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じゃあ、思い切ってデカピンに上げますか
やりましょう。
飯村はその夜だけで20万の金を失った。最後は「まだやりましょうよ」というヤツの誘いを、
「今度また改めて」と逆にお願いしてお開きとなった。
過去の経験から見て、間違いなく最上級の「カモ」である。レートはいつでも上げられる。誘えばか決して断らない(実際、その後数度ヤッと卓を囲んだ)。そして何。より大金を持っている。さて、とこまで引っ張れるか・さっそく知り合いの不動産屋に飯村が所有する2軒のビルを調べさせたところ、「5階建てが10億、3階の方が5億だよ」狙うはむろん10億、少なくとも5億はかすめ取りたいところだ。
ハメる目的だけで1軒の雀荘を作る
しかし、億の金を勝つとなりゃ並大抵じゃない。チマチマやってるうち、ヤツが我に返ったらその時点でアウトだ。やるからには、一気に力ッパがねば。じゃあ、どうするか。
億の金が動く麻雀が、街の雀荘でできるワケはない。かといって、マンションなどでは相手に警戒されるのがオチだ。考えに考えた挙げ句、オレが出した結論は飯村をハメる目的だけで、一軒の雀荘を作ってしまえーもちろん、雀荘、及びメンツは全員仲間。客は飯村ー人だ。飯村には最初のうち花を持たせ、油断を誘い、徐々にベットアップを計ればいいだろう。不確定要素は多いか、持っていき方によっては、ニ晩三晩で10億のビルも落ちる可能性は大だ。
ただ問題は、雀荘の設立資金だ。どこでその金を調達するか。また、ビルをぶん取った後、金に換えるルートも確保しとかなきゃいけないだろう。その協力者として真っ先に思いついたのが、代打ち時代に知り合った、不動産屋の田川だ。金に目がないヤツのこと、ノッてくるに違いない。
「…というわけなんだけどよ」「またずいぶんデカイ絵を描いたもんだな」
「まあな。どこかに良い物件はあるかな」「ああ、ちょーつどいいのがあるよ」
「金を流すルートは」「それも問題ない」
「金も出してくれんだろうな」「オマエへの貸しって形だけどな」「わかってるって」
こうしてオレは軍資金の2千万を調達した。分け前はオレが6、田川が4だ。
場所:ビルの最上階
徒歩5分の雑居ビルの一室(敷地は20坪ほど)。ここなら申しぶんない。雀卓は合計4台。飲み食いがタダのかわりに、場代は破格のー時間ー千円。どこかりどう見ても高級雀荘(赤坂にはこうした秘密的雀荘が多い)だ。
当然ながら、店に他の客は入れないか、いつも閑古鳥が泣いてちゃマズイ。そこで、時にサクラを使って卓を立てる。日給ー万で2人の雀ゴ口を雇い入れた。ヤツをハメる手口も説明しておこう。
固定のメンツと何度も打ってりゃヤツも次第に心を許してくるはずだ。実際の闘牌の場では、前述の、通しで互いの手配を伝え合う他、店員2名に飯村の手牌も通させる。
例えば店員が男の右側に立っている場合→ノーテン
左側に移動した→テンパイ
テンパイなら店員の右手に注目。親指が人差し指を触っていればマンズ、中指ならピンズ、薬指ならソーズ、小指が字牌で、それぞれ、指の先端→1、4、7のスジ
ちなみに席と壁の間は70、80センチほど間隔を取った。これなら、仮にヤツが角の席に座っても、自由に背後を通れる。
飯村に誘いの電詰をかけた。
「実は、お宅の近くにいい雀荘ができましてね」「へー」
「今からみんなでやろうって言ってたとこなんですけど、いらっしゃいません」
「あ、行きます行きます」
10分もしないうち、飯村が飛んできた。まったく、下手の横好きとはこのことだ。
「ふーん。こんなとこあったんですねえ」「そうです」「いいじゃないですか」
気に入った様子のヤツを誘いゲーム開始。と、早々に飯村からリーチがかかった。第一関節を触っている。ソーズの2、5、8のテンパイだ。
「口ン。満貫ですね」「アッチャー」「へへ、出ると思いましたよ」
オニの首でも取ったように喜ぶ飯村。良い気なもんだ。結局、この晩、ヤツは50万を手にほくほく顔で帰っていく。それがコマセであることも知らずに。
負け分を払えなければ不動産の権利書を
以降は、毎夜のように飯村は店にやってきた。なんせ家から歩いて5分、ハマらないわけがない。ただ、こちらか負けっばなしといっのもよくない。なんせ相手は金持ち、ヘタクソばかりだと逆に興味を失うかもしれない。そこで5回に1回は叩きのめしアツくさせた。この辺りのバランスが後でモノを言うのだ。それでも3カ月でー千万近く負けてやったろうか。すっかりいい気分になった飯村がボロリと漏らしたっ「いやあ、いつも悪いですねえ」「ホント、強くて」「あ、そうだ。みんなで海外にでも行きません」「え」「ね、いいでしょ。私がオゴりますから」
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