0074_201904281506399fb.jpg 0075_201904281506406ba.jpg 0076_20190428150641d48.jpg 0077_201904281506439a2.jpg 0078_20190428150644e79.jpg 0079_2019042815064625d.jpg 0080_20190428150647409.jpg 0081_20190428150649ead.jpgシーズン中のため、安宿はどこも満室だった。空いているのは素泊まり5千円以上の民宿ばかり。仕方なく、重いバックパックを背負い集落をうろついていると、赤ちょうちんが目に入った。思わず中に入り、名物・ホッケのちゃんちゃん焼き(ねぎ味噌を乗せ焼いたもの)定食でビールを一杯やる。
「お前ら、付き合っちゃえばいいのによぉ」
向かいの小上がり席では、地元の若者らしき男女グループがわいわい盛り上がっていた。
「ムリムリ、絶対やだよ」
「いいじやんよお」
何だか、みんな楽しそうだ。なのに俺は一人ぼっち。話し相手もおらず、誰もかまっちゃくれない。自然、東京の友人たちの顔が次次と浮かんだ。外に出ると雨が降っていた。あいにく、今晩の寝床に考えていたバス停の待合室にはカギがかかっており、入れない。俺は隣接するトイレの中で寝袋を広げ、缶ビールを飲み干した。全身に言いようのない寂しさがこみ上げてくる。東京を発ってからまだ一週間余り。ホームシックになるのは早すぎるのかもしれない。自由気ままに旅をして、何を甘ったれてるんだとも思う。だが、一年以上も帰ることができず、落ち着けるわが家もないという心細さは、想像以上だ。礼文島から稚内に戻り、そこから3日間かけ、ヒッチハイクで札幌へ移動した。目的は二つ。一つは、この地で開催されるよさこいソーラン祭の見物。もう一つは、セックスだ。
時間を、稚内のライダーハウスのころに戻す。編集部支給のネット接続し放題のパソコンで出会い系をやっていたところ、1人の女と知り合った。アスカ。札幌郊外在住で、ノリがやたらよく、今日までずっと、携帯メールをやりとりしていた。写メの感じでは、ルックスも悪くない。
「うちの近所にちよ-おいしいレストランができたんだ。特にパスタがお薦め!今度連れてってあげる。ほんとおいしいんだから」
「和田くん、本当に彼女とかいないの?いそうだけど…」彼女は一人暮らしで、求職活動中だという。飲んだ勢いでセックスに持ち込んだついでに、何日か彼女の家に居座ってやろう。もしかして、いきなり同棲生活が始まっちゃったりなんかして。
約束より早く、待ち合わせの駅に着いた俺はトイレに駆け込んだ。ウエットティッシュを取り出し、顔、首周り、脇の下、そして股間を念入りに磨き上げ、口にはミント味のガムを放り込む。よっしゃ-、今宵は絶対決めたるぞおお!
「おまたせ、和田くんでしよ?」
約束の時間より5分遅れて現われたのは、森三中の村上様だった。
「え?」
「どしたの?」
「アスカちゃん?」
「そうだってば」
…写メより二回り膨張してんじゃん
「アスカちゃんの家に泊めてくんない?」
「え、全然いいよぉ」
昨晩は、すすきの近辺のビルの狭間で野宿している身。ルックスは期待ハズレの大ファールだったが、温かいベッドと風呂の魅力にはどうにも勝てない。ただ、セックスはしない。俺は、死ぬほどデブ女が嫌いなのだ。
果たして、アスカは好色な女だった。風呂から上がるや、先にベッドで寝ていた俺の横に滑り込み、耳元で畷くのだ。
「ねえん、エッチはぁ?」
興奮しているのか。フー、フーと首筋に生暖かい息が当たる。
「和田くん、エッチしようよ」
やるしかないよな、もはや。義務的に肉塊の上に跨り、一心不乱に腰を動かす。はぁぁ
翌日昼。アスカに車を出させ、1人の青年の家を訪ねた。名は川田くん。よさこい祭で知り合った気の良い男で、もともと今晩、彼の自宅に泊めてもらう約束になっていたのだ。もはやアスカの元に帰る意志は微塵もない。が、世の中甘くはない。翌日、「今日も泊めてくれ」と頼んだところ、みるみる川田くんの表情が曇っていく。で、またぞろアスカの家に。
彼女との生活はストレスそのものだった。
求職活動もろくにせず1日中ふとんの上でゴロゴロ転がっているばかり。遊びに行こうと誘っても「え-、外出ると金かかるし、だるいんだもん」とくる。
一事が万事このような体たらくつぶりだが、足のない俺は、ずっとワイドショーを見るしかない。アスカにこんにゃくだ、ヴァームだと、さり気なくダイエット食品を食べてます的なアピールをされるのも腹立たしい。
いや、わかっている。人の家に上がり込んでおきながら、勝手なことをほざいているのは十分承知だ。こうして宿泊代を浮かし、の
んきに暮らしているのは、すべて彼女のおかげだとも。
しかし、毎晩、せがられるままご奉仕セックスに励む俺の身にもなってほしい。家主と居候の上下関係を盾にし、ああも頻繁に体を求めれちゃ、文句の一つも言いたくなる。限界は4泊目の夜やってきた。アスカの股に顔をうずめている最中、ふと我に返る。何してるんだ俺。肉を掻き分けている場合
じゃないぞ。時間を浪費する一方じゃないか。明日こそはぜつたい旅立とう。
関連記事
カテゴリ
タグ