0140_20190304172724db2.jpg 0141_20190304172726bd4.jpg 0142_20190304172729cf3.jpg 0143_201903041727344e1.jpg
格言には先人の体験によって積み上げられ演過された真理が存在する。
『年を経てからおぼえた遊びはのめり込みやすい』
今回は、この格言を取り上げてみたい。
男にとっての遊びといえば、飲む。打つ.買うである。僕の場合、飲むほうは体質的にまるでだめで大学時代に一気飲みすることは毒をあおるようなものであった。ところが、三十代で睡眠薬をおぼえてしまった。なかでもはまったのが住友製薬のエリミンと塩野義製薬のベンザリンであった。
寝るために飲むのだから一錠程度では足りず、効果が早くあらわれるように空腹時にアルコールとともに八錠ほどをまとめて飲みほす。すると決まって二十分でからだがふわっと浮き上がり、細胞のひとつひとつが心地よくしびれてくる。気分も大きくなり、悩みもかき消え、恥ずかしさもなくなってくる。睡眠薬はアルコールと同じ作用を人に及ぼすのである。
僕は三十を過ぎてから酒飲みの気持ちがわかったことになる。
酒の失敗談が無数にあるように僕もまた睡眠薬の失敗が山ほどおきてしまった。車でガードレールに突っ込んだり、同じスーツを四着買ってしまったり、暴力団のベンツを足蹴りにしてボコボコにしたり、いまから振り返るとよくぞ命があったと思う。
酒に二日酔いがあるように睡眠薬にも悪作用があり、飲んだときはハイになるのだが効き目が切れ
たときは猛烈に落ち込んでしまう。これでは仕事もできなくなると思いつつ飲みつづけ、結局クスリ
を断ち切るまでに五年近くかかってしまった。年を経てからおぼえた快楽にはほんとうにはまりやすいと、このとき思い知らされた。打つほうは大学時代、麻雀にはまり授業をさぼって西早稲田の雀荘に入り浸った。
関連記事
カテゴリ
タグ