0128_20190628144403514.jpg0129_2019062814440562e.jpg
以前、裏モノに掲載された売春島からの脱出劇をおぼえてますか?島の置屋に売られた女の子が、自力で海を泳いで逃げ出したルポのことです。
実は私も今から2年前、さる温泉地にて彼女と似たような体験をしたことがあります。
売春島ほどではないものの、小娘にとってそこはまさに陸の孤島、あるいは監獄とも呼べるところでした。コトの始まりは1本の電話でした。
「金ないんだろ?いいバイト先があるんだよ」
誘ってきたのは、ヤミ金融を営む知り合いのK本。なんでも、地方旅館のホステスを4カ月間限定で募集して150万を前払いするというではありませんか。
「エッチはナシだから心配いらねえよ」
「やるやる!」
こうしてK本の車で、北陸のひなびた温泉街へ。街の一角にある一軒家の前に、オバサンが立ってい
ました。
「あら、かわいい.じゃないの。ここはヤル気次第でいくらでも稼げるんだから、がんばりな◎前金は明日、あなたの口座に入れたげるから」
この人が今日からお世話になる女将さんだよ、とK本に言われ、黙って頭を下げる私。
どうやら、今日から彼女の家に寝泊まりすることになっているようです。そのうち、K本は「しっかりやれよ」と言い残し、去っていきました。昨日の柔らかい口調から手のひらを返したような厳しい物言い。いったいどうしたというのでしょう。
言葉の真意は夜になってようやくわかりました。
街にあるホステス事務所のシステムはどれもまったく同じ。客の依頼を受ければ町中の旅館へ出向き、お酌やカラオケの付き合いをします(男性客はホステス1人につき、2千5百円を支払う)。ただし旅館内ではせいぜい夜の22時くらいまでしか飲めないため、その後は近くのスナックで、というのが通常の流れですわ
ところが問題はその後。実は5万円を出せば近くのラブホテルにて「最後までのお付き合い」がOKなのです。女将の冷たい態度は「エッチは断れないよ」という意味だったのでしょう。
ヤ、ヤルのぉ?聞いてないよぉ…。あせったところで後の祭り。私は、初めて付いたオヤジ客に指名され、夜を過ごすハメになりました。
まあそれでも150万円もらえるならガマンできたはず。お川が、翌日に見た銀行口座は残高0円のまんま。女将に聞いても話をはぐらかすし、3日、4日と経ってもビタ一文振り込まれません。
まさかダダ働き?そう、私はK本と女将にまんまとハメられてしまったのです。やってられるか、こんなもん!マトモな神経の持ち主なら、さっさと荷物をまとめて出ていくことでしょ一
しかし、それが簡単に出来るのなら、この街にはホステスなんか1人もいません。
脱出不可能の理由は、まず地理的な条件。温泉地の周りは広大な田や林が広がっているため、女1人が走って逃げるのはとてもムリ。たとえ歩いても、方向感覚が掴めません。
しかもホステスはいつも管理されています。新人にはオネエサンが付いて接待に入るのですが、私の場合も同様で、旅館やスナック、ラブホテルヘの出入りの前には必ず女将へ電話を入れて、居場所を教えなければならないのです。それ以外の時間は、女将の衣装部屋なのですから、これはもう監視といっていいでしょう。
また、街の住民がグルなのもミエミエでした。バスやタクシーの運転手は「他へ行ってもいいことはない」と口々に言い、私の耳にワザと聞こえるように「こないだ逃げた○駅で捕まったね」などと談笑する始末。おそらく地回りのヤクザ関係が連絡包囲網を作っているのでしょう。
ここからなんとか逃げ出せないものか。考えに考えた挙げ句、単独での脱出が不可能と踏んだ私は、T田という元カレに連絡をつけ、救いに来てもらうことにしました。
私のケータイが女将の寝室に置かれているのはわかっていましたから、目を盗んで彼にメールを送ればいいのです。電話だと女将の娘やダンナに声を聞かれてしまう恐れがあります。
温泉に来て1週間目の朝、女将がシャワーを浴びる間にこっそり忍び込み、S
を送りました。
〈今、○○県××温泉。逃げたい。助けに来て。お願い〉
すると、T田からレスが。
〈了解もいつがいいんだ?〉
〈明後日の朝9時、街の中心地にある橋の上に立っているからナンパするブリをして〉
すぐに車に飛び乗れば逃げているのがバレバレ。ナンパなら自然に映るはずです。その後、私は何通にも分けて温泉の地理や監視の厳しさをメールで伝えました。いよいよ決行日の朝。私は
「ちょっとお腹が痛いからクスリを買ってくる」と女将に言って外出しました。それまで「がんばります」と笑顔を振りまいていたためか、さして不審がられませんでした。
そして、橋の上に止まっていたT田の車に近づき、見知らぬ男にナンバされるフリをしながら助手席へ。心臓が飛び出るほど緊張しました。
おそらく、地元のヤクザは追手をよこしたことでしょう、私たちもただ単に逃げたわけじゃありません。
高速インターに入ってからは念のためにナンバープレートを付けかえ、わざと遠回りして温泉地と反目している組のエリアを遠回りするなど(T田が事前に勢力図を把握していた)、知恵を絞って相
手を煙に巻き、無事、家に帰ることができたのです。
後日、その温泉へ遊びに行った人から聞いた話では、すべての置屋には盗聴器が仕掛けてあり、また町中のいたるところに監視カメラが設置されているとのことでした。
関連記事
カテゴリ
タグ