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地元・埼玉の繁華街も千鳥足で家路につこうとした矢先、とある雑居ビルの前でアヤシ気な看板が目に止まった。
〈お色気太衆クラブ××〉
真っピンクのネオンに、レトロな店々匂ひょっとして今どき珍しいキャバレーってやつか。
酒の勢いもあって、3階にある店に入ると、鋤平方メートル程度のフロアにボックスシートが5つ。客は3人で、ホステスが5名ほどいるようだ。
マスターによれば、1時間5千円で飲み放題、ピンクサービスは一切ないらしい。
まあせっかくだからと席につく。と、すぐに坊才のマミが隣りにやってきた。ヤンキー風ながらまずまずのルックスである。
くどきまくって1時間、ホステスが客と外に出たきり、もう30分以上戻って来ない。どこ行っちゃったんだ?
「あ-彼女はね、このビルの2階に潰れたカラオケボックス(同じオーナーらしい)があって、そこに歌いに行ったのよ」
「カラオケなんて、ここにもあるじゃん」
「2人きりになれたらお客さんもうれしいでしよ」
「ふ-ん。じゃ、オレもマミと2人きりになりて-な」
「え、ダメダメ」
「なんでだよ?」
聞けば、2階に行くには、マスターから常連客のお墨付きを頂戴しなければならず、一見ではまず無理という。
ケ、たかがカラオケごときで何もったい付けてんだよ。
これから常連になってやつから、オレも下で歌わせろ。いいだろマスター!
「う-ん。特別だよ」
「さすがマスター、話がわかるね〜」
「料金は8千円だから。ボックスの中で女の子に渡してちよ-だい」
ナンだ!カネがいるのかよ・んじゃ行かね-。なんてヤポなことを言うオレじゃない。さーさ2人で歌いまくろうぜ。んでもって、キスぐらいさせるよな、このヤロー。
まずは金をマミに手渡し、インターホンでビールを注文。選曲リストからミスチルをセレクト、キーコンで送信と、
「何やってるの?」
「何やってるのって何だよ」
「時間もったいなくない?」
「ちょつと待てよ。この曲得意なんだよ」
イントロが流れてきて、マイクを握る。
「ねえねえ、私、またお店に戻りたいのよ」
しなだれかかってきたマミの姿を見て、ようやく気づいた。
「だよな、もったいないよな」
「でしょ」
上で飲んで下で本番、こりゃ常連になるしかあるまい。
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