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俳優AはSM好き、Cはスワップ愛好家、週刊誌を開けば、しばしば著名人たちの醜聞が取り沙汰されている。定かじゃないが、一つ確実にいえるのは、彼らが凡人と違う部分を持っていたからこそ、現在の地位を築けたという点だ。そしてそれは、ことセックスに関しても当てはまる。名を成し財を成した人間の性癖はノーマルの範時に収まらないケースが多いのだ。
セックスに刺激を求め、バイブレータを使うのは凡人でもやること。が、それはあくまでアダルトショップやホテルの自販機で売られている市販だ。しかし、凡人と違う彼らは、アダルトグッズにもこだわりを見せる。既存の商品では満足せずわざわざ自分用にオーダーメイドしているのだ。ボクはそんな著名人から注文を受け、アダルトグッズを作ってきた男である。
幼いころから変身願望があった。
特別容姿が醜かったり、親の愛に恵まれなかったわけでもないのに、殖の誰かになりたくて仕方なかった。中学校のとき、アメリカのサイトで知ったピアッシングで肉体改造にチャレンジした。耳ヘソ、舌、乳首。次々に穴を開けていく語烈な痛みが快感だった。
高2の秋に見た「アキラ」は衝撃的だった。自分の肉体を切り裂くシュワルツネッガーや、水銀のごとく形を変える。特殊メイクの成せるワザである。進むべき道は自ずと決まった。アート系の専門学校で2年学び、映画やテレビの小道具を作る会社に就職したのが20才のとき。
一切働くことをしなかった彼女がバイトを始めたのはボクが職を失ってーカ月後のことだ。仕事は赤坂の変態御用達の会員制クラブマスト(仮名)の女王様。いかにもマユミらしい勤め先だと思った。実際彼女は職場が気に入ったようだった。ムチひとつで往来で裸になるエプロン奴隷、ロ内でたばこを受ける人間灰皿、骨を折らせて悦ぶ骨折マニア…。医者、弁護士、企業の経営者など、客スジの良さもさることながら、真の変態ばかりで居心地がいいらしい。
一方、ボクは相変わらず職のないまま怠惰な日々を送っていた。自分に才能があると信じ込んだ、プライドばかりが高い男。必ず認められる場所があると思いながら、時間だけがすぎていった。そんなボクを見かねてといっワケでもなかろうが、ある日マユミが話を持ってきた。
「お店にハードSのお客さんがいてね、アダルトグッズを欲しがってるのよ。なんか本物志向が強くて、既製品じゃ満足できないんだって。できるでしょ。作ってみる気ない?」
力が抜けそうになった。アダルトグッズだと?そんなゲスなもんオレに作らせようってのか。バカ、やるワケねーだろ。しかし、客の名前を聞いた瞬間、気が変わった。なんと特注グッズを欲しているのが世界的なファッションデザイナーの滝ロヒロシ(仮名)だというのだっ信じられない話だが、マユな、の店は秘密厳守が徹底してるせいで、著名人の常連客も少なくないらしい。世界の滝ロの注文で大人のオモチャを作る。ソソられるではないか。彼を満足させられる品が作れたら、世に出る足がかりになるやもしれない。その仕事、ぜひやらせてくれ。
やっばりキミには難しかったようだね
数日後、横浜。個室に、50代半ばの中年男性が待っていた。浅黒い肌に、恰幅の良い体。間違いなく、あの滝ロヒロシである。
滝ロの隣に中谷美紀によく似た美人がー人。説明されるまでもなく彼女だ。
「キミのことはマユミちゃんから聞いてるよ。アートに興味があるんだってね」日本酒を畷りながら彼はズバリと言った。彼女のアナルに挿入する型を作ってくれ、と。知り合いのエ場に頼んでたんだけど、素材がゴムに限られちゃうし…
ディルドってどんなモノなんでしょ、
「なんだ、知らんのか。おい、見せてあげて」
ご主人様の命令に従い、四つん這いになる。思わず息を呑んだ。彼女の尻の穴から手首ほどもある巨大な円筒がズルリと出てきたのだ。細いディルドウから始めて、だんだん太くしていったんだ。彼女はー年365日コレを入れながら生活しててね、今じゃ直腸の形も変わってるんだよ。滝ロがディルドウをボクに手渡す。筒状のゴムに500m上のペットボトルをー本入れただけのシロモノ(40ページ図A)・チャチな作りである。
基本的な部分は任せる占メラメラと息が沸き上がってくるのがわかった。世界の滝ロに仕事を依頼される興奮。任せてくださいよ。2週間ほどもらえたら、必ずアンタを喰らせるグッズを作って差し上げますから。
まとまると、滝ロは具体的な条件を出してきた。まず長さは変えずに、直径を今までより太い8センチにする。理由はもちろん、彼女の肛門をさらに広げるためだ。ブツの下には固定用の皮バンドを通ず留め金を装着。素材はプラスチックのようなカタいモノ、重量がジャスト800グラム、今回基ンュースのスペースは不要。どうってことない条件だ。
ペニス形のブツにソレっぽいアフリカの土偶でもワンボイントしておけば十分だるつ。2週間後、山畿した作品を携え滝ロの元を訪れた。どっだ。滝ロはソレを手にとり、しばらく無表情で眺めた後ロを開いた。
「いくらかかった?」「10ですかね。で、どうですか。気に入ってもらえましたか?」
その答は、彼が抜いた札を放り投げたことでわかった。
「15万ある。ご苦労さん。やっぱりキミには難しかったようだ」
スーッと血の気が引いていく。滝ロのあきれたようなロ調が突き刺さるように痛かった。
「お願いです。もう一度チャンスをください。お金は返します。お願いします。」
頭を床に押しつけ、懇願した。確かに、ナメていた。たかがアダルトグッズだという思いもあった。しかし、これがオレの真の実力だと思わないでくれ。あなたの眼力には改めて敬服する。今度こそ満足してもらえる作品を作り上げてみせるから。
滝ロは黙っていた。表情にも変細化はない。オレは「ーカ月だけ時間をください」とその場を去った。ーカ月をかけて仕上げた作品を手に、再び滝ロの元へ。緊張でノドがカラカラだ。「いかがでしょうか」「・・いいね。素晴らしいよコレ。キミ、才能ある」
滝ロは50万の値を付けた。
それをきっかけに滝ロから仕事が舞い込むほど世の中は甘くはない。その後ボクはまた単なる無職野郎に舞い戻り、怠惰な日々を送るようになった。しかし、滝ロはボクのことを忘れていなかった。半年ほどたったある夜思いもかけぬ電話をかけてきたのである。
「会員制の変態の集まるバーを開こうかと思ってるんだよ。キミ、店長をやってみないか」
何でも普段パーティに使っているホテルのスイートルームが割高なので自ら店を開くことにしたらしい。知人ばかりを集めたゲストハウスみたいなものだと滝ロは言う。なんだよ。久しぶりに電話をかけてきたと思ったら、そんな水商売のようなマネをしろってのかよ。オレはアーティストだぜ。
「まあ待て。話は最後まで聞きなさい」
滝ロは言った。店のデザインは任せる。客の注文に応じて作品も作ればいい。つまりそこは、キミのためのアダルトグッズショップなのだ、と。
精一杯やらせていただきます。与えられた物件は3LDKのマンションだった。リビングをバー、残りの3部屋をそれぞれ、サロン、プレイルーム、オフィスに。部屋の壁には大きな黒い十字架とディルドウが入った彼の奴隷のレントゲン写真を飾る
◇極めつけは人間テーブルだ。SMクラブで調達した女を四つん這いにさせ、ガラス板を乗せる。あまりにシュールで客がぶったまげるに違いない。しかし、最初にぶったまげたのはボクの方だった。店がオープンするや、大企業の社長、医者、弁護士、芸能人、モデルなどが毎日のように訪れるのだ。交友の広さはハンバじゃない。しかも、来る人間性癖が並じゃない。女の尻から直接クソを食べる40代の俳優D。麻酔抜きでアソコにピアスを入れる20代のモデルE…。それこそ世間が知れば、腰を抜かしでっな狂宴が日夜繰り広げられていた。
3カ月後、初の依頼があった。滝ロと旧知の間柄といっ40代の有名レストランチェーンのオーナー・川岸に、貞操帯をオーダーされたのだ。
貞操帯。そんなモノが欲しいとは、よほど嫉妬深いに違いない。逆ペニスバンドともいうべきこの作品は、携帯ー本で操作可能。つまり、いつでもどこでも彼女が持てるといっわけだ。
タテの運動は、既製のアダルトグッズとの差別化はもちろん、乾いた腔の中で突然、コレが動き出せば激痛が走る。作品を手にした川岸は、果たして感嘆の声をあげた。報酬は150。妥当な評価だ。
医者や大学教授などから、ーカ月に一件の割合で依頼が舞い込むようになったのだ。映画界の大御所で、筋金入りのサド俳優xである。xは「殺人」がテーマのアダルトグッズを欲しがった。ひさびさに沸き上がる依頼である。
完成した作品は、デビッド・フィンチャー監督の映画「セブン」に登場する連続殺人鬼のバンツの白窒レプリカ(図D)だっもちろん、刃は本物を使った銃刀法違反である一とは重々承知していたが、芸術に妥協は許されない。
「Xさん、絶対に使わないでくださいね」ん。殺したい女がいるんだよねと、
「ハハハ。冗談を」
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