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かねてより、私は写真家のアラーキーを尊敬している。彼の緊縛プレイの写真は、ひたすら美しく、見るたび、甘い吐息のような溜息が漏れてしまう。
古く趣溢れる日本家屋で、荒縄で縛られて艶っぽく乱れさせた女性が、苦悶ともつかない、官能的な表情で横たわる姿。そして写真から匂い立つような、芸術的な工□チズムや背徳感。
『私も縄で縛られて、官能的な世界に浸ってみたい……』
今回はその願いを叶えることにする。体を緊縛されたその時、私はいったいどんな心境で、どんな表情を見せるのだろうか。私を感動させたあの写真のように、瞳を切なげに潤ませた、美しくも傍い表情に、変貌を遂げるのだろうか。待ち合わせのJR川崎駅に現れた緊縛師Kさんは恥ずかしそうにはにかむ微笑みが印象深い、良い感じに年齢を重ねた男性だった。隣にはKさんのパートナーなのだろうか、華のように明るく美しいお姉さんが寄り添っている。ニコニコ談笑しながら向かった先は、駅近くのマンションの一室にあるSMサロンKさん御用達のスペースらしい。
「私はプロではない、アマチュアですよ」
カメラマンが撮影の準備する間、Kさんは謙虚に語り始めた。
その緊縛キャリアは30年以上。何でも、幼稚園のとき、気がついたら人形を縛っていたこともあるというから、生まれついてのマニアといっていいだろう。官能的であるはずだった緊縛プレイが、どんどんSM傾向を強めていく。私は洗濯はさみを両乳首に付けた淫らな姿のまま、両足首までもを縛り上げられ、遂には体の自由が全く効かない、先生に成されるがままの姿になった。縛られた足首が宙に浮く、上半身だけでなく、足首までも、天井に吊らされたようだ。どこもかしこもが苦しくて、もう何が何だかわからない。吊り上げた。完全な宙吊り状態になった私の唇の中に、先生が指を突っ込む。私は赤ん坊が母乳を吸うように、先生の指に無心でしゃぶりついた。先生と私、もう二人は他人ではないような、奇妙な愛情さえ芽生えてくる。
宙吊りになって乱れた私の髪を、五本の指でガッシリと鷲掴みにして無茶苦茶に引っ張り回す。前髪を鷲掴んで顔を上げさせ、苦痛に歪む表情を見下ろす。痛い、けど痛くない。その乱暴な行為の中に、私に対する性的興奮と、愛情を感じるからだ。痛くて苦しくて気持ちいい。
ずっと起ったままの乳首も細い縄で結ばれて、乳首を結んだその縄を、私自身の歯でくわえるように命じられる。私は今、自分で自分に拷問を与えて、興奮を覚えている。丁寧に着付けてもらった長補祥は、すでに着物の役割を果たしていない。パンティもとっくに脱がされた。ほぼ全裸になった体は、指一本さえ動かせないように、上から下までグルグル巻きに緊縛されている。直立不動を余儀なくされた、一本の棒きれ。まるで人柱みたいだ。先生は私の顎を優しく撫でた後、背中で結んだ縄を、天井にくくりつけたようだ。足元は極限のつま先立ち状態で、数分も経たないうちに、プルプルと小刻みに震えだし、終いには足全体が、激しく煙箪し始めた。私が必死に耐えている表情、それが本気にさせたのだろうか。今までとは明らかに違う、サディスティックな顔付きに変貌した先生は、私をまた宙吊りにして、髪の毛を手加減一切なしの、強い男の力で掴み倒した。急激にサディズムを増したその行動に、私のマゾヒズムも一気触発された。