0020_20181128204307f8c_2019100611382468b.jpg0021_20181128204308e8d_201910061138266cc.jpg0022_20181128204309afd_20191006113827c8f.jpg0023_201811282043119ed_20191006113829836.jpg0024_20181128204312c10_201910061138308bc.jpg0025_20181128204314ed0_2019100611383265c.jpg0026_20181128204315bbc_201910061138336ac.jpg0027_20181128204317704_20191006113835ed5.jpg0144_20181117181332a5c_201910061136164f3.jpg0145_201811171813341a6_20191006113617136.jpg2年間の海外生活を終えて東京に戻った私には、早急に解決すべき事柄があった。住居である。荷物を置くだけのために家賃を払い続けるのもバ力らしいと、アパトは旅立つ前に引き払っている。かといって実家にも事情があって帰りづらい。とりあえずは友人宅に居候させてもらうことにしたが、早晩追い出されるのは見えている。さてどうする。
そこで思い立ったのが「ルームシェア」である。軒家や大きめのアパートを複数人で借りて家賃を安く済ませるもので、日本では馴染みが薄いが、欧米の苦学生などの間では浸透したシステムだ。人に部屋が与えられ、風呂やトイレ、リビングが共有スペースとなる。実に合理的な住み方と言えるだろう。さっそくネットで、ルームシェア募集の掲示板を検索してみる。。
『国分寺月4万円』『早稲田月3万円』数ある入居者募集告知の中、私の目はあるつの書き込みに釘付けになる。『立川月1万円』
1万円安い安すぎる。渡りに舟とはこのことか。急いで詳細情報希望のメールを送信。数日後、返信が来た。
〈(中略)SEXしたって誰も文句は言いませんよ。(中略)。返信のときは、〇〇が好きです、と書いてください。たとえばサーロインステーキが好きです、とか〉
不思議な文面にあっけに取られる。うん、大丈夫か、この人。相当にヤバそうだが、1万円の魅力には逆らえぬ。〈ハンバーグが好きです。入居希望します〉次のメールには電話番号が記載されていた。かけると、出たのはオッサンの眠そうな声だ。
「下見するなら、立川駅に来てもらえるかな」
下見当日、立川駅から連絡し、電話で誘導されながら現地へ。到着したのは、線路沿いに立つマンションだった。「おじゃまします」中は、地獄のことくモノが散乱した室だった。天井までまんべんなく積み上げられたダンボールとガラクタ。壁際には2段ベッドが幾つかあり、そこで寝起きするらしい。中央付近で、オムスビ顔のおっさんが毛布にくるまっている。これが、電話の男か。
「ふあ、どうも。こんな感じだよ」「はあ。他にも誰か住んでるんですかっ」「今は出かけてるけどね。学生とか」まるでタコ部屋ではないか。
男性でも女性でもいいですが10代20代の方。長期希望の方お顧いします。掲示板で見た書き込み。どこかオカシイとは思ったのだがリビングでお茶を飲みながら談笑する、ルームシェアの酒落たイメジは瞬時に吹っ飛んだ。しかし破格の安さを思えば仕方がない。少なくとも睡眠はできるだろうと、私は入居の希望を告げ、前払いで家賃万円を支払った。翌週の入居日。驚いたことに、さらにガラクタが増えていた。
こんなもん、誰が持ってきたんだ
オムスビのおっさんは、ゴミに囲まれたまま眠っている。ともかその後数日、私が見る限り日中のオムスピはいつも毛布にくるまって寝ていた。同居人のイラン人や学生たちは、ときどき顔を見せたが、ほとんど荷物置き場として使っているようだ。部屋は片付くどころか、ますます異様さを増し、食器や食材が何日も放置されていたり、天井まで積み上げられたダンボールが崩れ始めたり。そのうち、私の寝床にも、オムスビは私物のガラクタを放置し始めた。連日深夜の掃除。汚れる方の部屋。耐え切れず、私は突っかかった。
「あなた、いったい何やってんですかっ」
オムスビは唇をワナワナと本当に震わせる。
「何よアナタ」へっオカマ口調っ「仕事もしないで寝てるなら、片付けたらどうですかっ人の・ベッドにガラクタ置くの止めてくださいよ」「アナタには関係ないわ私は会社役員よアナタなんてチンカス君なんだから何がハンバーグ好きよ」ああ、もうワケがわからん。1万円なんて何かオカシイとは思ったが、こんな事態が待っているなんて。
かくして私は「出て行きなさい」と退去勧告を突きつけられることとなった。
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