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キャットファイトクラブなる場所があり、そこで現役体育大のアスリートや元ヤンキーなど腕に覚えのあるウラ若き乙女たちが日々闘いに明け暮れているという。
しかも希望したら男でもガチンコ勝負してくれるんです。
「男と女が闘えるってことです。とにかくー度行ってみてくださいよ。面白いですから」
さて、どうしたものか。パクられました、女を喰いまくってますといった電話はよく受けるが、この手のファイト系は初めて。果たして、ネタとして面白いんだろうか。
何言ってんスか、窪田さん。メヂャメチャ面白いじゃないすか
迷うオレに威勢のいい声をかけてきたのは、横で一部始終を聞いていた編集の藤塚だ。さすが高校時代ボクシング部。元ファイターとしての血が騒いだらしい。
「一緒に連れてってぐださいよ。オレがボコボコにしてやります」
「うーん、でもねえ・・」
「大丈夫ですって。なんだかんだ言ったっで相手は女なんスから。勝てますって。あれ…それとも窪田さんコワイんスか?」
「そういうわけでも…」月ったら迷うことないじゃないすか。さ、行きましよう。オレ、来週ならいつでもいいっす占藤塚にここまで言われて、後に引けなくなった。
ネタとしての面白さはよくわからんが、ビビったと思われるのはどうにも悔しい。よし、行ったろーじゃねーか。オレがボコボコにしてやろーじゃねーか。ナメンなよコノヤ口ー。
7月某日。オレと藤塚は東海道新幹線で一路静岡へ向っていた。闘いへの期待からか藤塚はかなりハイテンションである。
それにしでも女と闘うってのはどんなかんじなんだろか?末だかつて女に手を上げたことすらないオレに女を痛めつけることなど本当にできるのだろうか。
静岡駅に到着、教えられた住所に直行すると、そこは蒼いマットが敷かれただけの実に殺風景な部屋であった。
「こんにちわ」
待つこと15分。茶髪に厚底サンダルという今風ギャルのサユリとリキ(23)が現われた。
てっきり、女子プロレスラーのようなイカツイねーちゃんが来ると決めつけていたのにあまりに普通の女のコっぽいではないか。藤塚はガックリ肩を落としでいる。
イヤイヤ、オレはこういうコの方がいいな。ギャルと戦うなんて楽しそうじゃないの
「イヤーン、もう許して、何でも!言うこときくからあ」なーんて展開もあるやもしれんしな
サディスティクな妄想を抑え、まずは彼女らがどのようなファイターなのか教えてもらおう。実力の程もリサーチしたいところだ。
「サユリちゃんは、格闘技とかケンカの経験はあるの?」
「っていうか、オヤジ狩りならよくしてた」
先程までのピンクモードから一転、戦懐が走る。オ、オヤジ狩りだと。
聞けば、地元・静岡はもちろん、横浜などにまで遠征して罪もないオヤジたちを血祭りにあげること数十回2-10人で給料日直後のサラリーマンを狙っては殴る蹴るの暴行を繰り返していたというバリバリのハンターらしい。
しかも、ヒドイときは服まで破き、半裸で放置したこともあるとい。
「へ、へえー。他には?」
「あとは、イジメだ」「イジメって…どんな?」
「車で蝶いたり、かなあ」「ひく…って」
戦懐はやがで恐怖へと変わった。なんでもささいなことでムカついた女のコを深夜、スーパーの駐車場でボコボコにして足の骨を折り、それだけでは飽き足らず車ではねたというのだ。
その後ひかれたコは街から姿を消してニ度と彼女の前に現われることはなかったらしいが・・
「そ、それにしても車でひくってのはどーなの。武闘派でならした藤塚もさすがに衝撃を受けているようだ。
「やっぱり猫なんかとは違って衝撃もあるがら、サッーとなる」
ふう、少し安心。少しは罪悪感があるみたい。「ジェットコースターに乗ってるみたいた感じかなあ」「・・気持ちちイイってコト?」「ハハハハ」
あどげない顔でケタケタと笑うサユリ。話していれば十代の幼さが残る女のコなのにこの凶暴さはいったい。
「あとは、プールに沈めた、これが面白くてさ」
まったく、やっていることはヤクザと変わらないではないか。オレはこんな凶暴な女と闘うのか。急に胃が重くなってきた。
しかし、ファイターとして同じ匂いがするのか藤塚はサユリに興味津々の様子。
「オヤジ狩りって楽しいの?」
「オヤジが涙流して謝ってくるのなんて大爆笑だょ」
うっとりと思い出に浸り、恍惚とした目で遠くを見つめるサュリ。
ボッキする間もなく秒殺スリーパーでギブアップ
「アタシはそんなにヒドイことしてないよ」
サユリとは対照的に落ち着いたリキ。
「そうだよな。サユりはひどすぎるもん。アタシは力レ氏が暴カふるうんで、それに負けるのが悔しくてやり返したの」
「得意技なんてあるワケ?」
「腕とが足とかを使った絞めワザですね。でも結構それでボッキとかしちゃう男が多いんですよ」
確かに彼女の豊満なボディにからまれ、直に胸や股に押し付けられればオレ自身どうなってしまうかわからない。
「じゃ、まず誰と誰が闘いましょうか?」
藤塚は彼女たちの武勇伝を聞いて闘争心が復活したようでソワソワと落ち着かない。うーむ。あんなハードな思い出を聞かされたサユリは正直カンベンだ。
それに彼女は殴る蹴るの打撃系が得意なのでボクサー藤塚と相性ピッタリでしょう。藤塚タン、君に任せる
オレとリキはプライド派寝技、関節技でシッポリ闘いたいところだ。
「…それじゃ、最初はオレとリキさんで闘いましようか」
そう言って、着替えるオレ。リキもカーテンの向こうで素早くレスリングスタイルのコスチュームへと変身し闘いの場に現れたと。
「コホッコホッ」
あれ、どうしちゃったの?オヤオヤ、負けたときの伏線ですか。あるいはそうやつて、オレを油断させよつって作戦かもしれんが、その手には乗らないぜっ
果たして、リキはマットに上がるや弱意を吐いた表情を消し、眼光鋭くオレを脱んだ。ゴングもない。お互い構えたところで戦闘開始だ。
しかしいきなりカゼっぴき女に攻撃を仕掛けるのも抵抗がある。ここは相手の出方を見ることにするか。と、次の瞬間、相手の姿を見失ったかと思う間もなく体を沈めて側面に回り込まれた。
彼女の上腕部がオレの首に巻きつき、子泣き爺のように飛びつかれる。胴締めスリーパーだ。ヒュー、ヒュー。呼吸ができない。もがけばもがくほど頚動脈を締め上げられる。ヤ、ヤバイ。
パンパン、リキの腕をタップして命からがら振り解く。
「フウー、フウ、ゲェ、ゲホッ」
「またー、ふざけちゃって」
うずくまり咳きこむオレを藤塚が呆れ顔で覗き込む。
「ハハハハ…ゲホッ、ゲボッ」まったくボッキどころの騒ぎではない。柔道経験者であるオレは「落ちる」という感覚を理解している。彼女の絞めは十分それに近いものがあった。
マズイな・さすが男と入り混じったバトルを繰り広げできただけのことはある。闘いなれしているゾ、この女。よし、そっちがその気なら、オレも考えを改め死に物狂いでやったるわい。
と思ったら「コホッ、ゴホッ」ウーン。どうもやりづらい。気合いは入れたものの、相変わらずセキが止まらないリキにマジな攻撃もできず、遠慮がちな取っ組み合いばかり。
これではプライドどころか、晩年のジャイアント馬場の試合ではないか。結局、勝負はドローという幕切れに終わった。
アンタはただ黙って殴られてればいいのよ
さあ次は藤塚の出番。すでに8オンスのグローうをはめてウォーミングアップに全芯がない。
「オレは首とか絞められたらマジでぶっ飛ばすよ」
女といえガチンコ辞さず。まったく頼もしい男である?さあ、オレの無念を晴らしてくれ。サユリもグローブをはめて準備万全だ。元ボクサー対オヤン狩りギャル。
金を払ってもこんな異種格闘対決なかなか見られない。好カードに胸が躍る。軽快なフットワークでサユリとの間合いを取る藤塚。やはり実戦で鍛えられた勘はそう簡単に錆つかない。
これではさすがのサユリといえども容易に攻撃を仕掛けられないハズ・・
って、ズンズンよって来ているじゃねーかー。どうやら間合いなど彼女には一切関係ないようだ?べタ足で一直線に突進するサユリ。闘いのセオリーを完全無視した行動に藤塚は明らかに困惑している。
「逃げんじゃないわよー殴れないじゃないの」
「へ?」「あと、アタシへの攻撃は一切認めないから」
「ええー・オレは殴っちゃダメなの」「痛いのヤダもーん」
……そういうことだったのか。オヤン狩りと同様、サユリは一方的に痛めつけるのが好きなのだ。こりゃマズイことになったぞ
ビシッー・ビシッー藤塚の肉体を打つ意が部屋に響き渡る。それでも何とか急所を外して身をかわす藤塚。さすが元ボクサーだ。
「よけないでよー」「だって・・・」「殴られてればいいんだ」
恐ろしい。ぶん殴ってやるからそこに立ってろ、という理屈はまさにヤクザなジャイアンだ。数分後。藤塚は見事攻撃を凌ぎ切り、よくわからないままファイトは終了する。
「ねえ、なんでキミには攻撃しちゃいけないの?」うろたえながらもオレは彼女を間い詰めた。私は殴るのが専門だもん。それがここのルールだもん
「……」「あんたもやる?」「え?」「ただし、男1人に女2人のファイト。」
「でも、オレはヤラれるだけなんでしょ?」「うん。当たり前じゃん」「……」「オレも手を出しちゃダメかな?」
「アタシはそういうの相手にしないの。だって、ボコボコにされたい男の人って結構多いんだよ」「ホント?」
「内臓破裂させてくれって人もいるぐらいだから」「……」
いったい何がうれしくて進んで若いギャルにボコボコにされなきゃいかんのか。そんなの冗談じゃないぜ。
と、そのとき、オレの中に映画「ファイトクラブ」でフラッド・ピットが言った名セリフが浮かんできた。
「痛みから逃げるな。それは人生最高の瞬間だ。」
金も地位も幻のような現実社会。痛みだけが人生においてリアルというワケである。ココで彼女たちに殴られて喜んでいる人間もそれに似た感覚をもっているのではなかろうか。
ョッシャー・ここまできたらもうヤケクソだ。女に痛めつけられるってのはどういうことか見極めてやるっじゃねーか。
ファイト開始。オレの前に2人の女が仁王立ちになっている。突然、リキが背後へと回り込んだ。おまえら、前後で挟み撃ちにしようって魂胆か。リキが羽交い絞めにかかる。
が、そこは男女のパワー差だ。思い切って振りほどけば・・
《ボスッー》サユリが大きく踏み込んでフックを放った。8オンスのグラブがオレの鼻腔に正面からメリ込む。「アウッーハウッ、アッー」間髪入れず顔面にラッシュ。
左右のコンビネーションで顔を攻め、タマらずうな垂れるとボディに一発、頭を上げさせられる。
「ゲェェ」思わず腕を振り解き、逃れようとすると今度はリキの膝蹴りが脇腹へ。一方サユリは満面の笑みを浮かベワンツーを繰り返す。まさに人間サンドバック状態。
これはシャレになんねーちょ、ちょ、タンマ・・とりあえず中止を宣言しようとしたオレの顎にサユリの右アッバーがモ口にヒットした。
ああこうやってオヤンたちは狩られているのかー。そんなことを思いながら、マットに沈む
しかし、それでもサユリは攻撃の手を休めない。仰向けで倒れたオレの腹部に全体重をかけた必殺のヒップアタックでトドメを刺したのだ。
《ドシーン》「ハイハイ、止め止めーストツープ」見るに見かねた藤塚がタオルを投げ込み、ファイト終了とあいなった。
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