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親族などを装い電話をかけて現金をダマし取るオレオレ詐欺が、日本全土を席巻している。
警察庁のまとめによれば、今年1月から9月までの被害総額はすでに129億円。毎月数億円単位で増加しており、このままいけば昨年の4倍を超える勢いだという。
新聞やテレビでも繰り返し報道されているにもかかわらず被害者が後を絶たないのは、オレオレ詐欺という犯罪が、日々進化しているからだろう。
1人暮しの老人などに「オレオレ」と身内を装い電話をかけ、事故の示談金や妊娠中絶費などの名目で現金を編し取る単純なものだった。が、今年に入りその流れは激変。警官役や弁護士役、事故を起こした身内などを装う、劇場型、他にもサラ金等の借金返済や、妊娠中絶費、誘拐を偽装するなど新たな手口が誕生している。しかし、もはやその手法さえも古いと言わざるを得ない。ここで紹介するのは、個人データと携帯1本で大金をダマし取る、究極のオレオレ詐欺だ。
昨年まで広域暴力団山口組の闇金グループに籍を置き、数人の店長以下数十人を統括する立場にいた人物である。当時はヤミ金業者として、多重債務者などを相手に法外な利子で貸し付けを行っていたが、ヤミ金禁止法、さらには五菱会トップの逮捕を受け撤退。今年の春再び舞い戻り、現在は各店舗の円滑な運営や新人の指導などにたずさわる傍ら、自らもオレオレ詐欺を繰り返してきたという。
手口は多くの人物を登場させ偽りのストーリーを作る、いわゆる劇場型オレオレ詐欺だが、しだいに割に合わないと考えはじめた。
「身内が事故ったとか妊娠したとか、家族絡みの話でいくと、職場や学校に連絡されたり警察に通報されたり話が大きくなりすぎる。本人と電話を繋がらないようにするのも面倒だしね。その上、テレビや新聞で大騒ぎでしよ。まさにハイリスクローリターンってヤシですよ」
そこで高島は考えた。もっと効率よく、安全確実に稼げる方法はないものかと。
元々ヤミ金業者の彼には、プリ携や架空口座は簡単に用意できる。さらには名簿屋をはじめ、プロ○スや武○士など大手サラ金にも太いパイプを持っているため、個人データの収集も難しくない。
「例えば男性の個人データがあるとしたら、そこにオレオレ詐欺の電話をかけて失敗しても、今度は架空の借金返済を迫ったり、ヤミ金の営業をかけることもできる。ま、要するに相手の状況しだいでストーリーを変えたらいいんです。それも俺1人が携帯1本でやれる話をね」
高島が1枚の紙切れを差し出す。某大手サラ金業者の名前が記された顧客データだった。高島は考えた。保証人の娘から金を取るか。いや、まだ20代なら親を脅す方が得策ではないか。
「こいつ、この時点で課長補佐なんで、今はもっといい役職に付いてる可能性が高い。年収も600万以上ありますからね。絶対に取れる自信はありました」
結局高島は「ホストクラブの経営者」を演じ、娘の飲み代のツケを父親から徴収するストーリーを作り出す。以下、その一部始終をここに再現する。
最初のうちは、かたくなに支払いを拒否していた被害者だが、高島の説得とも脅しともとれる話術によって、いつのまにか自分にも責任があると洗脳されていく様がわかる。電話口の見知らぬ相手に何度もお詫びやお礼の言葉を繰り返し、自分が編されていることすら気付いていないのだ。
翌日の午後2時、再び携帯に電話した高島は「娘の家の前まで来たが会えない」と伝え、タナカさんの払う意思を再度確認。銀行の窓口業務が終わるまでに振り込まないと延滞金が加算されると焦らせ、結局、1時間後に頭金として振り込ませている。さらに翌週、2回にわけてさらに振り込ませ、合計120万円を編し取ったという。
「今のところ、オレにとってはこの方法が一番手っ取り早い。もし保証人の欄が男性名だった場合は、キャバクラのツケや、金融屋の借金取り立てでもいいし、逆に娘からカネを取る方法だって可能です。要は、データによってその都度話を考えていけばいいんです」