャンの語気がさらに激しくなった。
通「そんなにタバコの煙が嫌なら、オマエが俺の目の前から消えればいいだろ、だそうです」
このニーチャン、アホなのか? 論点がズレまくりなんだけど。
「あのね、こっちはルールを守れって言ってんの。アンタの行動が中国人全体の評判を下げてるのがわかんないの?」
通「※▼β♭★●#ζ!」
中「…★●#、ζ◆×○α……」
ここで状況に変化が。急に勢いを失ったニーチャンが、ボソボソ呟いたあと、大人しく立ち去っていくではないか。靴の裏で消した吸い殻を握りしめて。
通「中国人全体の評判が下がるってクダリが効いたみたいですね。向こうでも、海外で迷惑行為する旅行者が問題になってるんですよ。今度からはちゃんと喫煙所で吸うよって反省してました」
こんなふてぶてしい男でも、お国の名誉は一応気にするのか。ま、とりあえずスッキリしたのでヨシとしよう。ほど近い場所で、次なるマナー違反者が目に止まった。若者2人が、ブランドショップの軒先で地べたに腰を下ろし、楽しそうに記念撮影をしている。通行の妨げになっているというの
に、まるで気にしてない様子だ。いい歳して子供かよ。
「こんなとこで座り込んだらダメじゃん。なんでそういうことすんの?」
通「Ω×■★●#ζ」
中「★●#ζ×○★※」
通「疲れてるのにベンチが見当たらないんだからしょうがないだろ、ですって」
は?それじゃマジでガキの言い分じゃん。「そこに座ってたら他の人の迷惑なんだって。日本人ならわかることなのに理解できないのか?」
通「★●#ζ×○★※?」
通訳クンが話終えた途端、2人が声を荒げて立ち上がる。
中「○★※★×○α! ●#ζ!」
通「店の前にベンチがないのが悪いんだろ、何で俺たちに文句を言うんだ、腹の立つ日本人めって、そう言ってます」
中国人は独善的と聞いたことはあるが、ここまでとは。非を認める気は毛頭ないようだ。
「とにかくあんたらは民度が低すぎる。もっとまともな国民になるまで中国から出るなよ」
通「※▼β♭★●#」
中「◆×○α□♂▲Ω!!」
いよいよ若者たちの激高がピークに達しようかというとき、店の中からヤツらの連れらしき女性が2人現れた。大声で言い合ってたので、騒ぎに気づいたのだろう。彼女らの1人が、男どもから事情を聞くやペコペコと頭を下げる。口から出てきたのはカタコトの日本語だ。
「ゴメンナサイ。私の友だち、疲れてイライラしてマス。私たちのショッピング、ずっと待ってるダカラ」
彼女の説教(日本人に迷惑をかけるな的な内容か)で気をそがれたっぽい若者2人は、そのまますごすごと退散した。やや消化不良の感は否めないが、とりあえず一件落着!銀座の大通りをパトロール中のことだ。前方からガヤガヤと歩いてきた中国人グループの若い女が、おれたちとすれ違いざま、手に持っていた冊子のようなものを道端にポンと放り投げた。その態度があまりにも堂々としていたので一瞬スルーしかけたが、ちょっと待った。今のってゴミのポイ捨てだよな?なんて大胆な!すぐゴミを拾い女を追いかける。
「ちょっと、いま道路にゴミ捨てたよね?ここは中国じゃないんだよ。やめてくれない?」
通「□♂▲Ω×○★※?」
通訳クンが中国語で語りかけると、女は立ち止まることもなく、ニコニコと口を開いた。
中「★●#ζ×○★※」
何て言ってるんだ? 見た限りまったく反省してなさそうだが。
通「道にゴミ箱がないからしょうがないでしょって言ってます」
タメ息しかでない。中国人ってのは、どいつもこいつも責任転嫁するしか能がないのか。
「自分のゴミは自分で持っていけって」
通「●Ω×■※▼β♭」
中「□♂▲Ω◆×○α!」
通「ゴミを捨てたら処罰されるのか?そうじゃないなら嫌だと言ってます」
うぬー、開き直りやがって。もうアッタマ来たぞ。
「いい加減にしろ!よその国でデカい面してんじゃねえよ!このゴミ持ってとっとと中国に帰れ!はい、訳して!」
通「●#ζ◆!×○※▼β!」
ややキツめに罵倒したので、さぞブチ切れるのでは。と思いきや、女は表情を暗くさせ、素直にゴミを受け取った。
中「Ω◆×○#ζ×…」
ふんふんとうなずく通訳クン。
通「道にゴミを捨てるのは中国じゃ当たり前のことだから、そこまで日本人が気分を害するとは考えてなかったそうです。だいぶ反省してるみたいですよ」
うむ、わかればいいのだ。以後も気をつけるように。
「カーーー、ペッ!」
銀座アップルストアの付近で不快な音をキャッチした。誰の仕業かと見渡せば、視線の先には歩きながら談笑する中国人らしきカップルの姿が。ん、あいつらか?直後、カップルの女が顔を斜め下に向ける。
「カーーーーーーー、ペッ」
女がタン吐いてんのかよ! しかもこんな往来の激しい歩道で!と、呆気にとられているうちにもまた…。
「クアーーーーーぺッ」
日本人でもタン吐きオヤジはまま見かけるが、さすがにこの女のように、そこら中にタンをまき散らすようなマネはしない。出動だ。
「ちょっと、こんな街中でタンなんか吐くなよ」
通「♂▲Ω×○★※」
カップルは立ち止まった。男がおどけるように口を開く。
中男「※▼β×○#ζ」
続いて女も。
中女「ζ×○★※▲Ω」
通「乗ってきたバスの空気が悪くて彼女さんのノドが変なんだそうです。女の人は、自然とタンが出るのに我慢しろっていうの? と言ってます」
通訳クン曰く、中国ではところ構わずタンを吐くのは普通のことで、それは若い女性も例外ではないらしい。知るか、そんなこと!
「日本人で道端にタンを吐くのは品のないオッサンだけだから。そういう未開な習慣を持ち込むなら、日本に来てほしくないんだけど」
通「Ω×■★♂▲Ω◆×」
通訳クンの言葉に、女がムッとする。目を見開き、甲高い声で怒鳴りだした。
中女「×○★※! ◆×○α!」
通「役人でもないのに偉そうに注意するな、よその国の習慣をバカにするのは差別的で許せないって言ってます」
主張の内容が無茶苦茶だ。
「注意されるのが嫌ならもうちょっと行儀よくしろ。アンタがタンを吐くのを見た日本人はみんな心の中で笑ってるぞ。やっぱり中国人は文化レベルが最低だって」
通「β♭●#ζ★※」
女は目をつりあげ、さらに反論しかけたものの、次の瞬間、あきらめたように肩を落として口をつぐんだ。どうやら負けを認めたか。へん、ざまーみろい!不審な中国人に遭遇したのは、パトロールの場を銀座から歌舞伎町に変更してすぐのことだ。中国語で大声を出しながら、飲み屋の入った雑居ビルの看板に向き合い、何やらゴソゴソと動いている若者2人。まさか、あの妙な体勢は…。
やっぱりだ、立ちションを始めやがった! 物陰でこっそりというのならまだわからんでもないが、人がフツーに通行する歩道でよくもこれほど堂々と。許さん。小便の終わるタイミングを見計らい、すぐさま文句をつける。
「こんなとこで何やってんだ。すぐそこに公衆トイレがあるだろ!」
通「□♂■※×○α!」
注意を受けても中国人たちはケロっとしている。顔が赤らんでいるあたり、酒も入っているようだ。
中「◆×○α★●#ζ」
通「すぐ乾くし問題ない、ですって」
相変わらずの自己正当化ぶりにもいい加減慣れてきたが、いずれにせよ、こいつらには強い調子でモノを言わないと何も伝わらないらしい。
「これだから中国人は低民度って言われるんだよ。うっとうしくてしょうがないから、二度と日本に来ないでくれるかな」
通「×■※▼β●Ω□♂」
予想以上に怒りに火をつけてしまったらしい。2人のうち、マスクをつけた男が猛然と吠えだした。中「★●#ζ×○★※!」
通訳クンの顔にみるみる動揺の色が浮かぶ。
通「あの、ヤバイっす。どっちかが死ぬまで殴り合いするかって言ってますよ。かなり怒ってます」
「え…」
中「×■※▼β!」
興奮したマスク男が怒声をあげながら、じりじりと距離を詰めてくる。マズイ。まともにこんなの相手したら血を見るぞ。
「に、日本で立ちションしたら犯罪なんだぞ。すぐそこに交番あるから警察呼ぶけどいいのか?早く、これ訳して!」
通「□♂▲Ω◆×○α!」ハッタリは功を奏した。さすがのチンピラ風情も、警察と聞いた途端、怖じ気づいたらしい。苦笑いを浮かべておれの肩をポンと叩くと、逃げるように立ち去った。ふう〜。
日をあらため、成田空港へ。やって来た理由はいうまでもない。帰国する中国人が大量に集結するこの地でも、きっとヤツらは何かやらかすに違いないと睨んでのことだ。周囲を警戒しながら空港ビル
内を歩くうち、妙な中年男が目に止まった。最初、この男は両手にいくつかの段ボール箱を抱えていたのだが、いったん死角に消え、ふたたび視界に戻ったとき、なぜか手ぶらになっていたのだ。これは怪しいと、男が消えた場所を確認すれば、先ほどの段ボール箱(空っぽ)が無造作に転がっているではないか。ゴミ箱に入りきらないので、その辺に打ち捨てたってところか。やりやがったな。すぐに後を追うと、男は床にぶちまけた山のような荷物と格闘していた。一緒にいる複数の男女はヤツの家族のようだ。
「さっき大量のゴミを物陰に捨てたよね?ゴミ箱に入らないなら持ち帰りなよ」
通「#ζ★※□♂▲?」
 男が不機嫌そうに答える。
中「×■※◆×○α!」
通「荷物の重量を軽くするために捨てたんだから持ち帰るわけないだろうって言ってます」
ま、この連中ならこれくらいのことは当然言うわな。
「そんな理屈、通るかよ。持ち帰れっての!」
通「※×○α□♂■!」
中「β♭●#●Ω×■!」
通「ゴミがないと清掃員が失業するぞ。ドロボウがいないと警察が失業するのと同じだ。だいたい何でアンタに注意されなきゃいけないんだ、だそうです」
あ〜うざいんだよ、そういう屁理屈は!
「中国人って衛生観念とか道徳心がカケラもないんだな」
通「×■※▼β★●#ζ」
中「◆×α!」
通「番犬は黙れ、ですって」
 お〜の〜れ〜。と、ここで思わぬ援軍が。そばでこのやり取りを聞いていた別の中国人観光客のグループが、次々にオッサンを非難しはじめたのだ。以下、その通訳。
「頼むから海外で中国の恥をさらすのはやめてくれ」
「ゴミくらい捨てればいいだろ」
「アンタのような人がいるせいで中国人が誤解されるんだ」
日本人だけでなく、同胞にまできつく言われたのが効いたらしい。男は、ちょっと可哀相なほどシュンとして、ゴミを捨てた場所に戻っていった(ゴミはすでに清掃員が片付けた後らしく見当たらなかったようだが)。