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香港在住の優秀(?)な商社マンにして、「裏モノ」の熱狂的ファンだという奇妙な日本人読者から、編集部宛てに1通のEメールが届いた。現地のミュージックショップで手にしたフリーペーパーをぱらぱらめくっていると、そこに不思議な広告が載っていたという。
「深センエッチツアー」日本語で書かれた広告の主は、〈スチュワート〉なる英語名を名乗る香港人。問い合わせてみたところ、彼は香港に住む日本人駐在員を率いて、中国・深センへの買春ツアーを不定期に開催しているのだそう。
「……ということですので、ぜひ裏モノスタッフの方、調査してください。」
自分で参加しないところが、まだまだ愛読者らしからぬ彼である。こういうときはまず下見ぐらいしておけよ。ま、それはさておきこの情報、なかなか興味をソソられる内容ではないか。
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香港人の企画する深セン買春ッァーなんて、ずいぶん楽しそうである。中国・深坦とは、香港のすぐ真北に位置する町で、19?0年代後半から、中国政府が一部地域(経済特別区)に資本主義経済を導人。以降、めざましい勢いで開発が進んでいる。開発が進めば、自然、女も流入する。いくら共産主義国家中国の一部だとはいえ、売春文化が根付かないわけがない。経済の発展とはそういうことなのだ。香港に住む男どもは、安も女を軍っために国境を越えて深堪を訪れる。日本人のオヤジが韓国やフィリピンに向かう構図と基本的には同じだ。スチュワートがスケべな日本人を対象にツアーを考えだしたのも納得できる。スチュワートの連絡先を聞き、直接メールでやりとりしたところ、ツアーは1人でも参加できるとのこと。広東語はもちろん、日本語や中国語もペラペラの彼が、通訳しつつ案内してくれるという。かくして僕は香港へ向かつことになった。2泊3日、深センエロツアーのスタートだ。
そこはまるで香港のよつな町だった
「いらっしゃい、ナカヤマさん」空港で僕の到着を待っていた謎の香港人スチュワートは、ネイティブな日本語を操る小太りな男だった。軽く握手をした後、近くのバス乗り場へ向かってすたすたと歩く彼。どうやらいきなり深センに向かうようだ
「ナカヤマさん、お金はどれだけ持ってますか」
すべて込みで10万円はあると答えると、彼は驚いたような顔を見せる。
「半分もいりませんよ」「でもツアーだから、結構かかるでしょ」「いえ、かかりません」
安い女をかうツアーなのだから、できるだけ金は使わせないと自信満々だ。ちなみにガイド代も1万円でいいという。
以前日本で生活していたらしき彼は、ほとんどボランティアに近い感覚でこんなことをしているらしい。空港から30分ほどバスに揺られた後、電車に乗り換える。
「上野から川さきぐらいの距離ですから」
やたら日本の事情に詳しいスチユワートの言葉どおり、クーラーの効いた快適な電車は、およそ40分後、国境に到着。さらに1時間近い出入国審査を経て、僕たちはようやく深センに入った。
目に飛び込んできたのは、大中国山紫水明の世界ではなく、香港とほとんど変わらない近代的な光景だった。ニョキニョキとそびえるガラス張りの高層ビル、忙しそうに歩き回る人の群れ。いくら発展していようが、しょせんちっぽけな町だろうと想像していた僕は、その規模のデカさにア然とする。そしてさらに僕を驚かせたのは恐ろしいほどの暑さだ。気温湿度共に、日本の夏をはるかにしのぐ。こんなところで性欲なんて沸いてくるんだろうか。
国境そばのホテルにチェックインした2人は、今後について話し合った。スチュワートが尋ねる。「どこに行きましょうか」「お任せするよ」
何もわからない以上、ここは彼に頼るしかない。
「それじゃ、マントル村からにしましょ、マントル村。」
なんというネーミング。マントルという懐かしい旨口葉もさることながら、なぜそこに「村」がくつつくのか。
「ナカヤマさん、マントルは知ってるでしょ」「ええ、わかりますよ」
「その村は全部マントルなんです」一瞬、耳を疑った。「村全部が?」「そうですよ」
聞けば、こっちのマンションあっちのマンション、とにかくどの部屋に行っても女を買えるという。いわば村民全員が娼婦のようなものか。さすが中国、スケールがでかい。
駅からタクシーで幹線道路を西へ20分。マントル村(とは、どこにも書いていないが)の入り口には、大きな門が建っていた。この国特有の「城門」の名残なのかと思いきや、スチュワートの話によれば、ここはある一族が支配しているため内部には警察権力すら及ばず、門も単なる遺物ではなく、砦としての役割を果たしているのだそうだ。とても信じられないが、確かに門の下には守衛らしき男たちが。強い視線で呪みつけられながら、僕たちは村の中に足を踏み入れた。すぐ目の前には、大小様々のマンションがズラ」リと並ぶ。50棟は余裕であるだろう。1棟を仮に20部屋として…1千人もの女のコがいるのか、ここには。まさに村だ。ただ、「どの部屋でも買える」という特殊な状況だとはいえ、客がいきなり各部屋を訪れることはできない。どの棟も入り口部分がロックされているため、客引きのオバハンに開けてもらうしかないのだ。目敏く1人のオバハンを見つけて声をかけたスチュワートは、何やら話し込んだ後、僕をあるマンションへと誘導した。
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狭く暗い階段をゆっくりと上り、最上階のドアを開けると、真ん中の居間で20ま剛後のコが5人ほどくつろいでいた。麻雀卓囲みながら、ちらほらとテレビドラマなんぞを眺めている様子は、リラックスそのもの。とても体を売っているコたちには見えない。
「どのコにしますか」
迷うところだ。このコもいいし、あのコもいい。しかも他の部屋を覗いていいとまで言われれば、すぐには決断できない。
「サンピーでもいいよ」まったく、いろんな言葉を知っている男だ。
「1人2千円だから、2人でも4千円ですよ」いきなり3Pもどうかと思ったが、1人2千円と聞いて方針を変更。僕はタイプの違う2人を指名して、隣のベッドルームへと移動した。
「●△×」「ロ●〇」2人とも中国語なので何をしゃべっているのかさっぱりわからず、僕はニイハオニイハオと愛想を振りまきながら、とりあえず服を脱いだ。汗でシャツが重い。トイレと一緒になった汚いシャワー室で体を洗った後、3人並んでベッドイン。両脇に陣取った2人が笑いながら僕を攻撃し始めた。1人がチンチンをなめる間、もう1人が乳首を責める。トントンと2人の背中を叩けば、さっと交替してペロペロチューチュー。うーん、どっちもお上手ですな。タマらずー人に挿入すれば、残った1人は背後に回ってお尻の穴をワサワサほじってくる。役割分担が明確で、身のこなしもバツグン。雑技団のような娘さんたちである。僕は続けざまに2回も発射してしまった。グッタリとして居問に戻ると、テレビに飽きたギャル軍団が麻雀に誘ってくる。心地よい気だるさの中、いっちょ相手してやるかとテーブルに。
しかしこの麻雀、1牌ツモって1牌捨てるところは日本ルールと同じだが、「役」という慨念があるのかないのか。誰もがとにかくポンポンと鳴きまくって、早上がりを狙うのだ。しかも全員の捨て牌が真ん中にゴチャ混ぜになってるから、筋だなんだ言ってる場合じゃない。「ポンー」「ポンー」さっきまで僕に抱かれていた2人が背中越しに応援してくれるも、どうにも要領のつかめない僕は結局1200円ほど負けてしまっていた。
マントル村から乗ったタクシーの中で、スチュワートが
「センパツ通りも行きますか」「センパツ?」「髪を洗っところ。床屋」「ああ、床屋ねえ」
中国における「床屋」がチョンの間を意味することは知っていた。
「いいですねえ。行ってみますか」
駅より東その路地は、赤と青のぐるぐる回る例のマークが10メートルほどの間隔でズラリと並んでおり、まさに洗髪通りと呼ぶにふさわしい景観だった。2人して通りを歩く。ガラス張りの店内には床屋椅子が2、3並んでいるが、どこにも客の姿は見えない。あの椅子、床屋としての体裁を保つためのもので、要はソープランドにおける簡易サウナのようなものなんだろう。どの店も作りは同じ。スチュワートにも特に馴染みの店はないようなので、ルックスのみを基準に僕は1人の女性を指名し、彼女の属する店内へ入った。形式的な洗髪もなくいきなり通された、店の奥のさらに奥にある一室は、小さな豆電球がーつ幻されただけの地下室のような場所だった。何も見えない。こんなところでヤルのもど、っかと思いながら僕は全裸になった。女は服を着たまま、コンドームを装着して手コキを始める。なんだこのヤル気のなさは。「〇▼×〇ー」
早口の中国語でときおり何か言ってくる女。理解できずに無視していると、手の動きを止めた彼女が部屋を出て行き、代わって1人のオバハンが中に入ってきた。な、なんじゃ。
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「×▼〇●ー・」仕草から金を要求しているらしきことはわかるが、ど~つして今ここで。さっばりわからずに、表で待っていたスチュワートに助けを求める。と、すぐに現れた彼は、凄い剣幕でオバハンをののしり始めた。「ロ〇▼×ー・」「〇●▼×ー■」力づくで僕を外に引っ張り出し、表の椅子を思いきり蹴飛ばして怒鳴りまくるスチュワート。おびえた目で僕たち2人を見る、洗髪通りの女たち。
「あいつら、ベッド利用代1千円出せって言ってるんですよー」
怒り収まらぬ様子で彼は言う。どうやら床屋にはボッタクリが存在するらしい。
ツアー2日目は、同じ深センの中でも「特別区ではない地域」に遠征することになった。特別区でない地域とは、つまり中国本土と条件が同じ。経済が発展していないため、女の値段はさらに安くなるのだそ、っだ。これ以上安くしてもらう必要もないのだが、ここまで来たらぜひとも行ってほしいというスチュワートには逆らえない。ツアーの主催者は彼なのだから。30分ほどタクシーに乗って着いたのは、「特殊雑貨屋」の集まる一帯だった。砂糖や油や文房具などを扱っ雑貨屋が軒を連ねた、いわば小さな商店街なのだが、これが全店「特殊」、つまり女の買える店なのだ。ほこりっぽい通りの両側に並ぶ店では、どこもボールペンゃ消しゴムが薄曇りのショーケース内に雑然と並び、横で若い女が店番をしている。何も知らない者なら、ショーケースの中でなく椅子に座った方が商品なのだとは夢にも思わないだろう。
「ここにしましょうか」店に足を踏み入れ、ソファに座る。ごくわずかの品揃えしかないくせに、店内には客用の長いソファ。竿える。僕たちが中に入ると同時に、どこからともなく若い女のコたちが集まってきた。10代にしか見えないガキンチョばっかりだ。「どれがいですか」人を物のような指示代名詞で呼ぶのは、スチュワートの癖だ。真っ昼問の商店内で女を見定めるとは、こっ恥ずかしいというか何というか。
こんな場所であんまり衆目を集めるのもよろしくない。僕は、中でもいちばん可愛いい、黒のキャミソールを着た細身の女のコを指さした。ソファから立ち上がり、さて頑張るかと、店の奥へ。と思いきや、店主のオバちゃんとキャミソールちゃんは、外に出てずんずん歩いていく。どうもヤル場所は別にあるらしい。
2人が入っていったのは、サビれまくったアパートだった。中に少し広めの部屋があり、小汚いベツドがーつ。山小屋のような簡素さだ。味気ないセックスはものの3分ほどで終了した。やはり特別区をはずれると競争原理が働かず、サービスもおざなりになるのだろうか。なにせ彼女は、ゴムフェラさえ拒否するのだ。
雑貨屋ストリートを離れた僕たちは、再び特別区内へ戻るべく、大通りへと向かった。しかしどういうわけかスチュワートは最短距離をとらず、自転車すら通れないような細い裏道へと入っていく。至るところで工事が行われているせいで、実に歩きにくい。しかもこれ、どう考えても遠回りだろう。頻繁にすれ違う肉体派の労働者たち。じつとしているだけでも汗が吹き出すこの気候、さすがにみんな上半身裸だ。レンガを積み上げ、土を掘りと、ご苦労様である。と、どういうわけかオバちゃんたちが辻々の椅子に座って、何をするでもなくその様子を眺めている。現場監督、のわけがない。じゃあ何だ。隣でスチュワート
「買えますよ」「え…」「300円で買えますよ」
彼が「買える」と言えば、それは女のこと。そう、300円とは、椅子に座ったオバチャンの値段を指しているのだ。まさか、こんな悪路までツアーコースに含まれていたとはー彼女ら、肉体労働者のお相手をするためにわざわざ現場近くに腰を下ろし男たちの下半身が癖くのを待っているのだそうだ。つまりこの辺りでは「ちょっと一服するか」的なノリでさくっとオバちゃんが買われているのだ。「口直しに買っていきますか、ナカヤマさん」
雑貨屋で満足できなかったことを見抜いたか、スチュワートがいう、しかし、それじゃ口直しの意味が違うだろう。「買わないよ」「いいって買いましょうよ」
ふざけて話す2人の姿を、椅子に座ったオバチャンたちは眺めていた。
夜になってようやく特別区内に舞い戻った2人が駅周辺を散歩していると、高級ホテルの前に1人の美女が立っているのを見かけた。娼婦らしい。雑貨屋、工事現場と、安っぽい女性ばかりを見てきた今日は、このあたりで締めくくりたいところである。
「あれはどう?」「1万円以上しますよ」「でも、お金はあるから」「ダメですよ」
どうしてもウンと言ってくれないスチュワート。高い金で楽しむなら香港でもできるんだからと、高級娼婦には目もくれず、暗闇へと向かう。
「この公園にフェラチオしてくれる女がいますよ」
「あそこでゴミを食べてる女。あれもたぶんヤレますよ」
街灯もない夜の公園には得体の知れぬ人影がうごめき、一種の妖気のよ、つなものが漂っている。いくらなんでもこんなところまでコースにするなよな。ゴミを食う女とどうセックスしろってんだ。急激な発展を遂げたこの町が、その過程で様々な問題や矛盾を噴出しただろうことは想像に難くない。金儲けのレールに乗れずホームレスと化した者が、闇のさらに闇で男の性欲を充たして小金を得ようとしている現状もわからないではない。が、たとえ10円だろうと、そんな連中相手にヌくのはキッイ。キッ過ぎる。ど、つしてもマトモなところでヌキたいと主張する僕に、彼は渋々1軒の店を紹介した。
「手コキサウナです」
手コキごときでどうして満足できようかと、入店した僕だったが、これが他の売春宿とは違うクリーンな雰囲気で、実に気持ちよく射精してしまうことに。何が気持ちいいかなんて、わからないものだ。
★丸2日の滞在で4種5発。40度はありそうなとんでもない暑さの中で、ここまで頑張れたのも、すべてスチュワートの案内あってこそだろう。別れ際、彼は言った。
「こんなに回った人、初めてです。でも・・己時間があれば「特殊海水浴場」や「特殊病院」も回れたのだが」
と、残念な様子だ。なにやら他にもソソる業種が残されているらしい。ありがとう、スチュワート。しかしそれは次回の楽しみにしておこう。もう、体がもたんよ。