0120_20190507194649f43.jpg 0121_201905071946444bc.jpgやがて棒高跳びのセルゲイ・ブブカに似た1人の男が近づいてきてじっくりと読み始めると、確信したようにうなずき、驚くことを口にした。
「コレ、ゼンブ、クダサイ」
えっひょっとしてこのマニュアルって高価なモノなの。いやいやそんなワケがない。こんな本、ウチの倉庫にゴロゴロ転がっているゾ。販売実績のまったくないクズ本だ。正直な所、いくらで売ればいいのかさっぱり見当がつかない。
「1冊2千円×5=1万』
突然、横から親父がふっかけた。いくらなんでもその価格では…。と思いきやブブカは、ワカリマシタ、と簡単に金を出した。
「ツギハ、イッ、キマスカ?」
いかにも1万円は安すぎる、とでも言いたけだ。
「もっと高くても売れたかもなぁ、チクショウ」
だが、こんなオイシイ商売にも終わりはやってくる。ブブカが帰国することになったのだ。
「テモトニアルブン、ウッテホシイ」
いくらビジネスとはいえ帰国する相手に売り渋るのも意地がワルイ。親父とオレは在庫を車に載せ、待ち合わせ場所のK県の住宅街にあるビルにでかけた。
「じゃあ、これが最後だ」
マニュアルを渡すと、いつものとおり無言で金を払うブブカ。と、ここで我慢しきれない親父がいった。
「お前、いったい何者なんだよ?」
ただのマニアじゃないだろう。オレとしてもぜひ正体を知りたい。
「KGBシッテルカ?ソレノカンケイシャデス」
米軍機密マニュアルとKGBとはいかにもな組み合わせだと、親父が妙に納得していたのを今も思い出す。
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