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とあるマンガ喫茶に勤めて早4年。その間、もっとも大きな変化は女性客のレベルアップだろう
深夜でも店内は小ぎれいな女性で溢れ、オタク男ばかりだった暗黒時代がウソのようだ。オレの店にもお気に入りがいる。パチッとした目に清潔な服装。
「汚れを知らぬ」を地で行くようなお嬢様系だ。これが週に2回もやってきては、清らかなフェロモンを振りまく。かーうたまらん。が、しがない店員に、近づく手段などあろうはずもない。たまに注文の焼きオニギリを運ぶのが関の山だ。ネットコーナーで何を書いてるんだ?
そんなある日のこと。彼女が珍しくインターネットコーナーへ向かった。座席につくや、力タ力タとキーを叩く音が聞こえてくる。にわかに興味が沸いてきた。普段はマンガオンリーなのに、今日に限ってどうしたというんだ。
しかも、かなりの長文っぼいぞ。掲示板の書き込みにしては、キー入力が多すぎるし、時折クスクスと忍び笑いまで出すってことは答はチャットしかないー見たい。ぜひ見てみたいぞ。あのお嬢様が、どんな話題に、どんな返事をしているのか。
「ありがとうこざいました」
彼女が店を出るや、オレはすぐに座席へ向かった。ブラウザを立ち上げ履歴をチェックーしかし。データは全部消えていた。律儀にも、彼女が見たとおぼしきサイトだけが抜け落ちている。さすがはお嬢様。セキュリティも万全か。もはやオレになす術はない。
それから2カ月。何気にアングラサイトをブラついていたとき、興味深い記述に出くわした。
キーロガーは、会社の不正操作を監視する「記録」ソフトです
なんのこっちゃ、と詳細を読み進めると、ロシアのサイトにつながった。ここが、キーロガーとやらを配っているらしい。なんでも、コイツをパソコンに仕掛けると、どのキーボードを叩いたか記録してくれるんだとか。要するに、本人がいくら隠しても、何を書いたかバレバレってワケか。と、そこまで読んで瞳孔が開いた。まさにオレが望んでいたものじゃないのー
すぐさまオレが店内のマシンすべてにキーロガーを仕掛けたのは言うまでもない。
彼女が現れたのは、それから3日後。いまや当然のようにインターネット席へ向かい、2時問後に退店した。店内でやるべきことは少ない。掃除のフリをしつつ、彼女が使ったマシンから「キーロガー」を呼び出して、記録をフロッピーに移すだけだ。残りの作業は帰宅後に行う。
面倒なのはデータの解読だ。「キーロガー」が記録するのは、あくまでも「どのキーを叩いたか」だけ。ファイルを開くと、
memaSitetmamーーSuyoroSiku
こんな文字列が延々と続くのである。が、ここまで来てあきらめられるか。ひたすら文字を打ち直し、日本語に戻すのみだ。1時間後、テキストは完成した。
〈ども。マミでーす。じゃ、ホテルで待ち合わせで、私は下着状態ってことにして〉
何なんだコレ。出会い系サイトかっ
〈えつ、3人なんて、急に言われても恥ずかしいよう。敏感な体になってるのにい〉
3人っ敏感?この現実感がない会話は、もしかして。
〈アソコがだらしなく開いちゃうよおおお〉
アダルトチャットだーなるほど。家でやるのが恥ずかしくて店に来てたのか。あの清純ヅラで、バーチャルセックスとはねえ
と、そこで閃いた。キーロガーには、そのサイトのアドレスも保存されている。ってことは、オレも彼女とチャットセックスできるんじゃないのかー
さっそく翌日、店にノートパソコンを持ち込むと、幸運にもマミが現れた。力ウンターの上でネットに繋ぎ、先回りでサイトヘアクセス。2ショツト系のシステムなので、他の男に負けない速度が求められる。彼女はすぐに入ってきた。
〈誰がいますかう〉〈はいはい、はじめまして〉
妙な感じだ。すぐそこにいる相手とチャットセックスとはなあ。
〈うふ。初対面の人に、こんな格好で。恥すかしい〉
うおおーノリノリだよー
〈フフ。本当に凄い格好だね。まずは、指先を胸の周りで円を書くようにと〉
〈あん。鳥肌たっちゃう〉
見上げると、マミの清楚な横顔が、うっすら上気している。ヤバい。この状況は予想以上に燃えるぞ。
〈ずいぶん溢れてきたな。そろそろ根本まで飲み込んでもらおうか〉
〈あああっ。そんなに擦らないでえっ〉
うおー、もうガマンできん。オレは力ウンターに座ったまま、こっそりとパンツを下ろした。コトが終わったのは1時間後。マミの顔には、満足そうな笑みが浮かんでいる。
〈なんか、こめんなさい。私ばかり気持ちよくなっちゃったみたいで〉
いえいス、十分に楽しませてもらいました。
★その後も、オレはマミと不思議な逢瀬を楽しんだ?現実にことばを交わしたことは一切ないが、オレにはこっちのほうが性に合うらしい。