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都内の某派遣会社に勤務する俺が楽しみにしているイベントがある。夏の都市対抗野球だ。
ウチの取引先に、都市対抗常連の大企業の子会社がある。ー年前、俺が担当になるとその子会社の課長から呼びだされた。
「こんどの大会で、人を集めて欲しいんだ。まあサクラってやつだな」
自分たちだけでは応援席が埋まらないので、親会社に顔が立たない。そのために人を集めてくれというのだ。
「ちゃんと給料も出すし、弁当もだす。いけるだろ」
ただ野球を見て飲み食いしてればオッケーだなんて、バ力でもできる仕事だ。もののー日で30人ほどの派遣が集まった。
試合当日、派遣労働者を引き連れて東京ドームに向かうと、知り合いの他派遣会社の営業が声をかけてきた。
「どうも。おたくも人を集めろって言われたのっ」
どうやら色んな派遣会社に発注しているようだ。てことは、ドームのこの観客、ほとんどサクラかよ。試合自体はなんてこともなく、親会社チームの勝利で幕が下りた。例の課長に挨拶しにいくと、彼は言う。
「お疲れさん。キミの会社が一番人を集めてくれたから、良かったら慰労会に参加しないかっチアリーダーの子たちも来るぞ」チア参加の慰労会っ行かないわけがないでしょう。会場では見るからに偉そうな年配方、それに婿びへつらう中年のおっさんがすでに宴を始めていた。
よく見ればチアリーダーの子たちもいる。着替えてはいるけど。課長としばらく飲んでいると、チアの女の子がビールを持って近づいてきた。
「今日はありがとうこざいましたー」
「いえいえ。チアリーダーの方ですよねっここの社員さんなんですかっ」
「そうなんですよー。見られてたのかあ。恥ずかしい」
調子に乗った俺は酒にまかせてバ力話をし、連絡先を交換。映画デートののちにきっちりいただいたのだった。テレビで見かける都市対抗
サクラの観客を集めて都市対抗野球、常連チームのチアリーダーをいただいたの熱狂的な応援も、絶対に手の届きそうにないチアガールも、すべては幻想だったということだ。慰労会には毎年、一番サクラを多く集めた派遣会社の人間が呼ばれるらしい。今年も頑張ろうっと。
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